戦後SF事件史
長山靖生著
バイトのOKさんに借りた。
文字通り戦後のSFの歴史と、それに連れて起こった事件を紹介している。
一言にSFと言ってもその関わるジャンルは様々で、影響があったと思われる登場人物は舞台芸術や哲学など、幅広く紹介している。
特にこれと言って特筆するような内容ではないが、著者の思う未来への想像力を培うのがSFであるというのは化夢宇留仁も諸手をあげて賛成するところ。
日本の未来のために、みんな東野圭吾を読んでいる時間があったらSFを読むべきだと思う。
20130728(mixi日記より)
20240214
剣客商売七 隠れ箕
池波正太郎著
春愁
小兵衛のところに訪ねてきた刀屋の嶋屋孫助が、後藤角之助を見かけたと告げる。
それは12年前に小兵衛が開いていた道場にちょくちょく顔を出していたが、小兵衛のお気に入りの門人である笠井駒太郎を殺害して姿を消していたのだ。実はそれには当時小兵衛の道場の近くにあった別の道場が関わっており・・・。
ほろ苦い結末。
たまにこういうのも挟まるので深みが出る。
徳どん、逃げろ
傘屋の徳次郎は今夜も賭場で仕事半分遊び半分に過ごしていたが、彼に話しかけてきたのはなんと盗人で、徳次郎も盗人だと思いこんで一緒に仕事をしようと持ちかけてきた。
しかも押し入ろうとしているのはどうも小兵衛の家らしい・・・。
ドタバタ喜劇になるかと思いきや、盗人八郎吾がいい人すぎて感動作に(汗)
徳次郎のキャラも厚みが出てきていい感じ。
ちうかそこでいきなり出てくるか大治郎(笑)
隠れ箕
大治郎が道中遭遇したのは3人の侍に試し斬りされそうになっていた老僧で、大治郎は2年前にその僧に会ったことがあるのを思い出す。
その時老人は盲た老侍と旅をしていた。
話を聞いた小兵衛は老僧を襲っていた侍3人の所在を突き止め、彼らが口封じのために再び老僧を襲おうとしていることを知る・・・。
珍しく小兵衛の計画に穴が。
一応ミスもする人間だったんだと少し安心。
それにしても最後の盲た老侍の見せ場のかっこいいことよ。
梅雨の柚の花
新しく大治郎の道場に入門した笹野新五郎は、なかなか見どころのある若者だった。
彼はある男への復讐のために腕を磨いていたのだが、やがて剣術そのものに集中するようになる。
ところで彼は大五郎の道場に入門する少し前まで酒浸りだったのだが、彼が一念奮起して修行に打ち込み始めたのを見て心配になった者たちがいた。
そやつらはかつての新五郎の師匠を闇討ちで殺害していたのだ・・・。
新五郎の殺陣がこれまたかっこいい。
この先が楽しみなキャラクターである。
大江戸ゆばり組
いきなりスーパーアサシンぶりを発揮する小兵衛(汗)
その後おはるとデートする小兵衛(笑)
鰻の辻売りの又六と会っていろいろな話を聞くが、その中に悪質な詐欺が行われているらしい話があり、それの次の標的は小兵衛の古い友人で・・・。
小兵衛とおはるのデートがいい感じすぎて、そのまま楽しくデートして終わりでもよかったくらい(笑)
後半に出てくる絵師の川野玉栄と小兵衛が意気投合するところはなんだか「モルグ街の殺人事件」の2人みたいだった(笑)
越後屋騒ぎ
金貸し小兵衛に遺した屋敷に住んでいる植村友之助と為七の2人に会いに行き、元気で楽しく暮らしているのを見て喜ぶ小兵衛。
その帰りに見たのは小さな子供が誘拐されかかっているところだった。
もちろんそれは小兵衛が防ぐが、子供の親である越後屋の主の対応がどうもおかしく、弥七と文蔵に探らせるが・・・。
ミステリー風味で進む前半と、いきなり結末がきて種明かしがされる展開は少々唐突で、シリーズ初のイマイチな話という印象。
屋敷の2人と弥七と文蔵は実にいい感じなのでなんだか惜しい。
決闘・高田の馬場
大五郎が道で見かけたのはかつての小兵衛の道場の腕利きの吉村弥惣治だったが、彼はなにかをすごく悩んでいるらしく、大五郎にも気づかない有様だった。
気になった大五郎が小兵衛に相談し、小兵衛は書物問屋の主人から興味深い話を聞く。
ドタバタ(笑)
ちうか家老2人がうまく収めていたのに、それを知らずに関係者全員を◯◯する秋山親子がそんなことは最後まで知らないままというのがあまりにもドタバタすぎる(笑)
