海の男ホーンブロワー3
砲艦ホットスパー
セシル・スコット・フォレスター著/菊池光訳

 フランスとの開戦が時間の問題となった頃、スループ艦の海尉艦長に任命されたホーンブロワーは宿屋の娘のマリアと結婚したが、3日後にはホットスパーの船上にあり、フランス海軍のブレスト軍港を見張る任務に就いていた。
副官にはブッシュが就き、他の乗員も開戦前だけあって優秀なメンバーを揃えることが出来た。
しかし見張りを開始して間もなくフランスのフリゲート艦ロワール号と遭遇。
最初のうちこそ敬礼の交換などをしていたが、ある日を境にロワール号の動きに変化が。
宣戦が布告されたのだ・・・。

 このあとロワール号との追撃戦(ホットスパーは追われる方)になるのだが、これが実に手に汗握る。
相手はホットスパーの4倍の火力と強固な防御力を備えたフリゲート艦であるから勿論まともに撃ち合うわけにはいかず、操艦の腕と艦長どうしの読み合いで勝敗が決まる。
そしてもちろん帆船であるから風の影響は勿論、操艦手段が非常に複雑で人間の技術や訓練の差がもろに出るので、魅せるディテールが多いのだ。
 その後ホットスパーはブレストの封鎖艦隊に組み込まれ、夜間の奇襲をしたり、季節が変わると闇に紛れて脱出しようとする輸送船団を攻撃したりしてすごした後、今度はスペインからの輸送船団拿捕のための艦隊に組み込まれ・・・と展開にも変化があって面白いのだが、本作ではホーンブロワーが艦長になったことと結婚したことで視界も広がり対応しなければならない状況の種類も増えて厚みが増した。
結婚生活の方は予想通り(笑)基本的に悲惨で、なにしろ結婚した3日後には船出して、帰ってきたらもう長男が生まれているのだ(笑)
勿論艦長になったら船のあらゆることを把握している必要があるので、その長い航海を実現させるための食料、特に飲水の在庫や使用量も心配しなくてはならず、このへんの描写がまた面白い。
食事に関しては艦長は勿論特別扱いで、これまでよりもいろいろな料理が出てくるのがまた興味深くて面白かった。
 そうそう銀河辺境シリーズの主人公グライムズがホーンブロワーの子孫であるという話だったが、本作にはホーンブロワー艦長の当番兵としてグライムズという青年が出てくる。これが料理は下手だしすごく臆病者だしで、祖先はこっちなんじゃないのか(笑)と思ったのだが、その後の展開でそうじゃないとわかった。
いやしかし子供がいたかも・・・と思ったのだが、辺境シリーズの方を見返してみたら母親がホーンブロワー姓だった(笑)
 ちうわけでここには全然書ききれない見どころ満載の長編で、非常に面白かった。
このシリーズは必ず読む前の予想を面白さではるかに上回る。

20230405(mixi日記より)
20230427


ローダンシリーズ23
銀河の病巣アラロン
松谷健二訳

銀河の病巣アラロン
クラーク・ダールトン著
 いったんM-13星系に戻ったローダンは摂政コンピューターに報告し、アラス人の本拠地と思われるアラロンの調査に向かうことに。
コンピューターはアルコン正規艦隊をローダンの指揮下に置いた。
 果たしてアラロンは惑星全体が病院という特殊な星だった。
まずはトーラの治療を依頼するが、トーラを連れて行ったティフとセングも含めてアラス人の有力者テモスに捕まってしまう。
それを知ったローダンは強行着陸の上3人を救出しようとするが、テモスは超重族に助けを求め・・・。

 いわゆる病気を作ってそれを治療して儲けるというわかりやすい金儲けに邁進しているアラス人(笑)
本作は大規模な病院を舞台にサスペンスが展開するが、ラスト近くではこれまでにない宇宙艦隊の強烈にかっこいい描写が。化夢宇留仁感動(笑)
ダールトンの筆の冴えは増すばかり。

アルコン鋼商売
クルト・ブラント著
 復讐に燃えるアラロンはローダンと彼の出身世界らしいテラを撃滅する決意を固め、スプリンガーに協力を求める。
それを断った惑星には凶悪な伝染病が発生。
ところがこれがアラス人の仕業だという噂が流れ、仕方なく莫大な費用を使って治療を行うことに。
 一方ローダンは超重族タラモンの訪問を受け、アラス人の陰謀を聞くが・・・。

 スプリンガー、超重族、アラス人と、関連種族が全て一同に会す上に陰謀と欺瞞と正体不明の敵と要素も多いのでややこしい。
更に著者が今回で3回目のクルト・ブラントだが、相変わらずこの人の文章はわかりにくく、途中で展開を見失いかけた。いや多分見失った(汗)
 ちなみに「剣客商売」みたいなタイトルだが(笑)、文中ではまだ商売は始まってない(汗)

 上でも書いたがアルコン艦隊出現シーンの盛り上がりに尽きる。
そして表紙のごついおっさんは誰かしらと思ったら、超重族タラロンだった。
まさかこの顔で・・・(笑)
 訳者あとがきで、タイプがある横文字と違って日本語はややこしい文字を原稿用紙に手書きしなくてはならないのでしんどいと泣き言を言っていた(笑)
ワープロさえまだ無かった時代なのだ。

