ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
庵野秀明監督

を観た。2回目。
 TVシリーズ序盤を作り直した映画を更に作り直した映画(笑)
初めてTVシリーズで観た衝撃を覚えている身としては、画は綺麗になっているがその衝撃を越える内容ではない。
ただし元々TVシリーズの内容がものすごかったので、面白いのは間違いない。
それ以上でも以下でもない。
それにしても他は全員アニメキャラの世界に、いきなり現実世界の少年が1人だけ放り込まれたようで、シンジ君はかわいそうだ(笑)

20210829(mixi日記より)
20211018



ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
庵野秀明監督

を観た。
 北極のNERV基地で捕獲されていた第3の使徒が封印を突破。
これに対し日本人の女性パイロットが乗るエヴァンゲリオン仮設5号機が出撃し、相打ちに。
  碇シンジは、父ゲンドウと共に母ユイの墓参りに訪れるが、帰り道で海上を歩行する第7の使徒と軍艦の戦闘に巻き込まれる
そこにエヴァンゲリオン2号機がさっそうと登場し、難なく使徒を撃破する。
2号機のパイロットは日本人とドイツ人のハーフであるアスカで、彼女もミサトのマンションに同居することに。
 衛星軌道上に第8の使徒が出現。
ゲンドウ不在の中、ミサトの指揮でエヴァ3体による迎撃作戦を実施し成功する。
シンジは初めてゲンドウから褒められる。
 NERVの北米第2支部で試験中のエヴァ4号機が支部を巻き添えに消滅。
そしてアメリカで開発されていた3号機が急遽日本に移送される。
アスカがテストパイロットになるが、起動実験開始直後に暴走。
3号機には使徒が侵入していたのだ。
シンジはアスカの乗る3号機を攻撃できず、ゲンドウはダミープラグの起動を決意。
容赦のないダミープラグは3号機を貪り尽くす。
 シンジはもうエヴァンゲリオンには乗らないと宣言し、NERVから出てゆく。
そこに第10の使徒が襲来。
違法入国していたマリが密閉処置されていた2号機に乗って迎撃。
更に修理中の0号機に乗った綾波も迎撃に向かうが、第10の使徒は攻撃力、防御力共に圧倒的で、0号機を同化してメインシャフトを降下して地下司令部に達する。
そこにシンジが乗った初号機が現れ・・・。

 TVシリーズの呪縛から開放された真の劇場版がスタート。
「序」はそれに至るためのプロローグと言える。
大筋ではTV版のストーリーを追っているのだが、新たなメインキャラクターに加えて、TV版で大きな分岐点となった展開で異なる道をたどるなど、むしろTV版をあえて覆そうという意思を強く感じる。
結果としては予想のつかない展開となり、とてもおもしろく見えた。
あとやっぱりアスカのキャラクターはいい。
この世界で唯一感情移入できるキャラクター(笑)
そして映画版が始まってからは不幸な未来を暗示する存在にも。
ちうか今作では未来というか現在すでに不幸だが(笑)
意外だったのはエッチな描写が少なかったこと。
これならTV版の方がエッチだった(笑)

20210905(mixi日記より)
20211018



ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
庵野秀明監督

を観た。
 碇シンジが目を覚ますと、そこはNERV殲滅のための組織ヴィレの旗艦ヴンダーの艦内だった。
彼の最後の記憶から14年が経過しており、助けたはずの綾波の姿もなかった・・・。

 派手な戦闘シーンから始まるが、状況が変化しすぎていてついていけないシンジと同じく化夢宇留仁もついていけない(汗)
こういうよくわからないけどみんなに白い目で見られるというシチェーションは苦手というか、少なくとも面白くはない。
その後旧NERV本部に移ってからは渚カオルとイチャイチャしだすのだが、これもあまり乗れず。
最終局面への展開もカオルくんの言いなりの上にいきなり言うことを聞かなくなるシンジについてゆけず。
 思うにこの映画を作っている時の庵野は究極鬱状態だったものと思われる。
作らざるを得ないので作ったという感じ。
その後完結編を作るまでに時間がかかったのもむべなるかな。

20210905(mixi日記より)
20211018



シン・エヴァンゲリオン劇場版
庵野秀明監督

を観た。
 真っ赤に染まったパリの街でNERVのエヴァによる妨害をはねのけ、街を復旧させるWILLE。
 赤い大地をさまよっていた3人はニアサードインパクトの避難民村「第3村」で、大人になった鈴原トウジ・ヒカリ夫妻らに助けられる。
シンジはショックによりなにもできない状態だったが、綾波そっくりさんは充実の村ライフを満喫し、人間らしい感情を身に着けてゆく。
しかしそっくりさんはNERVから離れて生存することに耐えられなくなり、LCL化して死亡。
ヴンダーが第3村に寄港すると、船に戻るアスカに対し、シンジは乗船を志願するが・・・。

 長い年月とプレッシャーの中、よく完成にこぎつけたと監督を褒めてあげたくなる。
内容的には長い年月の間に角が取れたところは見受けられるが、概ね期待通りの内容になっている。
その期待通りというのがこのシリーズで褒め言葉になるとは思えないが。
そんな中でも「第3村」のシーンは斬新かつ魅力的な展開だったと思う。
そして最終完結はしっかりとあの破綻したTVシリーズにもつなげているのは拍手物。
とにかく頑張ったのを褒めてあげたい(笑)

20210905(mixi日記より)
20211018



海中密輸ルートを探れ
クライブ・カッスラー著/中山善之訳

 エーゲ海北部のタソス島にある小さなアメリカ空軍基地が奇襲された。
それもなんと、たった1機の黄色いアルバトロスD3によって。
ちょうど近くにいたカタリナが急行し、空中戦を繰り広げる。
なんとか複葉機を撃退したカタリナに乗っていたのは、近くで海洋生物調査を行っている調査船で発生している問題を解決するためにやってきた空軍少佐にして国立海中海洋機関(NUMA)の一員であるダーク・ピットだった。

