犬神家の一族
市川崑監督

を観た。1976年の映画版。ブルーレイ。
 信州の製薬産業の巨人である犬神家の当主が、莫大な遺産を残して他界したが、一族が全員揃わない限り遺言状を公開しないという約束だった。
そこにやってきた金田一耕助。
犬神家に関わる法律事務所の関係者から犬神家で恐ろしい殺人事件が発生するのを防いでほしいと書かれた手紙が届いたのだ。
現地信州那須市に着き、さっそく差出人に会おうとしていたところで、若く美しい女性が乗ったボートが転覆しそうになっているのを目撃し、急いで救出に向かう。
ところがその間に差出人が殺されてしまう。
その後犬神家にとうとう佐清が帰還したが、彼は不気味な仮面を被っていた・・・。

 いきなり製紙産業が製薬産業に変更されているが、その他は意外なほど原作通りの展開で、ラストが近づくにつれてだんだん乖離が出てくるものの、予想していたより遥かに原作の内容に沿っていた。
その結果は悪くないのだが、ちょっと肩透かしに感じたところも。
とりあえず化夢宇留仁的にはホテルの女中役の坂口良子が可愛すぎてストーリーがどうでもよくなった(笑)のと、唐突に出てきた岸田今日子にひっくり返るくらいびっくりしたのがポイント高かった(笑)
あとはラスト近くの展開だが、真相が小出しにされすぎてちょっと散漫に感じた。あそこはわざとらしいけど原作通りにした方がよかったように思う。
「お琴の先生」の設定変更はまあちょっと原作の方が人間関係がドロドロすぎるので悪くはなかったかな。
とりあえず良子ちゃんが可愛い(笑)

20240624(mixi日記より)
20240627


銀河辺境シリーズ外伝8
銀河辺境の彼方
A・バートラム・チャンドラー著/関口幸男訳

 グライムズはデブの税関長に麻薬の取り締まりを強化するように要請される。
麻薬の取り締まりにあまり関心のなかったグライムズだが、部下が麻薬のせいで事故を起こして人生を棒に振り、また取引現場を抑えるべく向かったところで若者2人が殺されるのを目撃するに及んで、本腰を入れざるを得なくなる。
宇宙連邦の管轄から麻薬を密輸入する入口になっていると思しい惑星エブリスにやってきたグライムズだったが、そこを取り仕切っているのは古い友人だった・・・。

 特別いいところがあるわけでも、特別悪いところがあるわけでもない、凡庸な話で、それでもキャラクターが活きていればそこそこは楽しめたと思うのだが、これまでの外伝ですっかり悪いイメージが定着してしまい、全然面白くなかった(汗)
そうじゃなくても要するにじじいのグライムズがなにもできずにうろうろしているだけなので、面白く感じるのは無理だったかもしれないが(汗)
 それよりなにより問題は、前巻のラストでは太古の世界に放り出され、宇宙船だけはなんとか「魔法の力で」手に入れてさあこれからどうするというところで終わっているのに、そこに全くつながっていないところである(汗)
翻訳を飛ばしたのか?元々そんな無茶苦茶なことになっているのか?
そして珍しく訳者あとがきがついているのにチャンドラーの思い出ばかり語ってそこには触れもしない(汗)
そして邦題だけは本編と全然関係ない「銀河辺境の彼方」などといういかにも前巻から話がつながっていそうなものにしてある。
 さてさて。これにて外伝も終了で、ハヤカワ文庫から出ている日本語版は全て読んだことになる。
前に正伝の方の感想では、面白いかどうかはさておいて化夢宇留仁は好きだと書いたが、外伝は面白くない上に大嫌いだ(汗)

20240625(mixi日記より)
20240628


横溝正史シリーズ
犬神家の一族
工藤栄一監督

 信州の製糸産業の巨人である犬神家の当主が、莫大な遺産を残して他界したが、出征したままの孫、佐清が帰ってくるまで遺言状が公開されないという状況だったが、彼が母親松子とともに帰ってくる。
 犬神家に関わる法律事務所の関係者からの手紙に呼ばれて那須市に来た金田一耕助は、ボートに乗っていた犬神家の関係者である野々宮珠世が大男とともに車に乗り込んだあとで事故の音を聞き、急いで駆けつける。
ところがその間に手紙の差出人は血を吐いて死亡していた。

