宇宙大作戦 二重人間スポック!
ジェイムズ・ブリッシュ著/斎藤伯好訳
エンタープライズは標準基点設定作業のため、クリンゴン領近くの宙域にいた。
マッコイはスコットに転送装置で再構築された人間は元の人間と同じなのか、そして魂は存在するのか等の議論をしており、それにカークも巻き込まれる。
そこにクリンゴンとの戦争が始まったとの緊急連絡が入る。
クリンゴンと連邦との戦争を禁じているはずのオーガニア人達はどうしたのか?
なんとかオーガニアの状況を知ろうとする内、スコットがタキオンを利用すれば超長距離の転送もどきが可能で、それで情報収集が行えると提案。
比類なき観察力のためにその任務にはスポックがあたることになったが、転送の結果はスポックはどこにも行かず、なんと2人に増えてしまい・・・。
まずマッコイの仮説だが、普段から化夢宇留仁がよく考えている内容に近いところにあって興味深かった。
化夢宇留仁がよく考えるのは「死と睡眠の違い」で、これは転送された人間が転送される前の人間と同じかどうかというのと重なる部分があるのだ。
例えば寝ている人が目覚めないまま完全に人間と見分けの付かないロボットに脳の情報を完璧にコピーされたあとでベッドから引っ張り出されて焼却され、ロボットの方はベッドに寝かされて朝目覚めたとする。
この場合自分がロボットだと気づくわけもなく、勿論元の自分が死んだというのもわからない。
つまりこの理屈から言えば魂というものは存在せず、寝るのと死ぬのは本質的に同じということになる。
そういう意味では転送前と後も同じような感じではなかろうか。
などという関係ない話は置いておいて(笑)、この本はTVには無いオリジナル長編だが、なかなか面白かった。
まずカークもスポックもスコットもウーラも全員聡明なのが素晴らしい。
TVや映画だと物語の都合上そのへんがおかしくなることが多いので、みんなエリートらしく頭がいいと嬉しい。
主題の2人になってしまったスポックのどちらが偽物なのかというミステリーもよく描けていて、それぞれの言い分もそれらしくて興味深い。
ちなみに化夢宇留仁の予想は当たっていた。
物語としてはTV版27話「クリンゴン帝国の侵略」の続編と言えるもので、コール(本書ではコアという名前になっている)は勿論おまけ(笑)にコロスまで登場するのが嬉しい。
ただし最後の顛末がまさに大鉈と言えるような展開で、その後のシリーズには全然つながらないのは残念(汗)
ちうわけで楽しく読み終わったのだが、巻末の奥付に自分で書いたメモを見つけた。
それによると本書を1991年9月9日に購入し、翌10日に読み終わっている。
全然記憶がない(汗)
まあだからこそこうやって記録をつけているわけだが。
20230227(mixi日記より)
20230228
ゴジラvsコング
アダム・ウィンガード監督
髑髏島で基地にコングを収容して監視していたが、コングは映像に騙されておらず、脱走は時間の問題と思われた。
一方5年ぶりに姿を現したゴジラが巨大テクノロジー企業エイペックス・サイバネティクスのペンサコーラの施設を襲撃。
その後エイペックスのCEOであるウォルター・シモンズは、怪獣たちの故郷であり彼らの力の源がある地底の空洞を調査するためにスタッフを募っていた・・・。
なんだか滅茶苦茶な映画だった。
しかし化夢宇留仁は前作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を観た気になっていたが実は未見だったのもそう感じた原因の1つだとは思う。
しかしそれにしても登場人物がそろいもそろって狂人すぎると思った。
言い換えれば全員カトゥーンから飛び出してきたようで、言ってることもやってることも生身の人間とは到底思えないものばかり。
そして見どころである怪獣バトルだが、とにかく画面の作りはすごいの一言だが、そのほとんどが最近よくある説明的カットばかり。
何がどうなっているのかを伝えるだけで、演出と結びついたドラマを感じるカットになっていないのだ。
この辺は平成ガメラとシン・ゴジラを見直して勉強してこいと言いたい。
ただし最後の方で○○○○○が出てきてからはそれも少しはマシになり、なかなか盛り上がった。