 ダーク・ピットシリーズ第2作。
当初は第1作にしてカッスラーの処女作ということになっていたのだが、その前の話が非公開で存在していたのでこんなことに。
 さて本作だが、予想していたよりも主人公ダーク・ピットがスーパーヒーローだった。
化夢宇留仁の予想では(あとでタイタニックを引き上げたりしているし/笑)、もっと作業員っぽい雰囲気なのかと思っていたのだが、むしろ007に近かった。
キャラクターは特に007っぽいわけではないのだが、その活躍が冒頭の少事件といい、その後のヒロインとの絡みといい、悪のボスとの慇懃無礼な出会いといい、それっぽいのだ。
またストーリーが思ったよりもミステリー寄りに構成されていたのも意外だった。
もっと頭をつわない主人公かと(笑)
しかしそういう要素がまとまって出来上がった1つの作品としては、退屈する暇がない見事なエンターテイメントに仕上がっていて、化夢宇留仁も大いに楽しめた。
しかし大きな文句もある。
この邦題と表紙イラストはあまりにもネタバレが酷すぎる(汗)
それで終わりというわけではないにしろ、一応物語上メインの謎なのに・・・

20210830(mixi日記より)
20211019



ハヤカワ文庫SF総解説2000(キンドル版)

を読んだ。
 ハヤカワ文庫SFの1番から2000番まで(シリーズ物はまとめられている)を解説したカタログ本。
なにしろカタログ本なので面白いのは保証付き(笑)
なんだろうこのカタログ本の軽薄な面白さは。
本というものは、途中まで読み進めないとそのタイトルの選択が正しかったのか間違いだったのかを判断しにくいものだが、カタログ本にはそんなリスクが無く、間違いなく面白いが、間違いなく特別面白くはない(笑)というところが軽薄で楽しいところかもしれない。
 ところで化夢宇留仁は今のところ小説は電子書籍では読めない。
雑誌や漫画は問題なく読めるのだが、小説だけはなぜか電子書籍では集中力を維持できずに読むことができないのだ。
しかし本書では初めて電子書籍ならではのメリットを満喫した気分になった。
まず本文内で紹介されているすべての文庫表紙がフルカラーで表示される。
リアル本の方も口絵部分で全ての表紙をカラーで並べているのだが、やはり本文内でカラーで見えるのは嬉しい。
こんな文章ばかりでページの一部だけに表紙画像が表示されるようなレイアウトは、フルカラーで印刷するとあまりにもコストパフォーマンスが悪く、実現するのは不可能に近いのだ。
また索引では直接そのページにジャンプできる。
気になった本がどんな内容だったか調べたくなれば、すぐに見つけることができるのだ。
そして気に入った本が見つかったらすぐに注文できる。
これは場合によってはデメリットかもしれない・・・(汗)

 読みたい本がたくさんあるなあ・・・。
同時にシリーズ途中で翻訳が止まっているのが山ほどあるのを知って、少しブルーになった(笑)

20210903(mixi日記より)
20211020



キャプテン・フューチャー 透明惑星危機一髪!
エドモンド・ハミルトン著・野田昌宏訳

 キャプテン・フューチャーの宿敵ウル・クォルンが刑務所から脱走し、突然現れた小型宇宙船に乗って逃走。小型宇宙船はかき消すように姿を消し、追手をまいた。
ウル・クォルンは一緒に脱獄させた囚人たちを部下に、強力なサイクロトロン(宇宙船のエンジン)やラダイト(強力な宇宙船用の燃料になる)、超硬度合金、原子力工作機械を盗み出す。
事情を聞いたフューチャーは、小型宇宙船がスカル・カーという科学者の研究所から盗み出されたものだと突き止め、その宇宙船はこの世界に並行して存在する別な世界へ入ることができることを知る。
ウル・クォルンはそのシステムを積み込んだ大型の宇宙船を建造しようとしている。
並行世界の大型の宇宙船でしか行けない場所にあるなにかを狙っているのだ・・・。

 ウル・クォルンは彼以外にもこれまでの話でラスボスだった囚人を連れて逃げ出す。
これには勿論ジェロニモンを思い出す化夢宇留仁(笑)
今回はミステリー色はほとんど無く、ひたすらウル・クォルンの行方を追ってその野望を食い止めようとする冒険アクションという感じで、舞台も目まぐるしく変化し、最後の舞台はあまりにも想像を絶する透明惑星と、まさにセンス・オブ・ワンダーな仕掛けが用意されていて大いに楽しめた。
そんな中に大学に紛れ込んで講義に茶々を入れるフューチャーという愉快なシーンもあったりするのがまた楽しい。
圧巻はラスト近くの透明惑星での決闘シーンで、なにしろ惑星が透明なだけではなく、その範囲内にあるものは自分も含めて全て見えなくなり、どっちを向いても宇宙空間が見えてしまうという環境で、2人の対決を何百人もの人々が見守って(笑)いるのだ。
網膜も透明なのになんで宇宙は見えるのかという透明人間の設定に正面から喧嘩をふっかける質問が出たのには驚いたが、光波が視神経に直接働きかけるという、じゃあなんでまわりは透明なのかという矛盾爆発の説明ではぐらかすのも愉快だった。
それにしてもこの単なる宇宙空間にしか見えない場所で繰り広げられる決闘シーンはぜひマンガやアニメで観てみたい(笑)

20210904(mixi日記より)
20211021



2001年宇宙の旅
アーサー・C・クラーク著/伊藤典夫訳

を読んだ。
恥ずかしながらまだ読んでいなかったのだ(多分)。「前哨」は読んだけど(笑)
 300万年前。「ヒトザル」が見つけた奇妙な直方体。
直方体は彼らに教育を施し、進化のきっかけを作って去っていった。
1999年。月のクレーターの地下に奇妙は直方体が発見される。
初めて太陽の光を浴びた直方体からは強力な信号が発信された。
2001年。木星の探査に向かうはずだった宇宙船ディスカバリー号の目的地は急遽土星に変更された。
順調な航海を続けるディスカバリー号だったが、道中人工知能HAL9000が異常な言動を始め・・・。