 映画の翌年に始まったテレビドラマ版。
全5話で250分くらいあるが、退屈しないで観られるだけの出来ではある。
 まず情報が整理された上で見せ方を工夫していると感じたのが、松竹梅の3姉妹の過去の悪行を早々に見せる展開で、これのお陰で青沼静馬という人物の存在をスムーズに印象付けている。原作と映画版ではこの情報が出てくるのが遅いので、あまりにも謎が多すぎてわかりにくかったと思う。
ただしやはりミステリーらしい趣といいう点ではあとで出てきたほうがいいので微妙なところではある。
 逆に長丁場であることから視聴者の興味を惹きつけるために付け加えられたと思われるシーンもいくつかあって、それが特にそれぞれの放送終盤に差し込まれた挙げ句、次週の放送では一切触れられないという思い切った仕掛けも。
第1話では白面の男と犬神佐武が取っ組み合いをしているのを何者かが見ているシーン。
第2話では白面の男と珠世が猟銃で狙撃されるシーン。
第3話では猿蔵がなんだか酷い目にあって飛び込んでくるなどなど。
いくらなんでも第2話の展開をその後一切語らないのはひどすぎないか(笑)
 また1ヶ月以上も前に放送した内容など誰も覚えていないと思ったのか、弁護士助手加茂雅幹が殺された件に関しては最後の謎解きで名前さえ上がらず、未解決になっている(笑)
 という感じで丁寧な部分と乱暴な部分が混在しているTVシリーズらしい内容だったが、画面の趣や雰囲気は非常によく、下手をしたら映画版よりいいかもしれないと思えるカットもあり、なかなか侮れない作品だったと思う。
悪くない。
ちなみにお琴の先生は丸ごとカットされていた(笑)

20240627(mixi日記より)
20240629


犬神家の一族
吉田照幸演出

2023年にNHKでドラマ化されたもの。
 信州の製糸産業の巨人である犬神家の当主が、莫大な遺産を残して他界したが、出征したままの孫、佐清が帰ってくるまで遺言状が公開されないという状況だったが、彼が母親松子とともに帰ってくる。
そこにやってきた金田一耕助。
犬神家に関わる法律事務所の関係者から犬神家で恐ろしい殺人事件が発生するのを防いでほしいと書かれた手紙が届いたのだ。
現地信州那須市に着き、さっそく差出人に会おうとしていたところで、若く美しい女性が乗ったボートが転覆しそうになっているのを目撃し、急いで救出に向かう。
ところがその間に差出人が殺されてしまう・・・。

 まず吉岡秀隆演じる金田一耕助は化夢宇留仁的にはダメダメ(汗)
ちうかそもそもこの人に俳優としての価値を認められない(汗)
とにかくリアリティが無いのだ。
しかしそれ以外の部分では、これまでの映画版やドラマとは桁違いの完成度と言える内容だった。
 まずは流石に映像の完成度が非常に高く、美しい。
特に1977年のテレビドラマ版では唖然とするほど出来の悪かった死体の表現は、俳優が演じているのかと見紛うばかりのダミーを用意したうえで、あえてカメラを微妙に揺らして俳優の演技かと思わせてからその首が転がり落ちる演出など、お見事。
そもそもの画質の向上も桁違いで、化夢宇留仁はレンタルしたDVDをコピー(記憶容量は半分になるのでその分画質が劣化する)したもので観ているのだが、それでもブルーレイかと見紛うばかりの高画質だった。
 また目立たないが実は脚本&演出の技術も向上し続けており、本作では原作を完全に噛み砕くまで分析した後に再構成されており、例えば犯人の行動のここは筋が通ってここは筋が通らないなど、非常に明確に提示されて見事なミステリーにまとめ上げている。
こういう点では1977年のドラマ版はそもそも原作を理解していたのかどうかも怪しい(笑)
 そして圧巻の大竹しのぶの演技(汗)
表情もさることながら、その声の衰えを見せない素晴らしさ。深刻な雰囲気のセリフはほとんどハマーン様(笑)
その他のキャストも味わい深い顔ぶれがそろっており、みんないい感じだった(主役以外/汗)。
 ちうわけで予想を遥かに上回る完成度にびっくりした。
このレベルであれば普通に面白いミステリーの映像作品としても人に勧められそう。

20240629(mixi日記より)
20240630


無敵鋼人ダイターン3
第20話 コロスは殺せない
富野善之監督

 
 人工衛星が何者かによって破壊された。
その調査に再び人工衛星が打ち上げられるが、そのパイロットには万丈が選ばれた。
万丈を乗せたロケットは打ち上げられるが、ロケットを打ち上げた基地は実はメガノイドに乗っ取られており、万丈を宇宙におびき寄せる作戦だった。
しかし万丈もそれを見破っており、準備をしていたが、いつものメガノイドとはやり方が違う。
というのも今回はコロスが指揮を執っていたのだ。