評判の悪い○○○○○だが、化夢宇留仁的にはそんなに悪いとは思わなかった。そもそも元キャラと比べる気が無いからだと思うが。
それよりも気になったのはゴジラの表情や動きで、なんだかあの魚を食べていたゴジラに戻ったような動きが目立ち、妙に豊かな表情も違和感が大きかった。
あとはゴジラとコングが古来からの宿敵という設定が意味がわからない。
あの設定さえなければもう少しまともな物語になったような気がするのだが。
それとストレンジャー・シングスの彼女が出てきたのには驚いた。
調べてみたら前作から出てたのね。やっぱり狂人だったけど(笑)
ちうわけでイマイチだった。
なんだか多数の平凡な脳みその意見を集約してできた脚本という印象が強い。
やっぱり映画は才能ある監督が強権を奮って作るべきだな〜〜〜〜っと思った。
20230302(mixi日記より)
20230302
ローダンシリーズ22 銀河の麻薬商人
松谷健二訳
銀河の麻薬商人
クルト・マール著
ガニメードからの補給を受け、ホヌルに舞い戻ったローダン達は、空と陸から徹底的な捜索を行い、ハイパー多幸症の治療につながる情報を探し求めた。
やがて見つかったのはまだ知性を残しているホヌル人たちで、彼らは「神の足跡」を見せてくれると言い・・・。
なんだかモヤっとする話。
ここまでやってそれ?
人間とモンスター
K・H・シェール著
アルコンに戻った一行は予想通り患者は治療不可能と聞かされ、更に新たな任務が。
今度こそはとモーフの生まれた惑星へ乗り込むが、そこはアンモニアの嵐が吹き荒れる地獄のような世界だった・・・。
これまたモヤッとする。
そこまでやってそれ(笑)?
しかし最後の展開は少々意外ではあった。状況の進展には繋がってないが(汗)
20230303(mixi日記より)
20230306
幽霊座
横溝正史著
幽霊座
東京七不思議の1つと呼ばれる古い劇場「稲妻座」で17年前に起こった若き看板役者の行方不明事件に、当時金田一耕助は現場に居合わせていた。
友人であり、行方不明になった当の本人である佐野川鶴之助に招待されていたのだ。
その時上演された「鯉つかみ」が17年ぶりに上演されると聞き、なんとなく浮世絵展を訪れた金田一は、行方不明になった鶴之助の弟であり、今や名女型となった紫虹と出会う。
歌舞伎の世界の描写が雰囲気があって面白いのと、ラスト近くの怒涛の展開が盛り上がった。
ブロマイドの暗号はちょっと難易度が高すぎる気がしたが(笑)
鴉
磯川警部に誘われて山中の古めかしい温泉旅館に泊まりに来た金田一。
そして勿論磯川警部は保養だけが目的でなかった。
その宿で3年前に起こった行方不明事件の続きがこれから始まるはずなのだ・・・。
この話のからくりは珍しく化夢宇留仁にもだいたい予想がついた。
しかしなによりよかったのが磯川警部の人となりで、この人と金田一が話す様子は勿論、宿の人々とのやり取りなどもなんともいい感じで、そのまま2人でゆっくり保養して終わっても満足したのではないかと思う(笑)
トランプ台上の首
モーターボートで惣菜を売る飯田屋が、いつも贔屓にしてくれるストリッパーのアケミが姿を見せないので窓から様子を見てみたところ、そこにはアケミの切り落とされた首が・・・。
これまた川沿いのお得意さん相手に商売する飯田屋の様子が実に面白く描写されていて、それだけでも得した気分になった(笑)
トリックも意外な展開で、見事に騙されたのも満足感が高かった。
幽霊座の歌舞伎の世界はちょっと癖があるが、基本的には読みやすくて面白い短編がそろったいい本だった。
今のところ著者の作品で全然面白くないというのには当たってないな。
20230309(mixi日記より)
20230310
無敵鋼人ダイターン3 第7〜8話
富野由悠季監督
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第7話 トッポの出撃大作戦 |
ほぼ全編戦闘シーンだが、むしろ見どころは初めて明かされたダイターンの格納庫。
なんとそれは万丈邸の地下からつながる海底パイプラインの先にある電子頭脳とロボットが管理する巨大な海底基地の中だった。
なんで往年の巨大ロボットはこんなにパイプラインが好きなんだ(笑)?