 まあ要するに皆さんご存知の内容です(笑)
化夢宇留仁は「ハヤカワ文庫SF総解説2000」を読んで、手軽で面白いハードSFを読みたいと思って本書を手に取ったのだが、その選択はパーフェクトと言ってよかった。
やっぱりクラークたんの余計な描写は省き、ロマンに関わるところの描写は忘れないという読みやすくて盛り上がるテクニックに、わかってはいたがすごすぎる未来予測能力には圧倒される。
ほぼiPadそのまんまなデバイスとか、データのデジタル信号化とか、どんな頭をしていれば思いつくことができるのだろうか。
対象的に2001年の超高給取りの年収が5万ドルという表現があり、経済観念はからっきしなのがわかって微笑ましい(笑)
 ところで化夢宇留仁は昔から映画も含めたこの物語に対して疑問に思うことがある。
それはHAL9000のエピソードで、問題は「HAL9000のエピソード」と書かせてしまうところ。
とても印象的で面白いのだが、HAL9000がストーリーに必要とは思えないのだ。
勿論想像力を働かせれば物語に必要だという解釈は様々なものが思いつく。
しかしそれはあくまで能動的に考えた場合で、それが自然にそう感じさせるように出来ていないのが問題だと思うのだ。
完璧主義のキューブリック、そして最強ストーリーテラーの1人であるクラークにしては片手落ちの感が拭えない。
なんとなくキューブリックのせいのような気はしているのだが・・・(笑)
 まだまだ言いたいことは山ほどあるはずなのだが、今は具体的に浮かんでこない。
「だが、そのうち思いつくだろう」(笑)

20210905(mixi日記より)
20211022



2001年宇宙の旅
スタンリー・キューブリック監督

を観た。
 小説を読んだら当然映画が観たくなるわけで、昔買ってあったDVDを再生してみたのだが、2/3比率の中に3/4比率の枠があり、その中に2/3比率の画面があるという昔の一部の粗悪DVDの再生画面が現れてしまったので(今までにも2〜3回は観ているのだが/汗)、この映画を汚い画面で見ている場合ではないとブルーレイを注文。幸い1000円しなかった。
 物語は基本的には小説と同じだが、なぜかいろいろと違うところもある。
どんな作品も小説の方が描写が細かくなるのは当然だが、この作品の場合は映像と小説が同時進行だったので、大きな違いはないはずなのだがある。なぜ?
 感想は勿論最高としか言いようがないのだが、小説と同じくHAL9000のエピソードが分離してしまっているのは気になる。
それに上でも書いたがなんで土星と木星の違いが出てしまったのだろうか?
映画で修正が入ったらすぐに小説版にも修正指示が入ってクラークはえらい目にあった(笑)という話を聞くので、当然小説も合わせてあるはずなのだが。
ラストの「部屋」での展開も微妙に異なる。
微妙だがビジュアルの影響が大きい部分なので気になる。
 映画としてあらためて見て今回気づいたことは、パンやズームなど、カメラを動かすところがほとんど無いというところ。
確かにカメラを動かしてしまうと作り手の存在が気になってしまうことがあるので当然だとは思うのだが、ここまで徹底的にカメラを固定していたとは認識していなかった。
その他はやはり圧倒的な映像に目を見張るばかり。
冒頭の宇宙船内のシーンは勿論だが、月面のディテールやラスト近くの超光速(?)映像など、CG無しでどうやって撮ったのか想像もつかない映像てんこ盛り。
とにかく間違いないのはキューブリックがキチガイだということである(笑)

20210911(mixi日記より)
20211023



大西洋、謎の艦影
ダグラス・リーマン著/高永洋子訳

 1941年、スカパにて。英国海軍リンゼイ中佐は、婦人部隊員の運転するハンバーにて突堤に送られ、そこから内火艇に乗り移ってベンベキュラ号に乗艦した。
ベンベキュラ号は老朽客船を改造した武装商船巡洋艦で、乗員たちの内正式な海軍スタッフはほんの一部で、残りは商船時代のクルーたちと、新兵訓練所を出たての素人たちで占められていた・・・。

 ボライソー・シリーズの著者が別名義で書いている第2次大戦時を舞台にした作品の1つ。
非常に読み応えがあり、面白かった。
「女王陛下のユリシーズ号」を読んだときに、もっと心理描写があればもっと盛り上がっただろうと思ったのだが、本作では心理描写が非常に多い。
冒頭のリンゼイ艦長を突堤まで送り届けた婦人部隊員の心理描写まで挟まったのにはびっくりした。
おかげでキャラクターは覚えやすく、戸惑うこと無く読み進めることができるが、やはりテンポは少し落ちる。
心理描写が少なくテンポがいい作品と、逆の作品ではどっちがいいのか悩ましいところである。
しかし本作はそういう積み重ねが後半に効いてきて、ゆっくりとだが確実にヒートアップしてゆく面白さがあった。
特にお気に入りはベンベキュラ号副長のゴスで、彼はベンベキュラ号が商船だった頃からの筋金入りで、船への愛着が人一番強い。そしてその愛着は巡洋艦ではなくあくまで商船としての彼女に対するものなので、商船としての形跡を消し去ろうとするリンゼイの存在が気に食わないのだが次第に・・・といういかにもなパターン(笑)
そして主人公のリンゼイだが、冒頭から心が折れまくり(笑)なのが斬新で、どんな不幸が待っているのかと思いきや、意外にメロドラマに突入したりもする(笑)のが興味深い。
 上でも書いたが、武装商船巡洋艦という設定の面白さに改めて気付かされたというところもあった。なんとなく商船を強引に軍艦に改造した船というイメージはあったのだが、その乗員まで引き継いでいるというのは、考えてみれば当たり前だとも思うのだが、新鮮で面白いと感じた。
 物語としては何度か哨戒任務や輸送船団の護衛任務につくベンベキュラ号の活躍を描くわけだが、極寒の海域から南洋まで幅広く航海するのが興味深く、最後は壮絶な戦闘に突入していくわけだが、特に目新しいところがあるわけではない。
ただし前述の通りキャラクターの書き込みはなかなかのものだが、戦闘シーンは結構あっさりとしていてその描写が盛り上がるというところはほとんどない。
このへんは好みの問題かもしれないが。
 総じては最初から最後まで丁寧な作り込みで飽きさせずに楽しめた。
ただし邦題には非常に不満がある。タイトルから想像される内容とは全然違う上に、おもしろそうじゃない(汗)
原題は「rendezvous-south atlantic」で、こっちも悪くはないがもう一つ(笑)とも思えるのだが、rendezvousには複数の意味が込められているのがわかる。
化夢宇留仁なら「大西洋の邂逅」とでもしたと思う。