20230409(mixi日記より)
20230430


ウルトラQ 第2話 五郎とゴロー
円谷一監督

 
 伊豆淡島のロープウェイに突然現れる巨大な猿。
幸いロープウェイはバックして事なきを得る。
その近くの山奥にある野猿研究所に半月ぶりに戻った2人の研究者が、薬品が荒らされてアオバクルミが食べ尽くされているのを発見する。
留守を守っていた言葉が喋れない青年五郎は責められて山に逃げ込み・・・。

 
 この時点でまあまあの情報量だが、ここからさらに新聞社と星川航空、南国に取材に行っていた江戸川由利子も絡み、情報としては日本軍まで絡んでくる凝った展開になだれ込んでゆく。
相変わらず脚本と演出は未熟な感じだが見どころは非常に多いエピソードで、特に特撮カットの多さとセットのでかさには驚かされる。
考えてみればほぼレギュラーのヘリコプターとか、流石に円谷の気合が入っていて金もかかっている。
そうそうジープも出てきてかっこよかった。
それにしても当時の円谷プロって、なにがあっても南国の島なら許されると思ってるよな(笑)

20230410(mixi日記より)
20230503


こちらITT
草上仁著

アル牛
 人類未踏の惑星に不時着したクレイヴは、そこは草原が広がり牛に似たテレパシーを駆使する知的生命体が存在する世界だと知る。
ところがその牛たちはどいつもこいつも酔っ払っており・・・。

 スーパー酵母のアイデアが面白く、へんてこな異星人たちの様子も楽しい。
オチは少し弱い気がするが、まあ世界のへんてこさを楽しむ作品だろう。

ベター・ハーフ?
 レナン・カスガ警視は惑星ケイトンに着任して1時間も立たない内に殺人事件と相対することになった。
話を聞いた市長はしかし話が通じているような、通じていないような・・・。

 着眼点は面白いと思うが、もう少しひねりが欲しい。

進化の道
 いきなり消えてしまった曲技飛行艇の手がかりを得るために同じコースで飛んでみると、期待通り捜索側の船も消失。
行き先は奇妙な空間で、そこでは物理法則が正常ではないばかりか、驚くべき現象が進行していた・・・。

 意味を持つものはその意味が進化する「情報の進化」という概念が、適当すぎて面白い(笑)

分裂剤
 クルーの中にスパイが紛れ込んでいる。
それを知った4人のクルーはお互いを疑い合うが、やがてそもそもクルーは1人しかいないことを思い出し・・・。

 これまた分裂剤自体のアイデアが面白い。
ものすごい無理があるけど(笑)
オチはもう一つか。

こちらITT
 テレポートが電話と同じように一般的になった世界の国際テレフォン・アンド・テレポーテーション局の電話応対の様子を、箇条書きのような感じで並べた作品。
なんだか雰囲気がよくていい感じ♪
ちうかスタートレックの世界はこんなことになってるんだろうな(笑)

目には目を
 ロシアンマフィア系?のスナイパーが仕事をする。
それは兄弟を告発し、死刑にした者への復讐だったが、その対象は・・・。

 投票というシステムを利用した面白いストーリーで、これは昨今一部で流行った流れの先取りと言えるだろう。
オチも効いている。

道化の釘
 時空を越える能力を持った幼児ハットーが実体化したのは虚空に浮かぶ巨大な人口の星の中で、その中には「道化」しかいなかった。
「道化」は「釘」と強いつながりがあり、それはあらゆる空間を経ても作用し、座標として使用できるほどだったがハットーが「道化」と遊びはじめ・・・。

 なんだか雰囲気のいい作品。
しかし「座標」が影響を与える範囲のすごさがよくわからないままラストになだれ込んでしまい、そのすごさがすごすぎてびっくりした(笑)
ちうか死んだらどうするつもりだったんだ(笑)???

 奥付に1988年8月27日に読了したと書いてあった。33年ぶりの再読(笑)
今回読み直して印象深かったのは著者のアイデアマンぶりで、どれもこれもちょっとびっくりするようなアイデアが投入されている。
第1短編集なのだが、流石にただ者ではない。
あと当時の日本のSF作家独特のにおいのようなものがほとんど無いのも特徴だと思う。

20230411(mixi日記より)
20230506


女子学生(秘)レポート No.7 ローズ色の襞
エルンスト・ホフバウエル監督

 1974年のドイツのポルノコメディーシリーズの1作。
兄が売春宿を経営しているという噂を聞いた妹がその部屋を訪れ、勘違いした客に襲われたので殴り倒し、警察に捕まる。
結局兄も妹もその他女性スタッフもまとめて少年裁判にかかることになり、それぞれの状況などを聞き出す形でエロいエピソードが語られる。