 
 とりあえずコロスがかっこよくて可愛い(笑)
他のメガノイドとは格の違う強さ、美しい表情、優雅な動き、そして丁寧語(笑)
とにかくコロスがよい(笑)

20240630(mixi日記より)
20240701


2012
ローランド・エメリッヒ監督

を観た。2014年3月29日。
 2012年。リムジン・ドライバーのジャクソン・カーティスは、子供達を連れてやってきたイエローストーン公園で、この世の終末を語る男と出会う。
しかも政府はすでにそれを知っていて、選ばれた人々のみを地球外へ脱出させるための巨大な宇宙船を作っているという・・・。
そこに発生する地球規模の大災害。
彼は家族を連れて脱出船が作られているという場所を目指し・・・。

 とりあえずこの監督のこんな内容の映画に期待するのはただ1つ、派手なスペクタクルシーンのみ(笑)!
そういう意味ではこの映画は非常に満足のいく内容だった。
圧巻は天変地異で大破壊の真っ最中の街中を車で走り抜けるシーンで、あらゆるものが倒壊し、視界すべてがカタストロフな状態で、とにかく走り続ける車。
ビルが倒れてきたらその中につっこみ、そのまま崩れつつあるビルの中を突っ切って、外に飛び出してさらに走り続けるなど、カリオストロの城のフィアット500もびっくりのもう完全にギャグとしか思えない超展開で、思わずその場で拍手(笑)
その後も超絶画面は目白押しで、珍しく最後のオチもそれなりに効いていてすっきり終了。
相変わらずの間抜け展開も目白押しだが(笑)、エメリッヒ監督の中では最高傑作かも???

20141209(mixi日記より)
20240702


潮風のいたずら
ゲイリー・マーシャル監督

を観た。2014年3月15日。
 ジョアナ(ゴールディ・ホーン)は富豪の娘で若くて容姿も美しかったが、性格が最悪。
ある日クルーザーの船室に棚を作らせようと呼んだ大工のディーン(カート・ラッセル)にわがままを言った上に支払いをケチり、恨まれるがいつものことなので気にしない、というか気づいてもいない。
その後クルーザーが嵐にあい、彼女は海に転落してしまう。
ジョアナが記憶喪失になって地元の病院に収容されたことを知ったディーンは、未払いの工賃を家政婦として支払って貰おうと思いつき、彼女の夫と偽ってジョアナを引き取るが・・・。

 前から面白いと聞いていたのだが、これは確かに面白い。
と言っても意外なストーリーとかすごい見せ場があるわけではなく、普通に丁寧に作られているコメディ映画である。ただ少し各シチュエーションの悪ノリは普通じゃないかも。
ディーンのジョアナに対する仕打ちは、普通に考えたら極悪非道以外のなにものでもなく、ちょっとでも見せ方を失敗したら大惨事になるところを、びみょ〜〜〜〜〜〜なラインで踏みとどまってコメディに仕上げているのは見事としか言いようがない。それでもやっぱり極悪非道すぎると思うが(笑)

20141209(mixi日記より)
20240703


ナイト ミュージアム
ショーン・レヴィ監督

を観た。2014年5月10日。
 博物館に封印されていた不思議な力を持った石が解放され、夜になると展示物が動き出す。
仕事を転々としていて奥さんにも逃げられたラリーはよくやく博物館の夜警の仕事にありつくも、夜な夜な動き出す展示物に悩まされるはめに・・・。

 まあ普通に楽しめた。
しかしあまりにひねりがなさすぎてどうしても途中で集中力が途切れてくる。
まあそもそも集中して観るほどの内容ではないのだが(笑)
せめてもう少し博物館の外のドラマが描かれていればとも思うのだが、やはりそこまで気にかけることもないような(笑)
とりあえずインディアンのねーちゃんは微妙な感じが可愛かった(笑)
ロビン・ウィリアムスが神経質な歴史上の人物の役で出ているのだが、その神経質さが全然演技じゃなさそうで、今となって見ると少々痛々しかったり(汗)

 mixiで有識者の方から、「アメリカの小学校では博物館の展示室に宿泊する授業があるそうで、ティラノサウルスの白骨標本が動き出しそうでトイレに行けなかった往年の子供が見ると、我々と全く印象の違う映画になるかも」という意味の書き込みがあり、なるほどそれならこの映画の存在意義はそれなりにあるなと思った。