20210910(mixi日記より)
20211024



迷宮物語

を観た。
 化夢宇留仁が高校生の頃に発売されたOVAで、当時からビデオをダビングしてよく観ていた。
内容は当時流行ったオムニバスアニメで、DVDを借りて見直してみたら当時と同じ感想だった。当たり前だが(笑)

ラビリンス・ラビリントス
りんたろう監督
 少女「さち」と飼い猫が、ピエロの誘いのままに不思議な世界に迷い込む。

 一言で言えば安易。
不思議な映像を垂れ流すが、脈略もなにもなく思いついた映像を流しているだけという感じで、「頭悪そう」と感じる(笑)
冒頭の猫が見つかるまでの部分は和風テイストで特徴があって少しは観られる。

走る男
川尻善昭監督
 10年近く危険なカーレースのチャンピオンに君臨するザック・ヒュー。
しかし彼の身体も精神も限界に達していた・・・。

 これまた安易の一言。
なんのひねりもないストーリー。
絵はよくできているが、それだけ。

工事中止命令
大友克洋監督。
 アロワナ共和国政府がクーデターによって倒れ、現地のジャングルの奥地で行われている大規模な工事の一方的な契約破棄を通告してきた。
ところが現地の工事は続けられ、担当者とは連絡が取れない状態に。
仕方なく社員である杉岡勉が工事中止を言い渡しに向かうが・・・。

 文句のつけようのない名作。
脚本、演出、画面、音楽のどれをとっても最高の完成度。
細かい部分にも気を使われており、最後の朝食の活きの良さ(笑)も楽しい。
これがあるから見直す気にもなったのだ。

 最後に冒頭の「ラビリンス・ラビリントス」の続きがあって幕を下ろすが、「工事中止命令」のあとだとよりどうしようもない(汗)
未見の人は、他は飛ばして「工事中止命令」だけ観ることをお勧めします(笑)

20210912(mixi日記より)
20211025



類猿人ターザン
エドガー・ライズ・バロウズ著/高橋豊訳

 アフリカ植民地の実態調査に向かったグレイストーク卿とその夫人だったが、船で叛乱が発生し、2人はアフリカのジャングルに置き去りにされてしまう。
なんとか生き延びようと努力し、男の子が生まれるが、1年後には夫人が死亡。
その直後卿も猿人に殺されてしまう。
生き残った赤ん坊は、直前に子供をなくしていた雌の猿人が保護。
男の子はターザン(白い肌の意)という名で育てられた・・・。

 誰でも知っているあのターザンの原作である。誰でも知っているが、原作が小説だったことはほとんどの人が知らないという奇妙な作品でもある。
そしてバロウズのシリーズの中でも26作という最長記録を持っているだけあって、その面白さも最高である。
 今までバロウズの作品で共通して感じたのは、どれも尻上がりに盛り上がるというところで、最初は淡々とした語り口でスローテンポに感じるのだが、だんだんヒートアップしてきて、1/3をすぎる頃にはページを繰るのがもどかしくなってくる。
これはわざとやっているのだろうか。
どうも前半で淡々と語ってきた内容の積み重ねが、後半に伏線として、また演出として効いてくる感じなのだが、これを計算してやっているならすごい。
 ところでターザンのイメージだが、実は世間で知られているそれと原作のそれとは全く異なる。
まず木から木へ飛び移るときにつるを使って振り子みたいに移動したりせず、移動時に雄叫びを上げたりもしない。
ターザンが雄叫びを上げるのは敵を殺したときの勝利の雄叫びのみである。
 ジャングルの平和など考えていない。むしろジャングルに混乱をもたらすハンターである。
なにしろ次々と百獣の王たるライオンを片付けてしまうのだから混乱は必至である(笑)
 片言でしゃべる馬鹿どころか、絵本と絵入りの辞書だけで英語の読み書きをマスターし、フランス語の日記でフランス語も同様。
先生がついたらすぐさまフランス語、英語ともに会話までマスターしてしまう言語の天才である。
この読み書きのみ覚えてしまった変な人(笑)というシチュエーションが物語にも大きく影響し、混乱を招くところがまた楽しい。
 そしてターザン強い!
さっきもライオンを片っ端から殺していると書いたが、それも幼少時からの積み重ねが描写された上での強さなので説得力があり、後半はそれを普通の文明人の目から見た印象という形でより強調されて完全にスーパーヒーロー状態で、アベンジャーズに混じっていても普通に戦えそう(笑)
文明人からの描写で印象的だったのはジェーンを抱いて木々の間を飛び越えてゆくところで、ジェーンの耳を通して風を切る音が聞こえてくるようだった。
 書かれたのが1910年代ということもあり、アフリカの暗黒大陸ぶりも楽しい。
なにしろ先日読んだ「2001年宇宙の旅」に出てきたような猿人が普通に生息しており、ヨーロッパ人たちもそれを普通のこととして受け止めているのだ。
まあ以降の巻の表紙を見ていると、猿人どころではないとんでもないことになってゆくようだが(笑)
 まだまだ語り足りないが、きりがないのでまとめると、要するに滅茶苦茶面白かった。
以上(笑)

20210913(mixi日記より)
20211026



ブラインドサイト(上下)
ピーター・ワッツ著/嶋田洋一訳

 発達障害の治療のために脳の半分を摘出したシリ・キートンは「統合者」と呼ばれる客観的な観察による情報を他者に伝えることができる能力者となった。
ある日地球を65536個の異星人による探査機が覆い尽くした。
その発進元と思われる彗星に向かったのは、復活した吸血鬼をリーダーに、四重人格者の言語学者、感覚器官を機械化した生物学者、平和主義の軍人、そして統合者シリというメンバーを乗せた宇宙船テーセウス。
彼らは異星人と思われる存在と遭遇し、ただちに会話までもが成立するが、その存在はなにか様子がおかしかった・・・。