 70年代のポルノコメディー独特のゆるくてあっけらかんとした雰囲気が楽しい。
例えばカフェのオーナーがサンデーを1年分ただにするという条件で女の子3人とホテルに行くが奥さんに気づかれて突入され、慌てて裸のままホテル内を逃げまどう。
そこまではよくある展開だが、なぜかそのあと女の子3人も笑いながら素っ裸のままホテル内を走り回り、そのままレストランに行って食事を注文したりする(笑)
 何はともあれ女の子もみんな可愛いし、70年代のドイツの画も興味深いし、悪くない。
ただしなぜかぼかしが一切無く、その結果ちんこがまともに見えるカットがいくつかあるのは困りもの(笑)

20230415(mixi日記より)
20230509


エルリック・サーガ6 ストームブリンガー
マイクル・ムアコック著/井辻朱美訳

 カーラークのエルリックの宮殿に賊が侵入し、ザロジニアを誘拐した。
残された手がかりはエルリックの術によって賊の死体が語った謎めいた詩のみ。
それには大洋の彼方での戦争という言葉が含まれており、エルリックは大国ダリジョールとパン・タンが手を組んで他の国々に戦端を開こうとしているという噂の西方に向かうが、それは世界の終わりの始まりだった・・・。

 非常に印象的なイメージが多数散りばめられた力作。
しかし本作ではエルリックの次の行き先を指示する存在があるので、お使いRPGっぽくもあったりする(笑)
ただしそうしてエルリックがお使いに走り回る世界はあまりにも悲惨な状態すぎて全然RPGっぽくないが(笑)
 前述の印象的なイメージだが、これは本当に革新的といえるほどで、例えば世界の崩壊ぶりはシン・エヴァンゲリヲンのごとしだし、「白き神々」の降臨はデビルマンのラストみたい。
他にも「兄弟たち」とか、インパクトのあるイメージがとても多い。
 で、面白かったかというとそれはまた別問題(笑)で、あまりにもエルリックが宿命に縛られすぎているので意外な展開というのが全然無いのと、化夢宇留仁的にはなによりアリオッチの退場の仕方がちょっと・・・。
まさに終わらせるための物語という感じで、このへんもシン・エヴァンゲリヲンっぽい(笑)

20230418(mixi日記より)
20230515


五匹の子豚
アガサ・クリスティー著/桑原千恵子訳

 カーラ・ルマルションという若く美しい女性がポアロに16年前の殺人事件の再調査を依頼する。
その事件によって終身刑を言い渡され、1年後に自殺したカロリン・クレイルという女性は彼女の母親であり、事件の被害者はアミアス・クレイルという名の知れた画家でカーラの父だった。
ポアロは情報を集め、事件当初に現場に居合わせた5人と接触を持つ。

 最後近くまでこの作品はクリスティーにしては意外にも犯人がバレバレだと思っていた。
それで動機も出来事や感情の整合性も説明がつく。
そしてもちろんそういう著者の罠に化夢宇留仁がはまっていたのだが(笑)
 16年も過去の事件の調査ということで非常に地味な展開が続くのだが、5人それぞれに手記を書かせてその違いを見つけさせたりと、パズル的な面白さもあって面白い。
そもそもポアロがなにかしているだけで面白いので、事件に派手さは必要ないのだった(笑)
 しかし気になる点も。
当時3人の召使いがいたのに、彼らは全く疑う余地がないとして名前さえ出ないで終わるのだが、乱暴すぎる。
そんなことを言い出したら件の5人の子豚も全員疑う余地がないと言えると思う。

20230423(mixi日記より)
20230515


無敵鋼人ダイターン3 第11話
富野善之監督

第11話 伝説のニーベルゲン
 

 世界各地で博物館から戦車が脱走して海に飛び込むという事件が発生。
万丈は戦車コレクターのヘスラー老人にメガノイドからの護衛を頼まれるが・・・。

 
 ヘスラーに部品を取り外されたためにダイタンクからダイターン3に戻れなくなってしまい、その分珍しいダイタンクの活躍(?)シーンが満喫できる。
後半の見せ場は何と言っても超巨大戦車ニーベルゲンで、なんとダイタンクを踏み潰せそうなほどにでかい。おそらく高さ200mはある(笑)
他にもデスバトルやらメガボーグやら、やたらと色々な敵が出てくる話でもあった。
しかしストーリー的にはこれと言ってひねったところもなく、適当な感じだった(笑)
冒頭に博物館で動き出した戦車達は一応車種がわかる程度にはちゃんと描いていた。

20230423(mixi日記より)
20230517


剣客商売四 天魔
池波正太郎著

雷神
 落合孫六は二日酔いの古狸のような風貌だったが、秋山小兵衛が育てた中でも5本の指に入る剣客だった。
その孫六からなれ合い試合をしてもよいかと聞かれ、それを許した小兵衛だったが、その試合の審判を務めることになり・・・。

 なんだかのほほんとした話で、落ちも平和な感じでこういうのもなかなかよい。

箱根細工
 同門だった横川彦五郎が身体を壊していると聞いた小兵衛だったがもうすぐ家が完成することもあって多忙で、見舞いを大治郎に頼んだ。
しかし彦五郎のみすぼらしい道場には人気がなく、通りかかった人に聞けば箱根に湯治に行ったという。
箱根に向かった大治郎だったが、道中相当な腕を持つと思われる剣客と行き当たり・・・。