20141209(mixi日記より)
20240704


ジュマンジ
ジョー・ジョンストン監督

を観た。2014年5月10日。
 古い家に引っ越してきた一家。
ジュディとピーターという姉弟が、その家の屋根裏部屋から太鼓の音がするのに気付き、調べてみると見つかったのは「ジュマンジ」というボードゲームだった。
早速遊んでみる2人だが、「ジュマンジ」はさいころを振って遊ぶすごろくだったが、止まったマス目に書かれたことが実際に起きてしまう特別なゲームだった・・・。

 「ナイト・ミュージアム」を観て、その前身ともいえるこっちはもう少し面白かったはずだがよく覚えていないということで、ひさ〜〜〜〜〜しぶりに観てみた。
やはり「ナイト・ミュージアム」より断然面白かった。
とりあえずストーリーが凝っている。
過去から現在にいたる流れと、過去が現在に飛び込んでくる展開も凝っているし、その後のドタバタ展開も工夫が凝らされている。
よくできている。
そうなると疑問なのは、どうしてこの作品のあとに「ナイト・ミュージアム」のような凡庸な作品ができてしまったかだが、それはここで考えることではないだろう。
とりあえずジュマンジは面白い。

20141209(mixi日記より)
20240705


2999年異性への旅
マイク・ニコルズ監督

を観た。2014年5月23日。
 男性だけしかいないある惑星では、選ばれたエリートが地球に行って女性を見つけて妊娠させ、その子供を連れてくる任務を与えられていた。彼は地球にやってきて、アリゾナ州フェニックスの銀行員ハロルド・アンダーソンとして暮らしはじめる。
女好きの同僚ペリーに教えてもらい、断酒会に女性をひっかけるために一緒に出席。
そこで気に入った女性スーザンを見つけるが、子供を作るためには彼女と結婚しなければならなかった。
ラスベガスでの挙式の後、ハロルドはあらかじめ取り付けられている電動ペニスでスーザンを満足させるが、どうも駆動音がうるさい(笑)
なんとか子供ができるが、彼のことをエイリアンではないかと疑う連邦航空局の職員が現れ・・・。

 非常におばかなコメディ作品。
見所はなんと言っても主人公ハロルドを演じる変なおっさん〜〜〜の演技で、マジなのか大根なのか、どこかきょとんとして困ったような顔でありながら欲望まるだしなところが実にエイリアンっぽい(笑)
それにしてもアメリカの映画やドラマを観ているとやたらに断酒会が出てくるが、そこまで強度のアル中が多いのだろうか???

20141212(mixi日記より)
20240706


タイタニックを引き揚げろ
クライブ・カッスラー著/中山義之訳

を読んだ。昨日実家にて。
 1912年4月。沈みゆくタイタニック船内で乗客の一人が乗員に銃を突きつけ、金庫室に案内させ、金庫の中に消えた。
 1987年7月。大統領が秘密の予算を組んで運営してきたシンクタンク、メタ・セクションは東西冷戦を終結させうる計画の実現一歩手前まで進めていた。
しかしそれの実現には希少元素であるビザニウムが大量に必要で、それが埋蔵されている可能性があるのはソ連領のある島だった。
極秘裏に1人の鉱物学者を調査に向かわせたが、ソ連兵に見つかって撃たれてしまうが、彼がソ連に基地に引きずって連れて行かれているところに現れたのはダーク・ピットだった。
救出された鉱物学者によれば、そこに確かにビザニウムはあったが、何者かに持ち去られたあとだった。
そしてそこで見つかった鉱夫の死体は、アメリカでの謎めいた鉱山事故に始まり、最終的にタイタニックにつながる秘密の鍵となった・・・。

 ちうわけで名作と名高い本作だが、噂に違わず最高に面白かった。
これまでのシリーズと比べてもプロットの緻密さは桁違いで、雰囲気も抜群。
特に前半の鉱山事故からタイタニックにつながる過去のベールが剥がれていくところなどは鳥肌モノである。
後半のアクションシーン(?)も、ガッツリ盛り上げたと思ったらダラダラせずにスパッと解決させる切れの良さ。
 登場人物がこれまたどいつもこいつも活き活きしていて、アメリカ側のみならずソ連側の面々も魅力的で、その中でもプレフロフ大佐の顛末は面白過ぎで、彼にはぜひ再登場していただきたいところ。
 また読んでいて切に思ったのが、東西冷戦というのは多くの作家と、数え切れないくらいの読者に非常に大きな恩恵を与えていたということ。
超大国どうしが見えないところでしのぎを削り、一歩間違えると核戦争が勃発してしまうという、まさに冒険小説を書くために用意されたかのような設定(笑)
もちろんあんな状態に戻りたいとは思わないが、当時の作家や読者が羨ましく思えたりした。まあ最近もだいぶあんな感じになってきている気もするが(汗)

