U-571
2000年アメリカ
1942年4月。北大西洋上で故障のため漂流しているドイツ軍のU-571の存在を知った米海軍は、Uボート艦内に設置されている暗号解読機エニグマの奪取を計画する。
味方の補給艦になりすまして接近する潜水艦U-22だが、彼らが気付かない内に接近している別のUボートが・・・。
潜水艦を舞台にした映画は面白くなって当然である。
なぜかと言うと、潜水艦には緊急事態や生命の危険がすぐそばに存在しており、ピンチに陥る展開はいくらでも簡単に作り出せ、映画の作り手はその状況への対処とストーリー、そしてドラマに集中できるからだ。
そういう意味では本作はまあまあよく出来ている方だろう。
特によかったのは、艦長職を熱望しながらもその優しさ故に副長の立場に甘んじている主人公で、ありきたりなドラマならエリートだった彼が極限状況ではボロが出るという展開にもってゆくところである。
しかし本作では彼が追いつめられたらいつもよりも能力を発揮するという展開になっており、余計なストレスを感じることなく目の前の危機に集中できるのだ。
よくできた面白いストーリーを、実にストレートな演出で見せる本作は、目新しいところは少ないが、それだけ腰を据えて楽しめる良作だと思う。
それにしても軍人にしては優しすぎるという設定の主人公だが、化夢宇留仁から見たら実に冷酷そうな顔に見えた。
白人からすると優しそうな顔なのだろうか(笑)?
20060225
2035年、家庭用ロボットが普及し、人間にとっての必需品になっているシカゴ。
ある日巨大企業USR社のロボット工学の第一人者アルフレッド・ラニング博士が謎の自殺を遂げる。
ロボットを毛嫌いするシカゴ市警のデル・スプーナー刑事は、博士が開発したロボットNS-5を疑うが・・・。
悪い評判しか聞いてない状態で観たせいか、すこぶる面白かった。
確かにアジモフの原作の映画化と考えると首をひねらざるをえないが、原作の設定を生かしたサイドストーリーの一つとしてなら充分納得できる。
実のところ前半は完璧な出来で、脚本、演出、美術、全てにおいてまったく不満無し。
ラスト近くの種明かしが少し肩すかしではあったが、それもラニング博士が予想した上で準備していたという展開がツボでほとんど気にならなかった。
これ、名作だよ(笑)?
20060226
1935年。ポールは刑務所の死刑囚舎房の看守主任を務めていた。
そこに少女2人をレイプして殺害したとして、巨体の黒人死刑囚コフィーが送られてくる。
コフィーは物静かな上に臆病で、他の死刑囚とは一風変わっていたが、彼が変わっているのはそれだけではなかった。
彼はヒーリング能力を有していたのだ・・・。
「ショーシャンクの空に」が面白かったので、同じ原作者で同じ監督で、同じように刑務所を舞台にしている本作も面白いだろうと思っていたのだが、ビデオに録ったはいいがず〜〜っと見逃していた。
多分予告編の映像で内容の予想がついて、いつでもいいやという気分になっていたのだろう。
で、実際観てみた結果、やはり予想通りの内容だった(笑)。
そして予想通り面白かった。
「ショーシャンクの空に」は囚人の視点で描かれているが、本作は看守の視点でストーリーが進む。
その効果は死刑囚に対峙するという特殊な経験を疑似体験することになり、最初から最後まで興味を維持させることに成功している。
しかし骨格になるストーリーはよく出来ているのだが、上記の通り予想通りな上に特に目新しいわけでもない。
むしろ面白いのは看守達のキャラクターである。
彼らが生き生きと描かれていることで、すんなりと感情移入が出来、ストーリーの流れに乗ることが出来たように思う。
188分に及ぶ上映時間を退屈しないで観れたこと。
見終わった後でなんでこんな単純なストーリーがこんなに長い映画になるのか不思議に思ったこと。