 ちょくちょく出てくる大治郎の旅のエピソードがいつも当時の旅の趣が伝わってきて魅力的。
温泉での件などは映像的な面白さも。

夫婦浪人
 宗哲老先生のところで碁を楽しんだあと、鬼熊酒屋に寄った小兵衛はそこで男同士の痴話喧嘩に遭遇する。
また大治郎が諸国をまわって修行していた折、大坂天満で世話になった柳嘉右衛門の門人だった高野十太郎が仇を探していたが、その助っ人が痴話喧嘩をしていた2人の内の1人だった。
どうやら捨てられようとしているもう1人は見た目も不細工でこ汚い男だったがなんとなく小兵衛と話をするようになり・・・。

 ユーモラスなような、切ないような、何とも言えない話。

天魔
 小兵衛が昼寝しているところに現れた矮躯の笹目千代太郎という男は、その昔小兵衛が剣術の修業をするように男の父親に勧めたほどの身体能力の持ち主だったが、今や道場を破っては人を殺してまわる怪物と化していた・・・。

 千代太郎の怪物感がすごい。
そして千代太郎のすごさを描くだけ描いた末に決闘シーンが始まるんだから盛り上がらないわけがない。

約束金二十両
 明神社の境内に立ち会いをして勝てば3両いただくという立て看板を見つける三冬。
書いた者は雲弘流を名乗っていたが、62歳とも書かれていた。
興味を持った三冬と大治郎が訪ねてみると、予想以上にみすぼらしい老人だったがその腕は・・・。

 雲弘流平内太兵衛重久のキャラクターが滅茶苦茶すぎてかっこいい(笑)
そして二十両を稼ごうとしている理由とその顛末が愉快すぎて、読んでいて思わずにやけてしまった。
冒頭からも小兵衛がおはると仲良く栗の皮をむいているとか、とにかくにやけてしまう話(笑)

鰻坊主
 初めて1人で鬼熊酒屋に入って酒を飲んでいた大治郎だったが、そこにやってきた薄汚れた坊主を見て寝たふりをする。
坊主は店の前で五十両を拾ったので落とし主を待つと言い、やがて現れた落とし主から礼金五両をもらって姿を消したが・・・。

 素晴らしくスマートな詐欺(笑)
この詐欺は応援したくなってこれまたにやけてしまう(笑)
 またこの話ではあとの話にも尾を引く○饅頭という台詞が・・・(笑)

突発
 新しい煙管を作ってもらおうと馴染みの煙管師のところへ向かう小兵衛だが、その時件の煙管師は死にかけて・・・いると思いこんでおり、その女房と医者はできていた。
ところがそこに関係ない斬り合いの2人が絡み・・・。

 なんだか滅茶苦茶な話。ちょっと後期の少年版夢幻紳士を思い出した(笑)
小兵衛もご飯まで食べさせてもらってから言い出すのが人が悪すぎる(笑)

老僧狂乱
 大治郎が昔腹を壊して行き倒れそうになっていたところを助けてくれた坊主が川に身を投げて自殺しようとしているところに行き当たり、なんとか助け出すが、その無覚和尚は寺の修繕のために集めていた百両を奪われてしまっており、生きる望みを失っていた。
大治郎から話を聞いた小兵衛はなんとか百両を工面するが・・・。

 なかなか意外な展開。
そしてまだ爪痕を残す○饅頭(笑)

 すっかりシリーズが軌道に乗ってコメディー要素も強まってきたか、とにかく楽しくてにやけてしまうので、1人で飲みに行ってカウンターで飲みながら読んでいたらますますにやけた(笑)

20230425(mixi日記より)
20230519


世界の果てまで何マイル
テリー・ビッスン著/中村融訳

 魔法使いトーキング・マンは彼の分身であるジーンの爪が消えていたことから彼女が「非在」に触れたのだと気づき、それとフクロウを持って逃げ出した。
アメリカの片田舎で結婚して自動車整備工場を営んでいたトーキング・マンの娘クリスタルは、タバコ畑を耕していたある日、トーキング・マンが何者かに襲われたことを知る。
そこにやってきたのは昨日トーキング・マンにムスタングのフロントガラスを治してもらったウイリアムズという青年で、彼とクリスタルはトーキング・マンを探すたびに出るが、それはやがて北極に達する奇妙な旅だった・・・。

 む〜〜〜んよくわからん(汗)
ジャンルで言うならファンタジーだが、ほら話をそのまま小説の形にしたような趣で、展開よりもむしろ「旅」自体を楽しむ感じ。
しかし化夢宇留仁にはアメリカ南部の様子を僅かな知識でしか知らないし、車での長距離の旅行もしたことが無いので想起されるイメージ源が貧困すぎるのだと思う。
 また所々でファンタジー的な描写がいきなり挟まるのだが、読んでいる途中でこの感覚は覚えがあると思い出したのは「1Q84」だった。
あの幻覚なんだか本気なんだかよくわからない薄気味悪い感覚がまさに同じ。