 たまには新しめのSFを読んでみようと本書を手に取った。
原書の出版が2006年で、本文庫が2013年発行。
最近明治か昭和初期に書かれた本を読むことが多い化夢宇留仁的感覚で言えば超最新作(笑)
で、感想だが・・・とりあえずテクニカルタームを駆使して、感情移入不可能なキャラクター達が、そもそもまともにコミュニケーションが成立するのか疑問のある地球外の存在とファーストコンタクトする話・・・の割には読みやすく、面白いと感じないことはない。
しかし先述のキャッチーすぎるあらすじから想像する冒険譚とはあまりにも乖離が激しいのと、少々翻訳にも問題がある(雰囲気って・・・)ようで、状況がつかみにくいところも多く、少々もったいない感じ。
そもそも本書のテーマは意識に対する考察なので、宇宙人とかどうでもいいみたいな(笑)
世界で7つの受賞歴がある作品ということだが、アイデアや科学的考察が評価されたのか、作品の完成度としては化夢宇留仁はあまり評価できない結果になった。
 それはそうと、この文庫の表紙は素晴らしいと思う。
だいたい上下巻で画をつなげたデザインのものはどっちつかずの中途半端な感じになってしまうことが多いのだが、本書はつなげて見て素晴らしいのは勿論、片方だけ見てもかっこいい。

<ネタバレ>
 それまでなんとか普通に読めてきたのに、最後の展開は状況も理由もとてもわかりにくくなってしまっており、結末としては非常に残念に感じた。
吸血鬼は必要だったのか?
なんでいきなり5人目?
なんでいきなり致命的状況?
地球で吸血鬼が大暴れ?
 この本は続刊が出ていて、それも含めて1つの作品として成立するのでなければ、この終わり方は納得できない。
そしてそうならそうと、全4巻の1〜2巻という形にしてほしいが、やはりそういうわけでもないらしい。

20210916(mixi日記より)
20211027



ローダンシリーズ8
銀河の時空を抜けて
松谷健二訳

銀河の時空を抜けて
クラーク・ダールトン著。
 ポジトロン電子頭脳がとうとう暗号を解読。次のヒントに導かれ、一旦金星基地に戻り、そこのポジトロン電子頭脳の記録から、1万年前に物質転送機を見出したのがアルコン人ケルロンだと知る。
再びフェロン地下の部屋に戻った一行は、そこに現れた機械によって、1万年前の世界に・・・。

 宇宙開拓物、ファースト・コンタクト物、核戦争物、超能力物、地球侵略物、株式操作物(笑)、宇宙戦争物、レジスタンス物、迷宮探検物ときて、とうとう時間旅行物に。
でもこれでまだ8巻(原書では16巻)で、全体の1%にも満たないというのがローダンシリーズ(笑)
 今回はなにしろ中世時代風の異星の過去というよくわからない舞台(笑)なので物珍しいところが面白かったのと、珍しくクレストが活躍して少し株が上がった。
しかしちょっとなにかあるとすぐにトーラたんと一緒に文句を言い出すのは相変わらず。
いい加減にしろ(笑)
またブリーの軽口にローダンが不快感を示すところがあるが、化夢宇留仁も少々うるさく感じてきた。
「ちょっと黙ってろ」(笑)

ゴルの妖怪
クルト・マール著。
 時空振動に導かれてヴェガ星系の第14番惑星に到着。
そこは木星の3倍もの直径に、5万気圧の大気、900Gの重力という地獄のような惑星で、ブリーはそこをゴルと名付けた。
地表に降りるというローダンを、例によってクレストとトーラが止めるが、例によって相手にされず(笑)、スターダスト2は凍ったメタンの地表に着陸。
更に特殊な地上車を作り、目標である「山」を目指すローダンだったが、そこには奇妙な光が・・・。

 今回は惑星探査物(笑)
出てくる科学的説明はわけがわからなさすぎて返って悩まなくてよい(笑)
ただし相手と言えるのは生命体かどうかも怪しい奇妙な光の群れだけで、あとはひたすら超重力惑星の探検が続くので、小説としては盛り上がりに欠ける。
 気に入ったのは地上車の表紙や挿絵に出てくるデザインで、ティーガー2を前後逆にしたような車体に湯たんぽみたいな上部構造物がかわいい(笑)
そして挿絵からの推測されるサイズはガンタンクよりもでかい(笑)
 あとショックだったこと。
3巻から出ているミュータントのタナカ・セイコ。
男だと初めて知った(汗)

20210918(mixi日記より)
20211028



太陽系辺境空域
ラリー・ニーヴン著/小隅黎訳

 ノウンスペース・シリーズの最初期から末期に至る短編集。

いちばん寒い場所
 ハーウィーは水星の地表を宇宙服を着て探索していた。傍らに着陸している宇宙船には、彼の友人エリックの脳が接続されている。
そこに現れる黒い液体のような存在は、その動きから生物かと疑われた。

 ・・・ニーブンの処女短編。だがよくわからなかった(汗)

地獄で立ち往生
 金星の大気を調査していたハーウィーとエリックだったが、突然エリックが船のラムジェットを操作できなくなる。
調査の結果異常を見つけられなかったハーウィーは、エリックの自分が機械だということを無意識に拒否する精神的な原因ではないかと疑うが・・・。

 落ちがニーヴンらしくユーモアがあってかつ痛快なもので、気に入った。

待ちぼうけ
 冥王星の調査のために着陸船を下ろすも、氷の上に着陸してしまい、船は半分沈んでしまう。
このまま地球に帰還することのは不可能だと知った「わたし」のとった行動は、予想外の結果を引き起こした。

 あり得ないとは思うものの、とても面白いアイデア。
しかしその現象の実現性よりも、その条件内で宇宙服が脱げるほうがありそうに無い気が(汗)

並行進化
 火星の地表でダイヤモンドで出来た井戸が発見される。
そしてその近くではなんと自転車に乗っていたと思われる火星人の遺体が・・・。

 いきなり出てくる火星人にびっくり。
華々しい落ち(笑)も。

英雄(ヒーロー)たちの死
 男ばかり15人の隊員で構成された火星の探索ドーム基地で殺人事件が発生。
犯人ジョン・カーター(笑)はマースバギーであろうことかドームを突き破って逃走。
なんとかドームを修復したドームからも、1台のバギーが彼を追った・・・。