完全に本に任せきってただただ楽しむだけという読み方ができるのは、今のところこのシリーズしか知らない。
なんの心配もなく、ただほんとに楽しむだけ。
今回初めてちょっと構成に疑問を感じる話もあったが、それでもただ楽しむというのが壊れるようなほどではない。
20240214(mixi日記より)
20240215
県庁おもてなし課
有川浩著
例によってMKさんの本をパクって(笑)
高知県の県庁に立ち上がった「おもてなし課」
ここでは高知県での観光事業を盛り上げるため、新たな方法が模索される。
しかしなにしろお役所仕事で脳みそは全然働かず、とりあえずやってみたことも他県の真似で、しかもそれですらまともに運営できず、協力者の県出身作家から苦情が。
しかしそれがきっかけでおもてなし課に変化が・・・。
どことなくドキュメンタリーのような雰囲気を感じるのはあまりにも現実的な設定からか。
それでいて変にキャラクターは起っていて、見方によってはラブコメディーのようでもあったりする。
結局どこかダイジェストのような雰囲気さえ感じさせるスピーディーな展開で、スカッと終わる。
これはまさに今の日本の主な読者にピッタリの小説だろう。人気が出るのもうなずける。
個人的にはもっと掘り下げてドロドロの物語展開にしてほしいと思うのだが、これはこれで非常に高い完成度に達しているのは分かる。
結構好き(笑)
201307314(mixi日記より)
20240217
宇宙大作戦 謎の精神寄生体
ジェムズ・ブリッシュ著/佐和誠訳
を2月17日に読んだ。実家にて。
決闘場
ジーン・L・クーン原案
セクタス星系第3惑星の基地の司令官トラバースからエンタープライズに招待の通信が入った。トラバースの用意するごちそうの味は保証付きだったので喜んで基地に向かうが、そこに待っていたのは皆殺しになり、廃墟と化した基地の姿だった。
基地を攻撃した何者かが偽の通信を送り、エンタープライズをおびき寄せたのだ。
しかしエンタープライズは敵艦を撃退し、逃亡する敵艦の追跡に入った。
ところがある星系で両船とも動きを封じられ、メトロン星人と名乗る者からの通信が入る。
カークがはっと気づくと荒野のような惑星上で恐竜のような異星人と相対していた・・・。
だいたいテレビ通りの内容。
メトロン星人はウルトラセブンに負けてから、自分磨きに精をだして高度で平和的な知性を身に着けた模様(笑)
TV版
アーマゲドン
ロバート・ハムナー、ジーン・L・クーン原案
フォックス大使を乗せたエンタープライズは宇宙連邦所属船ヴァリアントが行方不明になったエミニアー7に向かっていたが、目的地からのコード710(無条件での接近禁止の警告)を受ける。
カークはさっさと引き上げたかったが、フォックス大使がそれを許さなかった。
エミニアー7に到着し、カーク達が上陸してみると、意外なことに住民たちの対応は丁寧で、しかも非常に高度な文明を築いていた。
ところが警報が鳴り響いた直後から状況が変わり・・・。
元のエピソードからなかなか考えさせられる内容で、小説版ではその辺がテレビよりもわかりやすく伝わってきたように思う。
相手が即座に攻撃してきたら終わってるけど(笑)
しかし最大の問題はタムラ秘書がいないこと(笑)
TV版
明日はきのう
D・C・フォンタナ原案
エンタープライズは暗黒星と衝突し、1970年代の地球にタイムスリップしてしまう。
しかも機能不全を起こしてシールドを張れない状態で米軍に察知され、迎撃戦闘機に攻撃されそうになる。
カークはとっさに戦闘機のパイロットを転送収容する。
未来のことを知ってしまったジョン・クリストファー大尉をもはや地球に戻すわけにはいかなかったが、彼の息子が宇宙開発に多大な貢献をしていることが判明し・・・。
コメディタッチのテレビ版で無茶苦茶だったカークの行動が、もう少し納得の行く説明がされている。
ラストの非常に都合のいい展開は仕方ないとして、タイムパラドックス的な部分は面白く表現できている佳作だと思う。
それ以外のメチャクチャなシーンはほぼ全てカット(笑)
米軍機パイロットが上空を飛ぶエンタープライズを見てその驚きを報告するところは胸熱。
TV版
慈悲の使命
ジョージ・L・クーン原案