20230430(mixi日記より)
20230522


キャプテン・フューチャー フューチャーメン暗殺計画
エドモンド・ハミルトン著/野田昌宏訳

 太陽系の人口過多に対しての唯一の解決策としてフューチャーが提案したのは、地球と火星の間に新たな惑星を創造するというとてつもない計画だった。
しかしその計画を密かに妨害しようと誓う男がいた。
彼はハートリー・ブルックスといい、表には出ずに太陽系の居住環境や重工業を牛耳る経済界のボスであり、やがては太陽系の帝王になることを目指していた。
しかしフューチャーの計画が実行されれば政府が主導する大事業となり、彼の独占が破綻してしまうのだ。
カーティスが小惑星の遺跡の調査に向かうことを知ったブルックスは、その機会にカーティスを暗殺するよう部下のカールス・ヴィルスンに命じ・・・。

 まず最初の表に出ずに経済界を牛耳っているボスという設定で今回はなかなか渋い敵を出してきたなと思ったのだが、その後もフューチャーメンとブルックスとは別に第3者が絡んできて三つ巴の様相を呈するなど、なかなか凝ったプロットで盛り上がり、ちょっといつもと違うぞと思わされた。
そしてそれはジョオン再登場のシーンで最高潮に達し、演出効きまくりのドラマチックな展開にどうしたハミルトン!?と思って調べてみたら案の定「異次元侵攻軍迫る!」と同じくジョゼフ・サマクスンの著作だった(笑)
しかし「異次元侵攻軍迫る!」とはノリが全然異なり、渋い設定となかなか複雑なプロットで大いに盛り上がり、このままだと大傑作になるのではないかと思ったのだが、後半が少し残念なことに。
 まずこの話ではカーティスが記憶を失って1人で行動するのだが、他のメンバーとの再会と記憶が戻るシチュエーションがあまりにもドラマツルギーから離れており、超肩透かし(汗)
ジョオンとの関係もピリピリしていていい感じだったのに・・・(汗)
 またラスト近くのアクションシーンは言ってしまえば下手で、ドラマティックな展開が繰り返されているのにあまりにもあっさりした書き方で全然盛り上がらない(汗)
 ちうわけで前半はおそろしく面白かったのだが、後半は少し残念な感じだったが、見どころが多くて楽しめた。
 ところで本作での惑星創造だが、ノリ的にはクラッシャーの惑星改造みたいだと思ったりもして興味深かった。

20230502(mixi日記より)
20230525


ウルトラQ 第3話 宇宙からの贈りもの
円谷一監督

 
 制御を失って火星地表に墜落したロケットに搭載されていたカプセルがパラシュートまでつけて戻ってきて海に落下。
回収されたカプセルの中には小さな金色の玉が2つ入っていた。
玉は大金庫で厳重に保管されるが折り悪く泥棒に盗まれ・・・。

 
 初っ端からとんでもない偶然で始まってびっくりする。
更に畳み掛けるような偶然の連続にくらくらしているところに、泥棒と万城目の肉弾戦が長尺で繰り広げられるが、結局泥棒の言うことを聞いて全くの無意味に(汗)
 そして現れる怪獣ナメゴン。
これのヌメヌメ感はなかなかいい感じだが、塩水で溶けてしまうって、海に落下するところが目撃されてなかったら手も足も出ないのでは・・・(汗)
 ちうわけで相変わらず舌足らずなところは目立つが、本作では映っているだけで面白い一の谷博士も登場し、由利子ちゃんと併せて眼福な話でもあった(笑)

20230503(mixi日記より)
20230527



安部公房著

第一部 S・カルマ氏の犯罪
 ある朝起きると名前が失われていた。
しかも自分の部屋からは自分の名前に関わるものは全て消失していた。
ところが会社に行ってみると「S・カルマ」という自分の名札らしいものは存在していたが、そこにS・カルマ氏はすでにいて、タイピストのY子の膝をなでながら口述筆記をさせていた。
その時そこにいるのは自分の名刺だと気づいた「わたし」は・・・。

 なんだかよくわからん(笑)
朝起きたら素っ頓狂な異変に気づくのはカフカを思い出させるが、あれほど悲惨な雰囲気はなくて、カラッとしている。
裁判の件など、こないだ読んだ「ぽっぺん先生の日曜日」を思い出させるところも多かった。

第二部 バベルの塔の狸
 詩人の「ぼく」は貧しかったが、飛び抜けた空想力でそれなりに幸せに過ごしていた。
しかしある日公園で狸に似た奇妙な生き物に自分の影を取られ、その結果眼以外は透明になってしまう・・・。

 後半の展開はなかなか濃密な異界描写で、ラブクラフトの「偉大なる影」を思い出させた。
オチが意外にストレートで、SFっぽい。

第三部 赤い繭
赤い繭

 帰る家のない「おれ」には、なぜ自分に家がないのかがわからない。
やがて彼の脚がほつれだし・・・。

 不条理ショートショート。
独特の味わいはあった。

洪水
 天体望遠鏡で夜空を眺めていた哲学者がなんとなく望遠鏡を下げてみると、そこに映ったのは労働者が溶けて液体になり、壁を這い上がって姿を消すところだった。
それから世界は液化した人間による洪水に見舞われ・・・。

 なんだかよくわからん(笑)