20240707(mixi日記より)
20240707


ミクロの決死圏
リチャード・フライシャー監督

を観た。昨日。
 東側の科学者ベネシュを亡命させるのに成功したが、博士は道中襲撃されて脳に損傷を受けてしまう。
アメリカは最近物質をミクロ化する技術を開発していたがそれは1時間が限度で、博士はその時間制限を取り払えるはずだった。
最後に残された手段は、医療チームを乗せた潜航艇をミクロ化して博士の体内に送り込んでの、内部からの脳の治療だった・・・。

 小さい頃にテレビで何度か観て面白かった記憶があるのだが、古い映画(1966年)なので今観ると流石にきついのではと思ったのだが、やはり素晴らしい映画だった。
 圧巻はもちろんアカデミー賞をとった体内の描写だが、実は前半の基地の画やミクロ化の工程なども実に丁寧に作られていて目が離せない。
基地の非常に凝った構造や、オペレーターたちが働く部屋の窓から見えている潜航艇プロテウス号の勇姿など、しびれるかっこよさ。
また基地内は多くの人が歩いているところを電動カートが走り回っているのだが、これの速度がなかなか早く、この基地では1日に1人は交通事故で死んでいるだろうと思わされた(笑)
ミクロ化の方はまず予備ミクロ化によってある程度小さくしてから巨大な注射器のシリンダーに入り、今度はシリンダーごと縮小してからポンプを差し込むというめんどくさい工程によってミクロ化に説得力を持たせているのが見事。
 体内に入ったら予想の斜め上のファンタジックな光景が展開するが、これも潜航艇のウィンドウやピラーなどを効果的に入れ込んだ構図と映像そのものの素晴らしさによって、人間の体の中はこうなんだと納得させるだけの説得力と迫力を生み出している。
体内の様々な器官の中を進むプロテウス号の画もどれもかっこよく、見せ場の連続で冗談抜きで目が離せない。
なにしろ古い映画なので脚本や演出は舌足らずなところもあるが、これだけ目を見張る映像を展開されたら十分満足お腹いっぱいレベルである。
 もちろんSF的にはそもそもミクロ化という概念自体がありえず、それに目をつぶったとしても他にもそれはありえないだろうという突っ込みポイントは多いのだが、そんなことをうじゃうじゃ言うべき映画ではないのは明らかだろう。

20240708(mixi日記より)
20240708


アウトブレイク
ウォルフガング・ペーターゼン監督

を観た。2014年6月15日。
 ザイールのモターバ川流域の小さな村で未知のウイルスによる出血熱が発生。アメリカ陸軍伝染病医学研究所のダニエルズ大佐率いる調査隊が現地に向かうも村は全滅。
一方アフリカから一匹の猿がアメリカに密輸入されたが、密売人は売るのに失敗してそれを森に放した。
しかしその後その猿に関わった人々が次々に出血熱で命を落とす。
更に彼らの血液を検査していた血液検査技師が映画館へ行ったことで、アウトブレイクに発展。
ダニエルズはその病気がアフリカのモターバ熱だと気付き、軍の制止も聞かずに独自に調査を開始し・・・。

 ボードゲーム「パンデミック」を文字通り狂ったように毎日プレイしていたので、自然な流れで観ることに(笑)
結果としては予想よりもアクション要素が強い作品だったが、なかなかよくできていて面白かった。
とりあえずみんな死ぬのは怖いので、無意識に恐ろしい伝染病には興味をひかれるわけで、その分伝染病の映画は面白さやスリルが他のテーマの作品よりも上乗せされると思う。その上乗せ分を差し引いたらそんなに大した映画じゃないような気もする(笑)が、そこはそれテーマの選択も制作側の重要な要素なのは間違いないので、まあいいか。
 それにしてもヘリコプターのアクションシーンは少し浮いていたと思う。なかなかの見所ではあるのだが、やはり映画の完成度的にはない方がよかっただろう。
猿はとりあえず怖い(笑)

20141212(mixi日記より)
20240709


ダークナイト・ライジング
クリストファー・ノーラン監督

を観た。2014年5月14日。
 あれから8年。ゴッサムシティは新たな「デント法」の下、組織犯罪の一掃された街へと生まれ変わっていた。
一方、ブルースは、バットマンとしての活動を実質的に引退し、エネルギー開発に携わりながら屋敷に引きこもって隠遁生活を送っていた。
しかし謎の女によってブルースの指紋のついたネックレスが奪われ、正体が露見する可能性が高まる。
女はセリーナ・カイルという名のある泥棒で、彼女を雇ったのはベインというブルースと同じくラーズ・アル・グールの教えを受けた傭兵だった・・・。