第8話 炎の戦車に散るジーラ
幼なじみのトニーからの電話で呼び出されたレイカだったが、それはコマンダー・ジーラの罠だった。
囚われたレイカを救出に向かう万丈達は彼女とトニーを見つけ出すが、ジーラは執拗に彼らを狙う。コマンダー・ジーラはレイカ達の幼なじみのマリーネだった・・・。
見どころは地下基地で暴れまわるジーラ配下の戦車部隊。
戦車の上に上下逆さまに同じ戦車がくっついていて、それが切り離されて逆さまのまま洞窟の天井を爆走するというシステムが謎すぎてすごい。
富野は変な戦車が好きだな(笑)
20230209(mixi日記より)
20230313
キャプテン・フューチャー 魔法の月の血闘
エドモンド・ハミルトン著/野田昌宏訳
アルファ・ケンタウリの調査から帰還途中だったコメット号に、地球からの奇妙な放送が届く。それはキャプテン・フューチャーの活躍を映画化するにあたって、主役のキャストを募集する内容だった。
カーティスは気にもとめなかったが、太陽系政府主席ダニエル・クルーの口からもその映画の話が出たのには驚いた。
この映画のロケ地の1つである魔法の月スティックスで、最近ダイヤモンドの鉱山が発見された。その映画を作ろうとしているジョン・ヴァルデーンという実業家はなんとかしてその利権を手に入れようとしているらしい。
スティックスは「暗黒星大接近!」でフューチャー達が知的種族が生息しているのを発見した冥王星の衛星で、今でも太陽系政府の干渉を絶ち続けていた・・・。
もちろんフューチャーの役者にフューチャーが化けて潜り込むわけだが(笑)、登場人物みんなに存在感があり、映画の撮影という味付けもうまく働いて完成度の高い作品になっており、とてもおもしろく読めた。
中でも最高の見どころはオットーのルパン三世もびっくりの痛快な活躍で、あまりのかっこよさにしびれた(笑)
あそこはほとにまさかの展開だったな〜(笑)
他にもラスト近くの我慢に我慢を重ねたグラッグの開放感満点の活躍もあり、珍しくジョオンも機転を利かせて活躍するし、最後はいつものフューチャーらしい困難すぎるミッションへの挑戦など、ほんとにSF活劇大作映画みたいだった♪
20230311(mixi日記より)
20230317
ぽっぺん先生の日曜日
舟崎克彦著
を読んだ。昨日実家にて。
生物学の助教授のぽっぺん先生は、本の雪崩につぶされる夢を見て目覚めた日曜日、4500年前のインゲンマメを見物に行く予定を、急遽本の整理に変更した。
そうして本の山を前に途方に暮れかけていたとき、その中に小さい頃に読んでいた絵本「なぞなぞのほん」が紛れ込んでいるのを見つける。
ぽっぺん先生がそれを手にとってみると、いきなり自分よりも背の高いオオアワダチ草の草原に立っているのに気づき・・・。
小さい頃に読んで気に入っていた本で、奥付を見ると1986年の6月に読み終わったというメモもあるので、これでおそらく3回目の読了。
ぼんやりとしたイメージしか覚えていなかったが、今回も面白く読めた。
基本的には「なぞなぞのほん」の各ページのなぞなぞを解かないと次のページに進めないという構成の児童書だが、読み味は全然児童書じゃなく、悪夢のようだけど変に愉快な世界を構築していてどこもかしこも興味深い。
特に雰囲気がよかったのは廃墟の中のかくれんぼをしている動物たちと、洞窟のような部屋で子守唄を歌い続けるイノシシの件。
またなぞなぞについては、非常に簡単なものから答えを聞いても全然納得いかない超難題までいろいろあるので、無理して解こうとしないほうがいい(笑)
前までは全然気づかなかった(と思う)のだが、今回は「不思議の国アリス」との類似点が非常に多いというのに気づいた。
ただし雰囲気は全然違うので、全く異なる作品として楽しめる。
続きも探して読みたいけど、文庫サイズのやつは存在してないかも・・・(汗)???