魔法のチョーク
 貧乏な画家のアルゴンは、部屋にあったものは椅子以外すべて売り払ってしまい、もはや売るものも無い危機的な状況だった。
ところがなぜかポケットから出てきた赤いチョークで空腹に任せて壁に食べ物の絵を描くと、なんとそれが実物に・・・。

 ショートショートらしいショートショート。

事業
 実業家の「私」は食用ネズミで財を成したが、ネズミよりも合理的な材料に切り替えることにする・・・。

 要するに人肉食を事業化しようとしているのだが、言っていることが一々納得できるのが恐ろしい(笑)

 ちうわけで多分初めて読んだ安部公房だったが、想像していたよりも読みやすく、不条理感も感じなかった。
上でよくわからんと書いているのは、なにが書いてあるのかわからないということではなく、なにが言いたいのかわからないという意味である。
最近読んだ「世界の果てまで何マイル」でもよくわからんと書いたが(笑)、あっちは著者の意図はなんとなくわかるのだがそれが文章から伝わり切れていないという感じだったのに対して、こっちはそもそも意図自体がよくわからないというか(笑)
ただしわからないからといって面白くないとは限らず、それもまあまあ面白く読めた。
 一番よくわからなかったのは本の構成で、第一部とか言うからてっきり長編なんだと思っていたら、全然関係ない話を集めた短編集だったところで、これはほんとにクラクラした(汗)
昔はこんな感じの短編集が普通だったのだろうか???

20230512(mixi日記より)
20230530


ローダンシリーズ24
地球替え玉作戦
松谷健二訳

ゴム応答せず
クルト・マール著
 ガゼルで脱出したブル達は、ゴムという惑星からの強力なテレキネシスに逆らえず不時着していた。
そこの大気は酸素を含んでいたが、1.9Gの重力と20気圧に自転と公転が一致しているのでいつも恒星に同じ面を向けており、極端な温度差の地獄のような世界で宇宙服を脱ぐわけにもいかない。
そこで奇妙な黒っぽいエナメルのような生物と遭遇し・・・。

 前回の展開からいきなり惑星サバイバル話が挟まるとは、予想外。
なんだか最終回に向けて話数が余ったような感じ(汗)

地球替え玉作戦
クラーク・ダールトン著
 地球の偽の座標はベテルギュースの第3惑星を示しており、ローダンの作戦はスプリンガーにそこを攻撃させて地球を破壊したと思わせるというものだった。
まずは重巡ケントゥリオとテラが同星系の調査に向かう。
第3惑星はジャングルが広がっているが知的生命体はいない。
ところが表面のほとんどが海である第4惑星も調査してみたところ、そこには予想外の勢力が・・・。

 お懐かしいトプシダーさん達(笑)
化夢宇留仁はなんとなく彼らのことが好きだ(笑)
それにしても非常に大雑把な作戦である。
いくらなんでも気づくのでは(笑)???

20230515(mixi日記より)
20230601


高い砦
デズモンド・バグリイ著/矢野徹訳

 零細航空会社のパイロットであるオハラは、夜明け2時間前に雇い主のフィルソンからの電話で起こされる。
ボーイング727が緊急着陸し、乗客の中の急ぎの10名を輸送する仕事が舞い込んだのだ。
ボロボロのダコタで出発し南米の厳しい山を縫って進むが、ハイジャックが発生し、機は山中に不時着することに・・・。

 いや〜〜〜〜〜バグリイは間違いないわ〜〜〜。
不時着を生き残ったメンバーはそれから更に自然の脅威、彼らを狙う軍など、地獄のような困難に突入していくわけだが、彼らは単なる一般人・・・にしては有能すぎる(笑)
そのへんのファンタジー感も含めてバグリイのいいところだと思う。リアリティよりも面白さのほうが大事(笑)
 そして相変わらずおっさん達のかっこいい活躍を描くのが最高にうまい。
特に本作ではタイプの異なるかっこいいおっさんがたくさん出てきて、そのあまりのかっこよさに泣かされる。
ローデ・・・ローデよ〜〜〜〜〜〜〜(汗)
そして相変わらず女性キャラはなにを考えているのかわからない(笑)
しかしラストのそれまでのうっぷんを吹き飛ばすような見せ場も大盛りあがりだし、これぞ冒険小説の傑作と言うにふさわしい作品だと思う。
 ところで気になったのだが、手製で鋼鉄製の石弓を一晩で作り上げるのはまあ道具次第かとも思うが、車の板バネを使った超強力なそれをロックできて指で引き金を引ける構造って可能なんだろうか・・・???