 書かれたのが1966年で2040年頃を舞台にしているのだが、殺人の動機に至る社会通念や対応がなんとも古臭い。
しかしドーム基地やマースバギーの描写などは興味深い。
そして火星人・・・(笑)

ジグソー・マン
 ワレン・ルイス・ノウルズは監房の中で死刑宣告を待っていた。
彼の両隣の監房には、臓器密売にまつわる重犯罪人が収監されていた。
その1人が自爆したことにより、ルー(ルイス)は脱獄のチャンスをつかむが・・・。

 いくらなんでもその罪で死刑にしていたら臓器が余りすぎるだろう(笑)

穴の底の記録
 ベルターであるマラーは、逃亡の結果火星に着陸することになった。
着陸地点の近くには放棄されたドーム基地があった・・・。

 「英雄たちの死」の基地の顛末が70年後に語られる。
火星人・・・(笑)

詐欺計画罪
 174歳になるルーカス・ガーナーは警察署長と共にロボットレストランにやって来た。
ところがルーはロボット給仕に悪意に満ちた視線を送り、驚いた署長は理由を問いただす。
するとルーはロボットレストランの黎明期に出くわしたトラブルのことを話し出すが・・・。

 なんだか筒井康隆風(笑)
ロボットレストランという発想が少々古臭い。

無政府公園(アナーキー・パーク)にて
 暴力以外の全ての行為が許される公園で起こる珍事。

 まず公園の描写が色々変な人が多くて面白い。そして管理システムが止まってしまった途端に起こる出来事も。
こういう舞台を限ったSFは楽しい。

戦士たち
 初めて人類以外の恒星間種族と遭遇するエンゼルズ・ペンシル号。
当時の人類はあまりにも平和な期間が長く、戦争、攻撃などの概念さえ忘れかけていたが、相手は戦闘艦だった・・・。

 いくらなんでもそこまでなるやろか?
そしてこの話はその後人類とガチで恒星間戦争をひきおこすクジン族とのファースト・コンタクトの物語でもある。

太陽系(ソル)辺境空域
 海王星の軌道外、太陽系辺境空域で、宇宙船の失踪事件が相次いでいた。
ベーオウルフ・シェイファーはその事件の調査に向かう仮想戦闘艦ホボ・ケリイ号に乗り込む。
しかしホボ・ケリイ号も突然のハイパードライブの故障に見舞われ・・・

 なんだか似たような話を最近キャプテン・フューチャーで読んだような(笑)
この短編集は一応時代順に並んでいるのだがその間隔はあまりにもまちまちで、この話の前に出てきたクジン族とはすでに4回戦争を行って完全に屈服させ、今作では平和な関係を築いていたりする(笑)
こういうのって宇宙史っぽくてなんだか楽しい(笑)

退き潮
 ノウン・スペース外を1人旅していたルイス・グリドリー・ウーは、長年探し続けていたスレイヴァーのステイシス・ボックスらしきものを発見する。
ところが彼と同時に同じ宝に目をつけた異星人の宇宙船が現れ・・・。

 スタートレックTOSにありそうな展開が愉快。
ただし落ちへ至る流れはさすがに全然違い、雰囲気よくて面白かった。

安全欠陥車
 自動運転車に乗った男が車ごとロック鳥に飲み込まれた。
色々とやってみたが自力で脱出するのが不可能だと悟った男は、仕方なく事故前からやっていたソリテアを続けた・・・(笑)

 なんじゃこの話は(笑)
面白い(笑)

 冒頭からニーヴンの解説やら年表やらがあって、ノウンスペース・シリーズの宇宙史をいやでも感じるようにできているが、それぞれの作品からは(その間隔が長いものは特に)それほど歴史を感じるような内容ではない。
ちうかむしろ作品ごとにあまりにもテイストが異なるので、同じ世界線の中の出来事とは信じがたい(笑)
ちうか火星人はどうなったんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(汗)!?

20210919(mixi日記より)
20211029



涼宮ハルヒの憂鬱
谷川流著

を読んだ。
 先日「ラノベを読んでみようと思う」とつぶやいたところ、何人もの方からお勧めを教えて頂いたのですが、ボドゲ会の時にcerberus氏にお借りしたのがとりあえず本書だった。
高校1年の主人公の少年が、クラスメイトの奇妙な少女の希望「不思議なものと遭遇したい」になんとなくつき合わされている内に、不思議なものと遭遇する。と、まあそんな話(笑)。

 読んでみて意外だったのは、いかにもオタクな感じの要素もちりばめられているにはいるが、内容的には昔読んだコバルトやらジュブナイルやらに非常に近い、純粋に少年少女向けの物語だったことだった。
そういう意味では直球ど真ん中な感じ。
もっと最近のオタク文化の象徴的なイメージだったので、これには肩すかしに感じつつ、予想をいい方向に裏切られる結果となった。
さらに興味深いのはこの先に続編が山ほどでているということで、普通この内容だと続編は書きにくいと思うのだが・・・・・・・・
興味深い。

20120726(mixi日記より)

2回目。
 「俺」が新たに始まった高校生活の中で、気になったのは後ろの席に座る涼宮ハルヒという美少女だった。
彼女は自己紹介で宇宙人か未来人か超能力者以外は興味ないと言い放ったのだ。
席が近いこともあり、なんとなく話をするようになる「俺」こと「キョン」だったが、彼の意見でハルヒは待っているだけではなく、自分から行動を起こすべきだと気づき・・・。

 なんやかんやでシリーズを読んでみることになったので、1巻を読み返してみたのだが、感想は昔読んだときと変わらず。
面白いけど特別変わったところがあるとも思えない。
強いて挙げれば
<ネタバレ>
普通はメンバーを集め、それから本編という流れになるところを、メンバーが集った時点で目的を達しているというのが新しいのと、宇宙規模の精神知性体のドローン、未来からの監視員、閉鎖空間を行き来して青い巨人を倒す赤い光球・・・と、様々なパロディも含めた大風呂敷をサクッと組み込んでかつきれいにまとめ上げているのは大したものだと思う。