オーガニア星系でクリンゴン船の攻撃を受けるエンタープライズだったが、反撃によってクリンゴン船は破壊された。しかしクリンゴンの艦隊が駆けつけてくるのは間違いない。
オーガニア星系はこれといった価値の無い星系だったが、その場所は惑星艦隊もクリンゴン帝国も、それぞれ前哨基地にするのにちょうどいい場所にあったのだ。
ところがオーガニア人はカークの話をはねのけ、保護も全く必要ないと言い切る。
そこにクリンゴンの艦隊が現れ・・・。
テレビでもクリンゴンの司令官コール(本作ではコル)が最高だったが、小説版でも彼の魅力が最大限発揮されていてとても面白い。
やっぱクリンゴンはこうじゃなきゃね。
TV版
軍法会議
ドン・M・マンキーウィッツ、スティーヴン・W・カラバツォス原案
イオン嵐を乗り切ったエンタープライズだったが、その時ベンジャミン・フィニーが嵐の観測中だったサブ・タンクが切り離され、死亡していた。
カークはその報告書を提出するが、コンピューターの記録ではカークは緊急待避命令が発令される前にタンクを切り離したことになっており・・・。
コンピューターの記録の改ざんが可能性としても示されないのは、まだほんとうにコンピューターが実務で使われる機会が少なかったからだろう。
そして本作はその先駆的な内容を描いていたということだと思う。
TV版
謎の精神寄生体
スティーヴン・W・カラバツォス原案
謎の集団発狂によって次々に惑星上の人間が死滅。しかもそれは異なる恒星系にまで及んでいた。
エンタープライズが次の発生地点と目されるデネヴァ星系に接近すると、そこではすでに集団発狂が発生していた・・・。
だいたいテレビと同内容で、またテレビでは納得行かなかった点のいくつかは修正されている。光が磁力になったり。
しかし一番の変化はテレビではデネヴァでカークの兄が亡くなるという描写がすっかり無くなっていたことで、しかも巻末のキャラクター紹介ではカークの兄は戦争で亡くなったことになっていた。
TV版
永遠の淵に立つ都市
ハーラン・エリスン原案
事故でコードラジンを大量に自分に注射してしまったマッコイが転送機で未知の惑星地表へ降下。
そこには奇妙なオブジェのようなものがあり、それが時間変異を起こしていた。
それは自らを永遠の守護者と名乗り、過去の様子を映し出す。
そこに飛び込んでいくマッコイ・・・。
冒頭にテレビとは大きく変更したところがあると書かれているが、読んだ印象はほぼテレビ通り。
テレビで感じたマッコイのご都合主義的な部分はうまく誤魔化してあったようで、こちらではそんな印象を受けなかった。
TV版
宇宙種
キャリー・ウィルバー、ジーン・L・クーン原案
エンタープライズが発見したのは1990年代の宇宙船ボタニー・ベイ号で、中には100名近い人間が搭乗していたがコールドスリープ状態だった。
当時の地球は優生学戦争によって大混乱に陥っており、満足な記録も残っておらず、その船のこともわからなかったが、とりあえずリーダーらしき人物を蘇生してみると・・・。
だいたいテレビ通りの展開だが、カークが脱出してからの展開がすっとばされてびっくりした。
確かに物語的にはほぼ終わっているのでそこをダラダラと描かれても困るのだが、一応見せ場だと思うのだが・・・(汗)
TV版
ほとんどがテレビで印象的だったエピソードで、そのせいか大きな変化を感じたのは「明日はきのう」くらいだった。
それはそれで安心だが、もうちょっと変化があってもよかったかも。
変化したらしたで文句を言うかもしれないが(笑)
20240218(mixi日記より)
20240218
キャプテン・フューチャー 小惑星要塞を粉砕せよ!
マンリー・W・ウェルマン著/野田昌宏訳
を読んだ。実家にて。
珍しい人間が生息可能な小惑星上でくつろいでいるフューチャーメンたち。
ただしグラッグだけは月で留守番で、1人で太陽系功労賞の授賞式に出ることになっている。
そこにジョオンが現れ、なんと月が消滅したと告げる。
慌てて地球に帰ると、果たして月は消えて無くなっていた。
一方月とともに行方不明になったグラッグの方は、意外な人物に出会っていた・・・。
ハヤカワ文庫のシリーズ最終巻はもはやハミルトンの名義でさえ無い。
これは逆にようやくハヤカワが真実に気づいたということか(笑)?