20230521(mixi日記より)
20230603


ターザンの密林物語
エドガー・ライズ・バロウズ著/高橋豊訳

 青年に成長したターザンがジェーンと出会うまでの間の期間を取り上げた連作短編集。
ターザンの初恋
 類人猿達に混じって暮らしているターザンは美人の類人猿ティーカに初恋をする。
しかし彼女を狙うのは彼だけではなく・・・。

 類人猿の思考や習慣が真に迫っていて、ほんとうに地球上に存在しているような錯覚を覚えさせるバロウズの筆はほんとにすごい。

象とターザン
 ジャングルの中で黒人戦士たちがなにやら作業をしているのを見物しているターザン。
大きな穴を掘り、その中に何本もの先端を尖らせた長い杭を植え、穴の上に葉や草をのせていたが、ターザンにはそれがなんのためのものかは分からなかった。
その後仲良しの象タントルとしばし遊んで別れた後、タントルの背後から黒人たちが飛び出してさっきの場所に誘導しようとしているのを見、ターザンはあの穴がなんのためのものか悟る。

 「象と仲良し」と言うばかりで今までそんな描写がろくに無かったが、ようやく出てきた(笑)

赤ん坊
 ターザンの初恋の相手ティーカはターザンの幼馴染である類人猿タウグとの間に子供を設けた。
赤ん坊に興味津々のターザンだったが、神経質になっているティーカはターザンを近寄せようとしない。そこにタウグもやってきてターザンに襲いかかるが、ターザンはタウグの足にロープを巻き付けて逆さ吊りにしてしまう。
その騒ぎにティーカが赤ん坊から目を離したすきに、背後からシェエタ(豹)が忍び寄っていた・・・。

 タウグの原始的すぎる脳みそに去来する感情の表現が見事で、リアリティを感じさせつつもドラマを成立させているのがすごすぎる。


 丸太小屋で本を読んでいるターザンの最近の疑問の対象は「神」だった。
神とは何者なのか?
本だけではわからず、ターザンは神を探し出してジャングル最強を賭けて勝負を挑むことにする。
まずは手近な物知りの類人猿であるムンバにたずねてみると、それはゴロ(月)かもしれないという示唆を得・・・。

 まったく英語を聞いたことがないターザンが独自に編み出したアルファベットの発音法が接頭語で大文字と小文字を区別するとか凝っていて面白い。
バルスーム語もそうだが、バロウズは言語に対する関心も知識も相当なものである。
 またこの話では象の落とし穴を掘っていた黒人たちの村であるムボンガ(酋長の名前)も登場する。
この村はターザンの育ての親を殺した戦士がいたせいで、その後ターザンにえらい目に合わされ続けているのだが、この話でもターザンが村のまじない師を神と勘違いしたためにえらい目に(笑)

ターザンと黒人の少年
 ティーカの息子ガザンのお守りをするターザン。
周りを見回すと類人猿達はみんな親子で、それどころか目につく野生動物や鳥も親子だらけ。
愛に飢えたターザンは自分も愛する子供を持つと決め、手っ取り早くムボンガの村の小さな男の子を誘拐するのだが・・・。

 可哀想過ぎる誘拐された男の子ティボとその母親モマヤ(笑)
うまくいくはずがないターザンの目論見は置いといて(笑)、物語は息子を探すためにまじない師を尋ねるモマヤ視点の方が盛り上がりはじめ、ハイエナを連れた奇怪なまじない師も現れたりと、目が離せない展開になって面白い。

まじない師の復讐
 ターザンのせいでせしめるはずだった肥えた羊3頭と新しい寝むしろ1枚と大人の前腕の長さの銅線1本を手に入れそこねたまじない師ブカワイは復讐を誓い、まずはティボを誘拐してモマヤからまじないの報酬を搾り取ろうとする。

 タイトルを見た瞬間に思うのは「やめとけばいいのに」(笑)
もちろん結果は復讐する前よりも酷い目に合うのだ(笑)
今回はムボンガのまじない師ラバ・ケガも巻き込まれてえらい目に(笑)

ブカワイの最期
 嵐の夜に雨宿りしていた木に落雷があり、意識を失って倒れるターザン。
それを見つけたのはまじない師ブカワイだった。
彼はターザンを縛り上げてペットの2匹のハイエナに食い殺されるところを見物して楽しもうとするのだが・・・。

 タイトルが(笑)
出てきたときは不気味な隠者という感じで威厳があったのに、散々な結末を迎えるブカワイ(笑)
しかしらい病で崩れた身体とかハイエナとの間の恐怖と憎しみのバランスとか、描写も色々と凝っていて面白いキャラクターだった。
合掌(笑)

ジャングルのユーモア
 飢えたヌマ(雄ライオン)がターザンのいるカーチャクの部族を奇襲し、類人猿女性マンカが子供を守ってヌマに立ちふさがり、結果さらわれた。
ターザンは類人猿達を引き連れて救出に向かうがマンカはすでに死んでいた。
しかしそのままヌマを満足させてしまっては襲撃を繰り返すだろうと思ったターザンは苦労の末にヌマが食べてしまう前にマンカを取り戻す。
 ターザンはこれからは見張りを置くことを主張し、他の類人猿たちも賛成する。
その数日後、ターザンはムボンガのまじない師の家から奪ってきたヌマの毛皮を使っていたずらを仕掛けるが・・・。

 ムボンガのまじない師の被っていたのは最初はバッファローと書かれていたのにいつの間にかライオンに変わっている気がする(笑)
それはそうと、ターザンがちょっと呆れつつ他の動物達は餌を漁るときはちゃんと見張りを置いていると類人猿に言うのがおかしい。
どうやら類人猿達はジャングルで最も緊張感の無い種族らしい(笑)