それらを含めて映画は脚本だなあとひさしぶりに思った作品だった。
20060301
地球全土が気温24度に設定され、貧困も病気も失業もなく、全ての森が姿を消している未来。
緑の復活のために、僅かに残った植物による森を作ったドームを搭載した宇宙船が旅をしている。
しかし計画は頓挫、ドームの爆破と地球への帰還命令が下り・・・。
脚本と演出が舌足らずで、ベースの設定が納得できないままにドラマに突入してしまい、更に主人公の心理描写も失敗しているので独りよがりのキチガイに見えてしまう。
主人公以外のクルーも何も考えていないバカにしか見えず、全然ドラマに繋がっていない。
そもそも地球に残った緑を宇宙船に乗せて旅立たせる計画の意図が分からないし、またそれらを爆破しろと命令する地球の意向も理解できない。
しかし宇宙船のミニチュアワーク、ドローン達のデザインとその描写は歴史に残る素晴らしさで、空しくも美しいラストもそれなりに味わい深い。
これで脚本がよければ数少ない本格SFに挑戦した傑作となっただろうに、実に残念である。
20060305
あれから8年、リックとエヴリンの間にはアレックスという息子が生れ、世界各地で遺跡発掘に精を出していた。
ある日彼らは、金色に輝く伝説のスコーピオン・キングの紋章のついた腕輪を発見する。腕輪を家に持ち帰ったはいいが、アレックスがこっそりと腕にはめてしまった時から、3千年前の呪いが動き出し、同時に謎の集団が襲撃してくる・・・。
よくできている。最後まで退屈させない点では、前作をも上回っているように思う。
前作の悪役イムホテップも愉快に復活し、2大怪獣対決ものの様相を呈してくるのも楽しい。
愉快なトゥームレイダー一家と化したメインキャラクター達も、これはこれでいい感じ。
最後の方の顔ぶれはほとんどルパン三世御一行のようなノリ(笑)。
残念だったのはザ・ロック演じるスコーピオン・キングが、冒頭の展開と最後に登場した状態であまりにもかけ離れすぎていて、そのつながりが見いだせにくかったところ。
設定的にはまだなんとか納得できるのだが、完全に人じゃなくなってるとは。
これは画的にも言えることで、最初は人間だけど、最後のは丸々CGIなのが・・・。
ところで化夢宇留仁はヒロインのレイチェル・ワイズもよかったのだが、アナクスナムン役のパトリシア・ヴェラスケスがハート鷲掴みのストライクで、彼女が映っているだけで大満足だった(笑)。
それにしてもラストのイムホテップの態度の豹変振りには笑わされた(笑)。
20060306
警視庁捜査一課の刑事である仁科は、自宅で暴漢に襲われ、薬を打たれて拉致される。
彼が目覚めると、目の前には彼の拳銃で射殺された男が。
追われる身となった仁科だが、そんな彼に接触してきたのは正体不明の組織であり、彼らは3人の人物の尾行を依頼する。
彼は調査を進めるうち、終戦間際に厚木基地を飛び立ったまま消息不明となったある爆撃機の消息と、仁科自身の出生の秘密が絡んでいることが分かってくる・・・。
少し前に原作を読んだのだが、ちょうど映画版をケーブルテレビで放映していたのでこちらも録画して見た。
・・・・・・・・・・
う〜〜〜〜む。
基本的には原作通りの内容なのだが、いや、原作通りだからなのか?もう一つつまらない。
雰囲気は悪くない。これもほぼ原作通りであり、更に当時の日本映画独特のよどんだような空気感が心地よくもある。
ストーリーもだいたい原作のままであり、まあ悪くはない。
よくもないが(笑)。
アクションも特に誉められたものではないが、けなすほどでもない。
ただやたらにパトカーが出てきて片っ端からぶっ壊れたのには驚いた。確か原作ではあそこまではやってなかったと思うのだが。
その代わり原作で出てきた潜水艦やCIAの存在はカット。まあ仕方ないか(笑)。
一番の問題はキャラクターのような気がする。