しかしこれまでのハミルトン以外の著作ではほとんど気にならなかったのだが、本作ではいきなりフューチャーの性格がなんだか違う(汗)
ステーキを焼いているのもなんだ違うが、ジョオンが急を告げているのにだらだらと対応している様とか、もう全然別人(汗)
こういうのはなんで生じてしまうのか疑問だが、おそらく著者がシリーズを全然読んでいないのだろう。
それ以外にもキャラクターの描写としては違和感を感じるところが散見された。
あれを忘れて置き去りなんてありえない(汗)
問題のストーリーだが、残念ながらこちらももう一つ。
最大の宿敵を復活させておいてあの体たらくはどういうことか(汗)
展開としてもなんだか散漫で、最後の宇宙要塞ゴルバみたいなのもそれまでの流れと全然繋がってなくて唐突すぎるし、ズオーダーみたいな「上帝」も存在の説明が薄っぺらすぎる。
ちうわけで最終巻なのに残念な内容だったが、こういうシリーズでは最終巻ではすでに制作側が力尽きていることは多いので(笑)、まあ通常運転と言えるだろう。
20240218(mixi日記より)
20240219
告白
湊かなえ著
バイトのM(以下略)
ある中学校のホームルームで、女教師が生徒の中に自分の娘を殺した者がいると告白。
犯人2人が誰かをそれとなく示し、かつ彼らの飲んだ牛乳の中にエイズウィルスに犯された血液を混入したと言う。
その後教師は退職するが、残された犯人の内の1人は家に引きこもり、もう1人は登校を続けていたがクラスのいじめの標的になり・・・。
日本の教育環境のゆがみや親子の関係の崩壊など、リアリティがあって興味深い。
物語としては無理矢理な部分も目立つが、最後まで読ませるパワーはある。
しかしオチは意外にストレートで、それまでの流れを無視した感があり、残念。
あのオチはないわ(笑)
20130811(mixi日記より)
20240219
時生(トキオ)
東野圭吾著
バイトの(以下略)
グレゴリウス症候群によって植物状態となってしまった息子。彼に時生(トキオ)という名前をつけたのには理由があった。
それは父親が若い頃に時生と出会っていたからだった・・・。
不思議系タイムスリップハートフルストーリー?
とりあえずあまりにもありきたりなネタに、あまりにもありきたりな展開とありきたりなオチで、どうしようもない内容。
加えて若い頃の父親のキャラクターが典型的バカなのだが、それがあまりにも化夢宇留仁の嫌いなタイプドンピシャで、成長してどうのこうの以前に即座に死んでくれとしか思えない。
ほんとに東野圭吾はダメだわ〜。
20130811(mixi日記より)
20240220
プリンセス・トヨトミ
万城目学著
バイ(以下略)
会計検査院の3人が大阪の地へ。そこで彼らは「大阪国」の存在を知り・・・。
とにかく荒唐無稽な物語なのだが、それをキャラクターや描写でリアルに・・・・はできていない。
元々文章も少しマンガっぽく、「大阪国」の成り立ちやら維持方法も全然納得できない。
そしてそここそがこの物語のポイントなので、それがダメな時点で全部ダメ(汗)
20130811(mixi日記より)
20240221
アンダーワールド 覚醒
モンス・モーリンド、ビョルン・スタイン監督
人間達にその存在を知られてしまったバンパイアとライカン。
人間達に捕まったセリーンが目を覚ますと、なんと12年の月日が流れており・・・。
シリーズ通算4作目で、1、2で主人公が無敵になって相手になりそうな長老は全滅してしまったので次はどうするのかと思っていたら3作目は過去の話で、今作でやっと2の直接の続編と言える物語が展開する。
しかし上記の通り主人公カップルは問答無用で無敵だし、主要な登場人物(?)は全滅してしまっている上に血縁がらみなのでそう簡単には新たな強敵も出しようがない。
そんなわけで無理矢理セリーンの娘が登場するわけだが、人間には存在がばれてるわ、娘思いのお母さんだわで、全然アンダーじゃない。ちうかノリ的には完全にバイオハザードシリーズになってしまっており、展開的にはゼイリブ(笑)?