 新生バットマン3作目は、盛りだくさんの内容で、上記あらすじはそのほんの一部分である。
画面も相変わらずの超大作ぶりで、おなかいっぱいになること請け合い(笑)
前2作と並ぶ相変わらずの完成度の高さも維持されており、文句をつけるところは特にない。
しかし・・・・・文句無しに面白いかというとそうでもない。
まずはキャラクターだが、ベインの存在感は強烈だが、面白いキャラクターかと言われれば微妙なところである。
キャットウーマンも、旧シリーズがあまりにも強烈だったこともあり、いまいち弱い。
そのせいで盛りだくさんの内容が、少々散漫に感じてしまう。
どうせだったらあと1匹、ペンギンくらいは参加させてもよかったかも(笑)?
スケアクロウはちゃっかり顔を出していたが(笑)

20141216(mixi日記より)
20240710


アンドロイドの恋なんて、おとぎ話みたいってあなたは笑う?
青谷真未著

 病院の総合案内で働く佐藤真白は実はアンドロイドである。
彼女はアンドロイドが人間の中に混じっていた場合にどんな問題が起きるのかを検証するために、正体を隠して人間に溶け込んで働いているのだ。
平穏な日々を送っていた真白だったが、ある日佐藤響という青年と出会い、エラーとしか思えない感情が芽生え・・・。

 姪っ子に借りた(笑)
そして非常に面白かった。
タイトル通り物語の骨格は恋愛感情なのだが、設定からすればSFであり、構成からすると実はなかなか本格的なミステリーでもある。
なので読んでいて違和感を感じるところは実はことごとく伏線であり、全てに理由が用意されているのだ。
例えば真白はいつか人間になりたいと思っているのだが、化夢宇留仁がそこで気になったのは「人間」の定義の曖昧さだった。
そして「なぜ断るという選択肢を選ばなかったんだ」という台詞。明らかにおかしいのだが、疑いつつ読んでいれなければ気づかずに素通りしていたと思う。
他にもそういうのが山程仕込んである。
そしてラストの意外な急展開。
姪っ子はこの本を何度か読み返していると言っていたが、そりゃあSF耐性もミステリー耐性もない状態の中学生がこんなの読んだらぶっ刺さるわ(笑)
化夢宇留仁が同じ状況だったら一生忘れない記憶の断片になっただろう。
 ちうわけで50代のおっさん(笑)でも夢中で読める非常に完成度の高い作品だった。
この著者はまだまだ知名度は低いようだが、これから頭角を現しそう。
 しかし姪っ子よ。
この本を人に説明するなら「タイトル通りの内容だけど、それだけじゃない」くらいで十分だ。
今度誰かに説明するときは、隠されているところを全部しゃべっちゃだめたぞ(笑)

20240710(mixi日記より)
20240711


コクーン
ロン・ハワード監督

を観た。2014年10月17日。
 8人乗りのクルーザーのオーナーであるジャックは、なにかの調査団らしい一行に破格の条件で船を借りたいと申し出られ、有頂天に。
船を借りた一行は、海底から奇妙な丸い大きな岩を運び上げては大きな屋敷に運び込んでいた。
 一方養老院に住む3人の老人は、近くにある空き家のプールで泳ぐのを楽しみにしていた。
しかしある日その屋敷は新たな住人のものとなっており、プールには奇妙な岩が大量に入っていた。
それでもこっそりとプールに入ると、なんの効果なのか、3人の体調がみるみるよくなり、肉体的にも精神的にも若返り、1人などは癌さえ治ってしまう。
友達も誘ってプールに通う日々だったが、ある日屋敷の住人が人間の皮を脱ぎ捨て、光輝くエイリアンの姿になるのを目撃してしまう・・・。