20230311(mixi日記より)
20230317
地底世界シリーズ1
地底の世界ペルシダー
E・R・バローズ著/厚木淳訳
鉱山主ディヴィッド・イネスの出資によって、アブナー・ペリーの設計した地下試掘機が完成し、2人は試運転を開始。
ところが地中の圧力を甘く見ていたのか、一切進行方向を変えられない。
高熱地獄の中を延々と進んだ彼らがたどり着いたのは、地球の中央部を含む地底に広がる広大な世界ペルシダーだった。
そしてその世界にも人間が住んでいたが石器人並みの技術しか持ち合わせておらず、彼らは爬虫類のマハール族に支配されていた・・・。
地上の様子をほとんど語ること無く、いきなり地底へ潜っていくのにびっくり仰天。
ペルシダーに着いてからは火星シリーズでもおなじみの大冒険が繰り広げられるのだが、実はこちらの方が火星シリーズよりも過酷な条件になっている。
まず主人公ディヴィッドは上記の通り鉱山主であり、身体は鍛えているもののせいぜいスポーツマン止まりで、カーターのように戦士ではない。
またペルシダーは中央に地球の中心核が太陽として輝いている世界なので、ひたすら昼が続く。なので夜闇に乗じてというのが一切できないのだ。
そして仲間は頭はいいが老人のペリー以外は現地の原始人だけで、文明化されているマハール族と戦うにはあまりにも頼りない。
というわけで火星シリーズよりも絶望的な状況に陥りがちなのだ。
本書で再認識したのはバロウズが王道のSF作家だということでもあった。
上記ペルシダーの設定は荒唐無稽以外の何物でもないが、太陽の位置が変わらず東西南北さえ無い結果、時間の概念自体が無い世界になっているとか、地球の地底にある世界なのだから当然面積は地上よりは小さいのだが、陸地と海の関係が逆になっている(例えばアメリカ大陸の直下はほぼ同じ形の海になっている)結果、陸地の面積は地上よりも大きいとか、地底世界は重力が地表とは逆に働いているので地平線がなく、海は視界内でせり上がった挙げ句に空と溶け込んでいるという超ビッグスケールのスペースコロニーみたいな描写とか、マハールに聴覚がないのでテレパシーに似た能力で意思の疎通を行っているが、そのせいで音声による会話という概念が理解できておらず、人類に知能があるのにも気づいていないとか、全く異なる環境、生物は人間とは全く異なる常識を構築するのを実にうまく描いているのだ。
化夢宇留仁的にはこれが描けることがSF作家の1つの条件ではないかと思っている。
最後にもう1つこの作品の特徴を挙げておく。
それは作中に究極のツンデレヒロインが降臨しているということである(笑)
彼女は勿論本作のヒロインである<美貌のダイアン>で、勿論<美貌の>も名前の一部なので自己紹介でもそう言う(笑)
それはいいとして(笑)、彼女のツンデレぶりはまさに究極と言えるもので、主人公ともども読者を憤慨の渦中に放り込むのだ。
決め台詞は「あなたなんか大嫌い!」である(笑)
20230316(mixi日記より)
20230326