ライカンの扱いも、前作で描かれた過去のドラマとかも吹っ飛んで、単なるインベーダーみたいになっちゃって、強敵も単にでっかいだけだし、娘はなんのために出てきたのかさっぱり分からないし、そして極めつけは終わり方。
屋上のヘリポート!?
あれ、いないや。
エンドクレジット・・・・・・ってなんじゃそら(笑)!
ちうわけで最近観た映画全ての中でも余裕でワースト10に入る酷い映画だった。
アンダーワールドシリーズが好きな人は、全て台無しになってしまうので絶対に観てはいけない。
お嫁さんも激怒していました(笑)
20130813(mixi日記より)
20240222
パシフィック・リム
ギレルモ・デル・トロ監督
を観てきた。3D吹き替え版。
正体不明の「怪獣」が太平洋沿岸都市への襲撃を繰り返し、沿岸諸国は環太平洋防衛軍 (PPDC)を設立し、怪獣迎撃用の巨人兵器イェーガーを建造して立ち向かった。
イェーガーは次々に現れる怪獣を倒していったが、怪獣の出現ペースは少しずつ早まっていき・・・。
とりあえず予想の範囲内ではあったけど、その範囲内では出来のいい方の内容だった。
思っていたよりはしっかりと作られていて、笑ったのは大がかりすぎる歩行シミュレーター床とチェルノブのメルトダウンとロケットパンチくらいだった。
しかしこれも予想通りではあるが、全体的に画が暗すぎてなにがなんだかよく分からないのは少々残念だった。できればイェーガーが世界各地で怪獣を圧倒していた頃の映像も見たかった。
しかし全体的には濃くまとまっていて面白かった。
20130819(mixi日記より)
20240223
孤島の鬼
江戸川乱歩著
恋人初代との結婚直前、初代が何者かに刺し殺されてしまった主人公蓑浦は、彼女を殺したのが蓑浦に同性ながら想いを寄せる諸戸ではないかと疑いを持つ。
調査を依頼した素人探偵深山木は、重大な事実を突き止めたようだったが衆人観視の砂浜で殺されてしまう。
途方に暮れる蓑浦だったが、意外な協力者を得、深山木の残した書記を頼りに真相に迫る・・・。
多分中学か高校の頃に読んで以来の再読。
昔読んだ時も死ぬほど面白かったが、今回も実に面白かった。
とにかく息つく暇もない怒濤の展開で、あとから考えればまとまりに欠けるような気もするが、とにかく夢中で読んでしまう面白さ。
「アルジャーノンに花束を」にも似た日記のシチュエーションは昔読んだ時には超ドキドキしたのだが、流石に今回はそこまでではなかったが。
今回気付いたのは、この作品は乱歩先生にしては文章も自然で読みやすいということ。
どうやら乱歩作品には珍しい一人称の文章だというのが原因らしい。もっと一人称で書けばよかったのに。
そして一人称であるが故に、今読むとやたらに「チャールズ・ウォードの怪事件」とイメージが重なるところも面白かった(笑)。
最高傑作。
20130819(mixi日記より)
20240224
ファム・ファタール
ブライアン・デ・パルマ監督
ローラは計画通り、映画祭の会場から1千万ドルの価値があるビスチェを盗み出す。
しかしその後仲間を裏切って逃走。
仲間はローラを見つけ出して追いつめるが、彼女は瓜二つの別人と間違われて保護されてしまう。
その後別人になりすましたローラだったが・・・。
初っぱなからデ・パルマ節が炸裂しまくりで、変なカット割りとか2画面同時進行とかとにかく覗き見とか、実に懐かしい感じ(笑)。
ストーリーもなかなか奇抜なもので、ヒロインの悪女っぷりが面白いと思わせておいて、いきなりSFに(笑)
ちうかやっぱそこはミステリで通して欲しかったかな〜〜〜???
しかしとにかく酷かった「アンダーワールド覚醒」のあとで観たので、いいところばかり目についた(笑)
SRさんもあれのあとで観る限りは全く文句は無いと言っていた(笑)
20130830(mixi日記より)
20240225
吸血鬼
江戸川乱歩著
温泉宿で1人の女をめぐって繰り広げられる2人の男の毒薬決闘。
命は失われずにすんだものの、1人の男は敗れ去り、不気味な写真を残して立ち去った。
決闘に勝った男と、勝ち取られた女はつきあい始めるが、2人を監視する不気味な老人の影が迫る。
東京に帰った2人のそばでも、怪しい事件が続き、やがては女の幼い息子が誘拐されるという事件が・・・。
投身自殺に誘拐に殺人に罠に気球の逃亡劇に生きたままの火葬にからくり椅子にと、とにかく盛りだくさんの内容なのだが、実に散漫。
ミステリとしても、ほとんど関係ない2グループの犯人が存在するなど、非常に無理がある。
しかし上記の通り見せ場には事欠かないので、とにかく最後まではそれなりに面白く読めた。
この散漫さは新聞連載だったのかな?