 小さい頃に劇場で観て、学生の頃にビデオで観て、今回おそらく3回目の鑑賞。
と言っても昔観た時の記憶はほぼ消滅しているのだが(笑)
 戦いのないSFという意味では、ある意味最も進んだSF映画だと言える。SFというジャンルは、現在の日常とは異なるが、科学的に筋が通りそうな描写のある作品だと思うが、その中に戦いというのは必須項目ではないのは当然で、言ってしまえば戦いのあるSFの方が特殊なものなのだ。
ただし本作においては、もう1つの条件である「科学的に筋が通りそうな描写」という点でSFの条件を満たし切れていないところがある。
 高度な科学技術を持った異星人が、逃げ出す暇もないくらいの速度で大陸が沈むだろうか(笑)?
全身が光輝いて翼も使わずに空を飛べる人間型知的生命体というのは、どんな進化、または理由で生まれてくるのか?
大型ボートを海面から引き上げられる能力があるのに、海底の岩はなぜ人力で運び上げなければならないのか?
人間に化けるのに皮1枚かぶるだけですませるのはどうなのか(笑)?
不老不死の世界の人口をそんなに軽々しく増やしていいのか?
などなど。
まあ指先1つで自転車が飛んでOKだったのだから(笑)、当時としては仕方がないところなのだろうが、要するにまだSFとファンタジーの区別がついていないのだ。
 ファンタジーとしては、いろいろと考えさせられる面白い物語である。
テーマは「老い」と「価値のある人生」なので、むしろファンタジーの方が自然にテーマが浮き彫りにされる結果になって成功していると思うので、やはりSFじゃないと文句をつける作品ではないのだろう。
でもやっぱりSFにしてほしいのは要するに化夢宇留仁の好み(笑)

20141216(mixi日記より)
20240712


穴/HOLES
アンドリュー・デイヴィス監督

を観た。2014年11月1日。ずっと前に職場のKYさんに、英語練習用に原作本と一緒にDVDを借りていたのだ。
 自分の家系には先祖のおじいちゃんのせいで不幸になる呪いがかかっていると思っている少年スタンリーは、橋の上から落ちてきたバスケットシューズを持っているところを捕まる。
それは有名バスケット選手のシューズで、孤児院に贈られたものだった。
少年矯正施設に来てみると、そこは女所長が独裁支配しており、毎日毎日少年たちに穴を掘らせていた・・・。

 原作は有名なジュブナイルらしいが、観てみると思った以上にアダルトな作りで、見応えがあった。
ストーリーも凝っていて、開拓時代の女強盗に端を発する宝探しとスタンリーの先祖の物語が絡み合い、現在の穴掘りにつながるところなど、果たして子供がついてこられるのか疑問(汗)。
 スタンリーの親友になる黒人の少年がまた味のあるキャラで、しかもえらい美少年なのでいろいろ興味深い。
山の上で自生するタマネギを食べてすごすのはまさに少年の夢のようでもあり、確かに名作なのだろうと納得するが、原作が名作だからと言って映画も名作とは限らないのは当然の話で(笑)、この映画も名作ではない。
しかし悪くない佳作だと思う。

20141216(mixi日記より)
20240713


ウルトラQ
第12話 鳥を見た

 
を観た。ってなんだこのバカみたいな文章のつながりは(汗)
中川晴之助監督。
 ある晩、動物園から動物が一頭残らずいなくなる事件が発生。檻が内側から破られていることから、動物たちが極度の恐怖にさらされて自力で脱出したものと思われた。
そして現場に倒れていた飼育員は「鳥を見た」という謎めいた言葉をつぶやいた。
後日突然十世紀頃の古いガレー船が姿を現わし、漁師町は大騒動に。
船には誰も乗っていなかったが、航海日誌の最後のページには「鳥を見た」と記されていた。
一方冒険好きで将来は王様になると言う三郎少年は、文鳥に似た不思議な鳥とめぐり逢い・・・。

 
 「文鳥にも似ている」ではなくて、どう見ても文鳥なのが致命的(汗)
古代の文献のラルギュウスのイラストに由利子ちゃんが似ていると言うのも無理がありすぎる。どう見ても文鳥だし(汗)
物語は基本的に「五郎とゴロー」や「育てよ!カメ」と似たような感じで進むのだが、なにしろ鳥が文鳥なので全然乗れない(汗)と言うのも化夢宇留仁は昔同じような白い文鳥を実家で飼っていて(ちなみに名前はキュベレイ/笑)、とにかく文鳥は文鳥なのだ(汗)
ラスト近くで巨大化した怪鳥の特撮はなかなかのものだが、多くは「ラドン」の使い回しらしい(汗)
そしてラスト去っていくクロ(作中のラルギュウス/文鳥の名前)に別れを告げる三郎少年・・・全然意味がわからなかった(汗)
 この話でよかったのは浜辺の匂いまで取り込んだような雰囲気のある画のみ。

20240714(mixi日記より)
20240715


ザ・フォール 落下の王国
ターセム・シン監督

を観た。2014年10月19日。
 1915年のロサンゼルス。
ルーマニアからの移民の少女アレクサンドリアは、オレンジの収穫中に木から落ちて腕を骨折して入院していた。
撮影中に大怪我を負い半身不随となっていた無声映画のスタントマンのロイは、アレクサンドリアにとりとめのない物語を聞かせていた。
それは弟を殺されたオッタ・ベンガ、妻を誘拐され死に追いやられたインド人、爆発物の専門家のルイジ、英国の博物学者チャールズ・ダーウィンと猿のウォレス、弟と共に死刑を宣告された仮面の黒山賊、木の中から復活した霊者という6人の復讐の旅の物語だった。
彼女が物語に夢中になる内、ロイは彼女に彼が自殺するための薬を盗ませることを思いつく・・・。