悪夢
 狩りの不発が続いて空腹だったところをムボンガの村で象の肉で大宴会が開かれているのに気づいたターザンは、みんなが食い疲れて眠るのを待ち、最期まで寝ずに食べ続けていた老人をぶち殺し(笑)、ようやく山盛りの象の肉にありついたが、その肉は病死した象のものですでに腐敗も進んでいた。
食中毒の結果初めて夢を見たターザンは現実との区別がつかなくなり・・・。

 気軽にぶち殺される老人(笑)

銃弾
 見張りを置くことで平和な日々が続いたカーチャクの部族はすっかりたるみ切ってしまい、見張りもおざなりな上にみんなばらばらに散って餌を探すようになっていた。
そこに現れた他の部族でボスの座を狙ったが敗北して追放された若い雄の類人猿ツーグは餌を探すティーカに一目惚れし、息子ティボを餌に彼女を誘拐する。
 丸太小屋でベッドの下にあった小箱の中から出てきた硬貨や銃弾を磨いて遊んでいたターザンは緊急事態の声を聞いて駆けつけ、タウグとともに追跡を開始するが・・・。

 悪者にさらわれるというヒロインらしい活躍を見せるティーカ。
超美人の類人猿という設定なのだ(笑)
 ところでジャングルでの野生ライフと丸太小屋でのちょびっと文明ライフのどちらも満喫しているターザンだが、丸太小屋には白骨化した両親が転がったままである(笑)

変身
 研いだ貝殻で散髪したターザンが散歩に出かけると、ライオンの罠を作っているムボンガの黒人たちを発見する。
罠の餌は生きた仔ライオンで、檻の中に縛り付けられており、ライオンが中に入ったら蓋が閉まる仕掛けである。
罠を仕掛けている中にまじない師のラバ・ケガもいるのに気づいたターザンは面白いいたずらを思いつき・・・。

 いたずらの内容は、餌の仔ライオンとまじない師を入れ替えるというものである(笑)
こうしてターザンに直接酷いことをしたわけではない(未遂はあったが)まじない師ラバ・ケガは悲惨な末路をたどったのだった(笑)
ちなみに助け出された仔ライオンもターザンがぶち殺して食った(笑)

月を救う
 夜の散歩に出かけたターザンは、黒人たちのキャンプが肉食獣の群に襲われているところに出くわす。
黒人たちの中で1人だけは勇敢な男がおり、なんとか逃げ延びたようだった。
寝床に戻ったターザンは寝付けずに考え事をしていたが、突然ゴロ(月)がヌマ(ライオン)の群(星が光るライオンの目)に囲まれており、やがて食い尽くされてしまうと思いつく。
その考えを聞かされたタウグは初めて星というものを認識して恐怖を覚え、それを部族のボスであるグントに話す。
グントはターザンがヌマを連れて行ってゴロを食い殺すのだと言い、その前にターザンを殺すべきだと言い・・・。

 全然関係ない出来事や思考が絡まり、最後はスペクタクルに。
絶対予想不可能な展開(笑)
それにしてもターザンは弓なんて持ってたっけ???

 というわけで初のバロウズの短編集だったが、バロウズ自身も初めてだったらしいが読んだ感じはそれぞれの話の関連も強いし、やはり長編っぽかった。
しかし「ターザンの逆襲」を始めとして、バロウズはオーバーキルなまでにドラマを盛り上げる力があるので、時として「もう勘弁して」と読者(化夢宇留仁)の心が折れそうになったりするのだが(笑)、短編だとそれぞれの話で一応事件は完結するので気軽に読めるのが嬉しい。その分もちろん長編のような満足感は得られないのだが。
 振り返ってみればこの期間のターザンはどんな風だっただろうと想像し、こんなことがありそうだと思われるものが全部形になっているという感じで、中には意外な展開も含まれていたりして、充実した1冊だった。
 あと上で書いたムボンガの村はほんとにひどい目にあっていて、行方不明者は増え続け、時には空から死体が降ってきたりするのだ。
もちろん全部ターザンがやっている(笑)
なんで引っ越さないのか理解に苦しむ(笑)

20230526(mixi日記より)
20230606


英国パラソル奇譚
アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う

ゲイル・キャリガー著/川野靖子訳

を読んだ。昨日。
 ウールジー城を追い出され、ルーントウィル家にもいたたまれなくなったアレクシアは、アケルダマ卿の誘いを受けて彼の城に向かうが、なぜかドローン達も含めて卿の姿はなかった。
アレクシアは妊娠の謎を解くためにロンドンを出る決意をする。
 一方ライオールはあれ以来酔い潰れているアルファの処置に頭を悩ませていた・・・。

 ほぼ前巻ラストに生じたゴタゴタを収拾するだけの話だが、元々キャラクター小説の要素が多いので問題なく楽しめた。
今回はイギリスを出てフランス、イタリアへと旅をするので、この世界のそれぞれの国がどんな様子なのかもなかなか興味深かった。
テンプル騎士団の管区長はなぜかモズグス様を思い出した(笑)
 一番びっくりしたのはコメディー担当アイビィが実は・・・という展開(汗)

20230602(mixi日記より)
20230610


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