※報知新聞の連載だったそうな。
20130831(mixi日記より)
20240226
偉大なる夢
江戸川乱歩著
長編の表題作と、実に短い短編2編が入った文庫本。
偉大なる夢
太平洋戦争の最中、ある科学者が東京からニューヨークまで5時間で飛行できるシステムを発明し、政府はこれの実用化を決定。
山中の洋館で、警察に勤めていた科学者の息子を助手として、軍から派遣された科学者グループとともに設計図の作成が行われるが、そこにスパイの影が・・・。
特筆すべきは設定だけでなく、実際にこの作品が描かれたのが昭和18年の戦争まっただ中であるということである。
なので戦争への否定的な文章は皆無で、それどころか主人公と彼女が大量の高速爆撃機がニューヨークを爆撃している様を思い浮かべてうっとりしたりする(笑)
ミステリとしてはやはりルール違反的なところも多いが、なにしろ状況が状況なので仕方がないだろう。
よりによって○○○の○○が○○を○○するというのはあまりにも偶然が過ぎるとは思うが(笑)
アメリカ側の描写もあり、ルーズベルトをくそみそに描いているのが愉快だが、それでもアメリカ側の方が論理的な思考を繰り広げているように見えるのは、当時の乱歩の葛藤が伺える。
断崖
断崖の上で、2人の男女が話している。
どうやら女の旦那はその女に殺されたらしいが、それまでの過程で奇妙なゲームを楽しんでおり、そのゲームを提案したのはもう1人の男の方らしい。
やがてそこに現れる意図とは・・・・・。
実にスタイリッシュなミステリで、乱歩にこんな作品が描けたとは超意外。
ちなみに昭和25年発表。
凶器
老年にさしかかった明智小五郎が、車椅子探偵よろしく刑事の話を聞くだけで事件の真相を突き止める。
果たして男を殺したのはその妻か?妻の元彼氏か?
これまた綺麗にまとめられたいい感じのミステリで、いい感じ。
トリックはあまりと言えばあまりな感じだが、それがまた時代を感じて楽しい。
昭和29年発表。
20130831(mixi日記より)
20240226
クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子
西尾維新著
例によってAKI氏が貸してくれたもの。
「人類最強」に連れ出され、女装して女子校に潜入する羽目になる「いーちゃん」
そこから生徒1人を連れ出すというのが任務だったが、その学校はとんでもない場所だった・・・・・。
相変わらずの理屈をこねながらの殺戮ミステリだが、今作はコンパクトにまとまった印象で、ミステリ分がほとんど無く、その代わりなのか殺戮の嵐(笑)
まあまあ面白かったが、それにしても人の命の軽い世界である。
それにしても○○より全身の○○を速くというのは、その方向が一方向に限らないと無理だと思うぞ。
20130901(mixi日記より)
20240228
サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し
西尾維新著
同じくAKI氏より借りたもの。
「死線の蒼」こと玖渚友のチームのメンバーだった男「害悪細菌」兎吊木垓輔が、愛知県の山中の悪名高い科学者の研究施設にいるという。彼に会いに行くいーちゃん、友、それに鈴音さん。
その研究施設は恐るべきセキュリティの要塞であり、そこでほんの僅かな研究者が研究に従事していた。
そこで会った兎吊木垓輔はいーちゃんの心のツボを突く質問をして戸惑わせるが、翌日には・・・。
舞台&登場人物紹介&事件発生編である。
なにしろそういうわけなので感想もくそもないのだが、とりあえずは前に出てきた登場人物の説明をもっとしてほしいと思う。
鈴音さんってどれに出てきてなにした人だっけ(笑)???