 「ザ・セル」の監督による作品だが、画面や設定は全く異なるにも関わらず、雰囲気は全く同じと言っていい。美しいがどこか生理的な嫌悪感を感じさせる映像も相変わらず。小中学生が観たらトラウマになるような作品なのも同じ(笑)
化夢宇留仁的ポイントとしては、少女アレクサンドリアがコロコロ太っていて美少女ではないところがよかった(笑)
舞台も展開も興味深くて面白かったのだが、ラストはいまいち好みじゃなかったのが残念。あそこはテリー・ギリアム的突き抜け感がほしいところだが、この監督はギリアムではないので違って当たり前(笑)

20141216(mixi日記より)
20240717


オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主
スティーヴン・ソマーズ監督

を観た。2014年10月14日。
 ダイナーでコックとして働く20歳のオッドは、霊が見える能力の持ち主だった。
ある日彼は街にボダッハという、流血の惨事が近寄ると集まってくる悪霊を見つける。
彼は惨劇を食い止めるために調査に乗り出す。
彼女であるストーミーの協力も得て、それにはやたらにアイスを買い込んでいる男が黒魔術と関係していることを知り、さらに夢でバスケットボール選手たちが関わっていることを知るが・・・。

 原作はディーン・クーンツ作でシリーズにもなっている人気作らしい。
化夢宇留仁は〜〜〜〜の小説は1作だけ「ファントム」というのを読んだが、スティーブン・キングをライトにしたような感じで、まあまあ面白かった。
ただやはりキングと比べると世界の深さというか、重厚さに欠け、読後の印象も弱かった。
そしてその映画化作品はどうかと言うと、やはり少々軽くてどこかで借りてきたようなイメージだった。
とりあえず主人公オッドがいまいちよく分からず、感情移入ができない。
それよりも分からないのは彼女の方で、なんであんな男とつきあっているのかよく分からない(笑)
キャスト的にも女優は可愛くて色っぽいのだが、主人公とつきあいそうなタイプにはどうしても見えない。
これは最後まで違和感となって物語に入り込む邪魔をし続けた。
ラストも実に切ない展開になるのだが、やはりキャラに乗れていないので他人事に(汗)
やっぱりキャスティングって大事(笑)

20141221(mixi日記より)
20240718


プライベート・ベンジャミン
ハワード・ジーフ監督

を観た。2014年5月26日。
 ジュディ・ベンジャミンは2度目の結婚式を迎え、幸せだった。
しかし初夜に夫がとん死してしまい、傷心の彼女は誘われるまま軍隊へ。
特訓では周りの足を引っ張ってばかりだったが、実戦形式の訓練で思わぬ大成果をあげ、さらに上官の弱みをつかんで希望通りのベルギーのNATO基地勤務に。
彼女はそこで以前会ったハンサムなフランス人の医師と再会するが・・・。

 ゴールディー・ホーン主演のコメディ映画は山ほどあるが、その中でも有名な作品で、米軍のヘルメットをかぶったホーンの顔のアップのビジュアルは今でもちょこちょこ目にすることがある。
なので彼女のフィルモグラフィの中でも名作に数えられる作品なのだろうと思って観てみたら、地雷だった(汗)
 基本的には先日観た「潮風のいたずら」と全く同じシチュエーションで、世間知らずのお嬢様であるホーンが見知らぬ環境に放り込まれてとまどうが、やがてはそこに居場所を見つけるというもの。
ただし「潮風のいたずら」の方が非常に危ない内容を脚本と演出の冴えで見事にハートフル・コメディに仕上げていたのと比べ、こっちはどうということのない内容を、ヘボ脚本とヘボ演出で意味不明の地雷映画に仕上げてしまっている(汗)
まず主役のベンジャミンがなにを考えているのか分からない。
とりあえず結婚の失敗で自暴自棄になっていたまではいいとして、軍隊に入ってからはその状態がいやなのかいやじゃないのか分からないし、迷っているのかと思えば変な決断をするし、最後にはあっさり捨てちゃうし(汗)
自分探しの旅に出たあげく、なにも見つけずに満足した感じ(笑)?
とにかく全編中途半端でどうしようもない。

20141221(mixi日記より)
20240719


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