まず主人公にこれと言った個性がない。困っているのか怒っているのかもよく分からない。
それがハードボイルドだと言ってしまえばそれまでだが、つまらないのだから仕方がない。
主人公の親友の記者と、主人公の異母兄弟であり敵であるFBI帰りの男はなかなかよかった。
しかし原作で一番魅力的だった、痛覚のない殺し屋が設定が変わってしまい、しかも途中であっさりと殺されてしまったのがもったいなかった。
彼と主人公との、敵でありながら協力し合い、最後に壮絶な戦いを繰り広げるのが一番面白いところだったのに。
要するに脚本と演出がイマイチだったということだろう。
ま、原作自体も大して面白いわけではないのだが(笑)。
20060310
いつものポーカーの日に、フェリックスが来ないのをいぶかしんでいたオスカー達ポーカー仲間。
やがてフェリッススが離婚したと知り、繊細な彼が自殺するのではないかと心配するが、彼は遅れてやって来た。
ショックを隠しきれないフェリックスを心配したオスカーは、彼を同居させることにする。
しかしフェリックスの神経質な性格は、同居するにはあまりにも強烈だった・・・。
昔から大好きな映画で、何度もビデオで観ていたのだが、例によってβだったので観ることが出来なくなっていた。
最近ケーブルで放送したので喜び勇んで録画した次第。
で、感想だが・・・やはり面白い。
化夢宇留仁はとにかくウォルター・マッソーが大好きで、彼が映っているだけでも楽しくなる。
ジャック・レモンの神経質で気の弱い男の演技もいいが、やはりウォルターの女好きでさばさばとしているところがいい。
しかし今回は今までほどは楽しめなかった。
と言うのも、前まで繰り返してみてきたのは日本語吹き替え版だったのだ。
やはり元が舞台劇でもある本作のようなセリフが重要な作品は、字幕のあっさりしたセリフでは物足りない。
吹き替えも入ったDVDを手に入れたいところだ。
20060312
スターゲイト
(ディレクターズカット版)
1994年アメリカ
ピラミッドの紀元がエジプト王朝よりも古いという説を唱え、つまはじき者になってしまった若き考古学者ダニエル。
彼は、1928年にエジプトのギザで発掘された謎の巨大なリングに記された象形文字の解読を依頼される。
実はそれは文字ではなく、星座をかたどった記号だと見破ると、リングに秘められた力が起動。異世界への門が開く。
門をくぐった一行が見たのは、地球から遙か彼方の砂漠の惑星に建つピラミッドだった・・・。
冒頭、紀元前8000年前の人類の前にピラミッド型宇宙船が現れるシーン。
悪くない。なんかドラえもんの映画でこんなのがあったな(笑)。
1928年。謎の遺跡の発掘。考古学者の父に連れてこられた少女は不思議な金色のメダルを手に入れる。
ここは発掘現場のスケールの大きさが上手く描かれていて、雰囲気もいい。気分が盛り上がってくる。
現在。
ダニエルのひらめきにより、スターゲイトが起動。未知の世界への扉が開く・・・。
期待は最高潮!ゲイトの向こう側の世界を今か今かと待ち受ける。
しかし2年も調査して、象形文字が星座を象ったものだと気付かないか(汗)?
無人探査ロボットをゲイトの向こうに送る。
ロボットは遙か彼方の宇宙へ。しかし僅かな画像を送ってきただけで、機能を停止してしまう。
・・・少し違和感を感じ始める。
ロボットが飛ばされた惑星の位置は、基地内に用意された宇宙図にはっきりと記されているのだが、いったいこれはどういう技術で実現出来たのか?
ロボットに超光速通信機能でもついていたのだろうか?
軍人達とダニエルがゲイトの向こうの世界へ。
・・・・・・・・・・あらら?
と言うわけで、序盤は最高にワクワクさせてくれたのだが、話が進むに連れてトーンダウン。
後半は一気に観るのが困難なほど興味を殺がれてしまった(汗)。
とにかくゲイトをくぐってからのストーリーと謎がチープすぎ!