20130901(mixi日記より)
20240229
サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄
西尾維新著
AKI氏より借りたもの。
無惨な姿で発見された兎吊木垓輔殺しの容疑を、研究施設の主から掛けられる玖渚友。
研究施設の中にあるケージに捕らわれてしまう一行だが、そこに現れた侵入者石丸小唄がいーちゃんを連れだし、2人で施設の捜索を行うことに。
時間制限の中いーちゃんは事件の真相を見つけ出すことができるのか・・・。
予想していたオチとは違うトリックで、と言うよりもトリック自体を全否定するような掟破りの手法で、なかなか楽しめた。
納得できないところも勿論あるが、この世界の人命は限りなく軽いと言うことを考慮すればまあ分からなくもないか(笑)
それにしたってあの長髪と無口が偶然というのはどうなのか(笑)???
20130901(mixi日記より)
20240301
ビブリア古書堂の事件手帳2
〜栞子さんと謎めく日常〜
三上延著
を読んだ。旅行前に。
AKI氏にお借りした。
前作の直接の続きで、今回は「クラクラ日記」「時計じかけのオレンジ」「名言随筆 サラリーマン」「UTOPIA 最後の世界大戦」が登場し、物語に絡んでくる。
前作でも思ったが、著者の本への造詣とその内容を物語に溶け込ませてオリジナルの物語を構築する手腕は素晴らしい。
「時計じかけのオレンジ」では化夢宇留仁も知らなかった事件と呼べる事実が紹介されて目から鱗だったし(やっぱり映画のラストの方が好きだが)、まさかのマンガ「UTOPIA」の内容にまで踏み込んだ物語が展開するとは。
非常によくできている。
しかし化夢宇留仁の好みとしては、ライトノベルという体裁自体が少々もったいなく感じた。
これはこれで有りだとは思うのだが、もっと一般書籍的な雰囲気の方が嬉しい。
20130915(mixi日記より)
20240302
十字路
江戸川乱歩著
を読んだ。旅行中ペルーで(笑)。
十字路
不倫している彼女と、昔自分が工場を持っていた山奥の村にドライブする伊勢省吾。
そこは近々ダムの底に沈むことになっていた。
妻は新興宗教に凝っており、不倫相手の存在を知って脅迫めいた手紙を出してきていた。
そしてある日、とうとう不倫相手との逢い引きの現場に乗り込んだ妻は刃物を振り回し、省吾は逆に妻を絞め殺す。
妻の死体をダムの底に沈む井戸の底に永遠に葬り去るという計画を立てる省吾。
その計画は完璧だったが、予想もしなかった事態に。
死体の移動中に、車の中にもう1体の死体が!?
なかなか変化に富んで面白いミステリー。
主に犯人視点で進むのだが、サディストで自己中心的な探偵の登場や、もう一組のカップルの影響など、なかなか先が読めない。
最後は「昭和」でしかあり得ないような展開で、それもまた興味深いが、結構犯人伊勢省吾に感情移入させる作りなので、少々残念でもあった。
盲獣
めくらの殺人鬼が、次々に美しい女性を手に入れては殺してバラバラにしてゆく。
殺人鬼の最期は誰の手による者でもなく・・・。
女への欲望を金の力で満たしていた盲者が、やがてはそれで飽きたらず、実物の女性に手を出し支配するが、それに飽きると殺してバラバラにし、次のターゲットを探す。
そんな感じで犯人の動きは描かれるが、対応する探偵はほとんど登場せず、ミステリーの体を成していない。
海外エログロホラー映画に近い内容。
もうここまで来たらポルノに徹すればいいと思うのだが、肝心の所は描写をぼかしているので、非常にモヤモヤ(笑)
モヤモヤ〜〜〜〜〜(笑)
20130915(mixi日記より)
20240303
デスパレートな妻たち シーズン4
を観た。旅行前。
今回はメインメニュー画面から暗雲が立ちこめ、やばい雰囲気満点。
そしたら内容も、ひきとった娘がダミアン(笑)だったり、やっと結婚したラブラブカップルがドラッグでやばくなったり、竜巻で街が半壊したりと、やばい内容爆発なシーズンだった。
そしてシーズン終了時にはいきなり5年の歳月が流れ・・・。
マンネリ化が指摘されていたのだろうか、思い切った内容の回が多く、ラストではあまりにもあからさまな引きが。
最初から観てきた者としては、結構衝撃的な内容が多く、少々残念に感じるところも。
しかしラストの引きが強すぎて、とにかくシーズン5を観ないことには話にならない。
商売うまいね(笑)
20130915(mixi日記より)