20210919(mixi日記より)
20211030



銀河辺境シリーズ8
遥かなる旅人
A・バートラム・チャンドラー著/野田昌宏訳

 監察宇宙軍を辞職したグライムズだったが、行く宛があるわけでもなく、ボタニー・ベイで港長をしていたが、住民の殆どに恨まれており、散々な日々を送っていた。
そこにやってきたのはエル・ドラド船籍の黄金の宇宙船ファー・トラベラー号だった・・・。

 ファー・トラベラー号の雇われ船長になって星々を旅するグライムズだが、船主がエル・ドラドの貴族の美女であり、しかも宇宙船にはHAL9000を越える能力を持った人工知能が組み込まれており、結局やることもなく、男爵家令嬢も「見るのはOKだけど触るのは駄目」で欲求不満がたまるばかり(笑)
これは読者も同じで延々とジリジリさせられるのだが、ファー・トラベラー号の行き先が、ロスト・コロニーの疑いのある惑星2つ、そして元ロストコロニーであるモウロヴィア、更には遺棄された太古の戦闘宇宙艦と、バリエーションに富んでいるので飽きることはない。
また本作の最大の見所は超高性能AIであるビッグ・シスターの存在で、グライムズとの微妙な距離感から、最後のHAL9000もびっくりな展開まで、非常に興味深い。
また「彼女」の操るエル・ドラド製ロボットたちも相変わらずの高性能さで、警察を襲ったターミネーターみたいな見せ場もある。
しかしやはり全編主人公たるグライムズが欲求不満のままなので、どうしても作品全体のトーンもそれに影響される。
展開上致し方ないが、少々残念だった。
 関係ないがこの本の表紙のイラストの美女が、宇多田ヒカルか優香みたいで昔からお気に入りである。
描かれた当時には2人とも存在していないが(笑)

20210920(mixi日記より)
20211031



吸血鬼が祈った日
赤川次郎著

吸血鬼が祈った日
 3年の海外勤務を終えて日本に帰ってきた中宮は、もう夜7時を回っているというのに家に電気も点いておらず、静まり返っているのに異常を感じた。
そこに突然現れたのは、若い女性と外国人らしい古風なマントを身に着けた男だった・・・。

 吸血鬼対新興宗教団体。
そう書くととても面白そうだが、このシリーズでこのテーマを掘り下げて描くのは無理で、軽〜〜〜く終わる。
宗教団体というのは敵に回すと本当に恐ろしい。
被害者たちは自分が被害者だと思っていない上に、国からの保護さえある。
マルサの女2とか(笑)
そういう意味では不気味な敵としての片鱗は見せていたが、上記の通り掘り下げて描くようなシリーズではないのであっさり終わって肩透かし。

吸血鬼を包囲しろ
 山中で暗闇の中で息を潜めるいつもの3人組。
何者かに追われているのだが、追手の気配を感じてそこから脱出を試みるが、エリカは崖から落ちてしまい・・・。

 背後のからくりはまあなんでもいいとして(汗)、この話は構成がちょっとおかしい。
ある程度情報が揃ってきて、これから最後のキーになる情報を入手するというところで、いきなり悪玉を懲らしめる&種明かしのシーンに突き進んでしまうのだ。
どう考えてもそこに行くには開示すべき情報が足りていない(汗)
どうしてこうなってしまったのか?

 ちなみにこの本を読み始める直前に、本棚でこの本が無いと思いこんで中古で注文してしまい、ギリギリで棚にあるのを見つけてキャンセルが間に合った(汗)
シリーズ物はちゃんと順番通りに並べておくのが大切です(笑)

20210920(mixi日記より)
20211101



殺人詩篇
ウィル・ハリス著/斎藤数衛訳

 英文科の教授であるクリフ・ダンバーは、去年9月に妻に先立たれ、3週間前には親友だった司書主任のリンク・スコフィールドが自宅のガレージで刺殺され、自分も教授を辞職する日が迫っており、気が滅入っていた。
そこにやって来たリンクの娘であるパールに、リンクの事件を調べてほしいと頼まれる。
殺害現場から黒人のチンピラ2人が逃走するところを目撃した者がおり、ポケットから14ドルが盗まれていたことから単なる通りすがりの強盗だろうと思われていたのだが、リンクは時価30万ドルと言われる稀覯本「ベイ版詩集」を抱えたままだった。
その本は先日知事選に名乗りを上げたペリー・ウィンスロップが図書館に寄付したものだった・・・。

 ライトなミステリーで、とても面白かった。
しかしまず大いに戸惑ったことを挙げておく。
殺された主人公の親友は62歳。62歳の親友ということなので、それに近い年齢の主人公を想像する化夢宇留仁。
しかし昨年亡くなった奥さんの年齢は28歳。
いくらなんでも60歳近いおっさんの奥さんが28歳というのは極端すぎるだろうと30代後半くらいの年齢に想像し直す。
主人公はベトナム帰りで、当時は中尉だった。
40代くらいに再修正(笑)
ややこしいから年齢も明記しておいてくれ(笑)!
 構成としては特別なトリックがあるわけではなく、犯人探しさえもおざなりで、通りすがりの強盗に襲われたのでなければ「ベイ版詩集」が偽物である可能性が高いと考え、それを証明してゆく過程で事件のあらましもわかってくるというもので、ある種の倒叙ミステリーと言えるかもしれない。
この偽物の証拠探しに活躍するのがスーパー校正ガール(笑)モナ・ムーア院生で、彼女が登場した途端にそれまで負け犬感が漂っていた主人公含めて超前向きな雰囲気に物語が変貌(笑)
それまで退職後は行く宛もないし、家で本でも読んで隠居して、伸びたあごひげで窒息して終わりにするか(笑)とか考えていた主人公クリフも、素手でナイフを持った暴漢2人を圧倒し、自宅玄関を機関銃で撃ちまくられても慌てず騒がず逆に相手を罠に落としたりと、超スーパーマンに(笑)
 会話がいちいち軽妙でしゃれているのも楽しい。
特に司書のアキラ・ヨネナカがかっこよく、他にもそこかしこで日本を高く買った描写が出てくるのも嬉しくなる。
他の登場人物も誰も彼もが魅力的で、アイス・ティーを淹れるのが上手なおばあちゃんがあんな大活躍をするとは(笑)
敵(?)にあたるウィンスロップも新聞記事に出てくる記者との受け答えとかがいかにもアメリカの政治家っぽくしゃれていて、思わず応援したくなった(笑)
 あらら?と思うところもある。
主人公がスーパーヒーローすぎるのもそうだが(笑)、冒頭の目撃者の証言がいい加減すぎたり、あまりにも偶然その証言を覆す情報が手に入ったり。
 だいたい1984〜85年頃に書かれているのだが、図書館が導入した最新のコンピューターによる情報検索シーンも出てくる。
キーワード検索で過去の新聞をリストアップし、記事をプリントアウトできるシステムで、その記事がすごいスピードでプリントアウトされるのを見て主人公が目玉が飛び出るほど驚くという描写があって笑える。
しかし当時裕福な施設ならIBMやらのコンピューターを導入していてもおかしくないが、新聞のデータベース化はコンピューターの金額を遥かに上回るお金と時間がかかるので、それができていたとは考えにくいのと、写真まで出てきたのはあり得ないだろう。
性能が低いものであればスキャナーもあったかもしれないが、そんなデータを保存&処理できる環境があったとは考えにくい。
まあリアリティよりも軽いエンターテイメントを目指した作品ということで、目くじらを立てるところではないだろう。
 そして本題たる稀覯本の調査過程は、入手経路は勿論、使用した紙の問題、フォントの問題、誤植の問題など、しっかりとディテールが描けているので興味深く楽しめる。
そして・・・実はラブコメだったりもする(笑)
ちうわけでライトでニコニコしながら読めるミステリーだった。