H・G・ウェルズの「タイムマシン」から少しも進歩していないのだ(汗)。
また下手にテーマ曲に雰囲気があり、期待を盛り上げる効果が強かったので、その分肩すかし感も強かった。
マットペインティングとの合成がうまくいっていないのもきつい。砂漠というのは大きさを表現しにくいロケーションだとは思うのだが、それにしてももう少しやりようがあったのでは?
後半でよかったのは、ヒロインのタレ目ねーちゃんが可愛かったことくらいだった(泣)。
やぱりエメリッヒは外枠しか作れない監督なんだなあ。
そう言えばあのメダルはなんだったんだ(笑)?
20060316
ソビエトの有人宇宙船シリウス、ヴェガ、カペラは長い旅の末、金星に接近した。
しかし隕石がカペラ号に衝突し、カペラ号は爆発。
ソビエト政府は人命優先でいかなる時でも計画の中止を認めるとの通信を送ってくるが、責任感の強い隊員達は金星への着陸を決意する。
苦労の末に着陸に成功するが、そこは怪物達の闊歩する危険な世界だった・・・。
DVDで鑑賞。
とりあえず画は味わい深くて素晴らしい。1ショット1ショットが銅版画のような美しさを持っている。
で、内容だが・・・・・・
なにしろ1961年のソビエトで製作された作品である。突っ込みどころは山のようにある。
金星は人間が生息可能な温度だし、水も普通に存在する。
流石に呼吸不可能かと思いきや、宇宙服が破れても細菌に感染することを心配する程度(汗)。
しかしこの辺は観る前から予想していたことだし、全然許容範囲内である。
頭を抱えたのは唯一の女性隊員の行動。
彼女1人が軌道上の宇宙船で待機しており、全員が地球に帰還するにはそこで待機していることがどうしても必要だというのに、着陸した隊員達の危機に地表に降りようとするのだ。
昔の映画では女性は感情的で考えが足らないように描かれることが多いが、それにしてもひどくないか(笑)?
結局寸前で思いとどまるのだが、その辺はストーリーとして完全に破綻していてかえって面白い(笑)。
一番の見所はロボット「ジョン」の活躍である。
名前からして英語圏っぽいのが変なのだが、どうやらアメリカ製のロボットという設定らしい。
金属で作られているらしい着ぐるみは実に味わい深い出来で、画面に映っているだけでも楽しい。
しかもこのロボット、敬語で話さないと返答さえ無く、自分の身が危ないとなったら身代わりに人間の命を危険にさらすというナイスガイ(笑)。
いったい製作者達はなにを表現したかったのかよく分からないのだが、少なくとも面白いのは確か(笑)。
オチの前にはなかなか衝撃的な映像が用意されていることもあり、単なる古いSFとして片づけるには惜しいと思える作品である。
それにしても3隻の宇宙船で、どういう風に着陸して、そういう風に地球に帰る計画だったのだろうか(笑)?
20060318
スペイン・アンダルシア地方。
世界3大自転車レースの1つ「ブエルタ・ア・エスパーニャ」が開催されている。
明日の山岳ステージを控え、各チームとも猛暑の中の平坦ステージである今日は体力の温存するが、スポンサーに撤退をほのめかされたパオパオビールチームは、アピールのためにアタックを開始。
先頭に立つパオパオビールのペペだが、その日は彼の兄と、彼の好きだった女性の結婚式の日でもあった・・・。
黒田硫黄のコミック「茄子」の一編「アンダルシアの夏」の映画化作品。
化夢宇留仁は原作は読んでいないのだが、スペインの空気を感じられて楽しめた。
これと言ったストーリーはなく、ある一日を切り取ったという風情なのだが、それが47分という上映時間とも相まって爽快感を与えるのに成功していると思う。
原作が好きな人にはレースの描写が物足りないらしいが、その戦略性やスピード感など、うまく表現されていると思う。少なくとも化夢宇留仁は不満は感じなかった。
ライトウェブ3Dを使ったラスト近くの市街地のシーンは、3Dっぽさをうまく誤魔化していて、音楽の効果もあって実に盛り上がった。
ビール飲みながら観ると気持ちいい。
それを言うなら茄子とワインか(笑)?
20060319