20240304
真夏の処刑人
ジョン・カッツェンバック著/青木久恵訳
80年代のアメリカはマイアミで、早朝ランナーがゴルフ場でティーンエイジャーの女性の射殺体を見つけた。
それを取材に行ったジャーナルの記者のマルコム・アンダースンは、うまく先手を取ってどこよりも素晴らしい記事に仕立てた。
記事の出来栄えと反響に喜びを隠せないアンダースンだったが、その記事を見て彼宛に電話をしてきた者がいた。
犯人である。
犯人は犯行予告と受け取れるメッセージを残し、また掛けると言い・・・。
この本のジャンルはサスペンスらしい。
確かにミステリーではないし、冒険小説でもないし、当てはめるとしたらサスペンスだろう。
化夢宇留仁としてはサスペンスと言うと、もっと身近でスピーディーな危険をイメージするのだが、もしかしたらそれはアクションというジャンルなのだろうか。
ほんとにジャンル分けは難解だ。
それはそうとして、この本は非常に面白かった。
全体的に地味ではあるが、著者が元記者だったこともあって主人公の置かれた環境や心情に非常にリアリティがあり、出てくる登場人物もみんなあからさまな心理描写は避けながら、その態度やセリフからリアルな存在感を表現できている。
その他の描写も実に濃厚で、地味と書いたが退屈することは一切なかった。
第2の被害者の○○○の描写など、それだけで別作品が1本できそうだった。
ストーリーとしては連続殺人事件が発生し、それが終結するだけという単純なものなのだが、少しずつ進展する様子そのものが興味深い。
化夢宇留仁は第2の電話が掛かってきたところで、このままでは◯◯◯と同じ展開になるのではと心配になったのだが、主人公がそのへんに疎いというかボケているというか、全然危機感を持たずに着実にその予想の展開に近づいていったので、そのあたりはほんとにサスペンスを感じた。
結局○○○展開が現実に・・・と思わせて意外な展開になるのだが、ここはなんで予想の展開にならなかったのかがはっきり分からなかった。
物語上の都合としてはそうなってしまったら終わってしまうので、そうしないというのは納得できるのだが、犯人視点ではその理由がよくわからなかったのだ。
ちうか更にこの期に及んで帰ってこいって言うか(汗)?
って、これじゃ伏せ字だらけで意味不明だな(笑)
ラストのオチは賛否両論あるようだが、化夢宇留仁的には充分に納得できる面白い終わり方だったと思う。
最後にちらりと○○が○○してもよかったと思うが(笑)
とりあえず前情報皆無、期待も皆無で本棚から適当に抜いた本としては、最高の結果と言える読書だった。
20240305(mixi日記より)
20240305
リチャード・ブレイド1 青銅の斧
ジェフリー・ロード著/厚木淳訳
を読んだ。メキシコへのフライトを待つペルーの飛行場にて。ブレイドシリーズ第1作。
英国諜報部員リチャード・ブレイドは、人とコンピュータを接続する実験に参加。
しかし誤動作のため、ブレイドの脳が位相変換され、別な時空に移動してしまう。
そこは剣と陰謀が支配する中世のような世界で、そこに裸で実体化したブレイドは、いきなり囚われの王女と遭遇し・・・。
美少女タリーンはヴォスの王女にして、身体は成熟していたが心はまだ小娘で、とりあえず目の前に現れた大男をなんとか味方に引き入れる。と言うのもタリーンは追われる身で、従兄弟でもあるアルブの国王リカントーにその身を狙われていたのだ。
とりあえず目の前に現れた美少女を助けることにした大男ブレイドは、自分の置かれた状況を理解すると共に、生き残るために全力を尽くす。
それはアルブ王国の命運をも左右することになる。
1969年に発表された冒険活劇で、単なるファンタジーにしてコナンの模倣にならないように英国諜報部やコンピュータによる次元移動など、少々奇をてらった設定になっている。
しかしなによりそれまでのファンタジーシリーズと趣を異にするのは、その性描写の多さと徹底さで、とにかくエロエロな女が出てきてはブレイドとやりまくる(笑)。
物語としては世界やキャラクターもよく描けていて魅力的で、戦闘シーンも力が入っていて盛り上がる。
まさに大人向けのファンタジー。
最期にブレイドが現代地球に戻ってしまうので、後腐れ無く物語り世界と分断してしまうのは寂しいが、そこがまた魅力になっている。
シリーズとしてはこれからどんな魅力的な世界を構築できるかに掛かっている。
楽しみ。
20130915(mixi日記より)
20240306