20210920(mixi日記より)
20211102



涼宮ハルヒの溜息
谷川流著

 このシリーズを読むことにし、前回まずは第1巻を再読したので、今回から初めて「シリーズ」を読み始めたことになる。
どうでもいいことだが。
というか文章が内容の影響を受けている気がする(汗)

 あれから半年、相変わらずのSOS団では、いつもの通りハルヒの思いつきだけで文化祭に向けて自主制作映画を制作することに。
相変わらず無理難題を意識もせずに連発する涼宮超監督だったが、映像という具体的なイメージに立脚するせいか、現実世界がその影響を受け始め・・・。

 結論から言うと、今回はありきたりな内容でもう一つだった。
化夢宇留仁が昔そうだったこともあり、高校で自主映画を撮るという行為も楽しさよりもその周辺の事のほうが気になったり(汗)
また妄想が現実を侵食し始めるという展開も、よくある話と言ってしまえばそれまでである。
ただし事態の収拾の付け方は一捻り(?)してあって納得いった。
まあ今回は起承転結の承ということにしておこう。

20210923(mixi日記より)
20211103



キャプテン・フューチャー 時のロスト・ワールド
エドモンド・ハミルトン著・野田昌宏訳

 アステロイド・ベルトの小惑星の1つで、なんと1億年前の世界からの助けを求める通信が発見された。
カーティスはコメット号をタイムマシンに改造し、月から地球への間の1/3くらいの空間で1億年前に向かった。
ところが過去の世界に到着した直後、小型の月がコメット号に衝突。1億年前には地球には月が2つあったのだ。
地球に墜落するコメット号。1億年前の地球は恐竜たちの世界だった・・・。

 ちうわけでとうとうタイムマシンまで作ってしまったキャプテン・フューチャー。
時間の旅ということで、内容的にも今までにない展開が目白押し。
まず変な通り名の敵がいない(笑)
敵に相当する存在は登場するのだが、それは状況的に妥当な存在理由があってのもので、これまでとは一線を画す。
またせっかく時間移動ができるのだからと欲張ったのか(笑)、話のスケールはどんどん大きくなり、フューチャーメン達は太陽系の誕生まで目撃することに。
そんなこんなで今までよりハードSF味濃い目の仕上がりとなっており、興味深い巻だった。
ただし勿論タイムパラドックスは超てんこ盛りで、指摘する気にもなれない(笑)
しかしパラドックスとは別のところですごく気になるところがいくつかあった。
それはカーティスがとにかく急いだり焦ったりするシーンが多いというもので、コメット号のタイムマシン化も大慌てで進めるし、過去に行ってからも惑星が爆発するまで時間が無いと焦りまくり。
タイムマシンだよ(笑)?

20210925(mixi日記より)
20211104



攻撃ヘリ<ハインド>を撃て
ジェラルド・シーモア著/田中昌太郎訳

 イギリス空軍技術下士官であるジョーイ・ディケンズは、休日にアルバイトに手を出した。
それは彼が赴任中のパキンスタンより隣国アフガニスタンに侵入し、墜落したMi-24ハインドの部品を取ってくるというものだった。
残骸から獲物を取り外し、帰路につくが、そこで墜落していない同機種2機と遭遇。彼と彼に仕事を紹介した2人は肉片となった。
 イギリス外交部はCIA長官からイギリスが下手な手を出してプロの仕事を邪魔しないようにと杭を刺された。
しかし今回の事件はイギリス政府は関知しないもので、その警告はむしろ彼らの興味をひいた。
ソ連の攻撃ヘリMi-24の最新機器やマニュアルを手に入れれば大きな価値があり、CIAの鼻をあかす事もできる。
そうして外務省事務官のハワード・ロシター少佐と、イギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)のバーニー・クリスピン大尉がその任務に抜擢された。
地対空ミサイル「レッドアイ」を8機持って現地のゲリラに使用方法を教えてハインドを撃墜し、その機密情報を持ち帰るのだ・・・。

 陸が舞台の戦争系を読もうと思い、手に取ったのが本書。片方空を飛んでるけどまあいいかと(笑)
なかなか興味深い内容だが、それは主にあまり馴染みのないアフガニスタンの様子やゲリラ戦の描写の部分で、物語としてはこれといって突き抜けたところはなく、かと言ってつまらないわけでもなく、まあまあという感じ(笑)
人物描写はそれなりに頑張っているのだが、感情移入できるほどではなく、ここは惜しいところか。まあ立場が違いすぎてなにを考えているのか想像しにくというのもありそうだが。
一番の興味ポイントは勿論Mi-24ハインドで、人が乗る兵器で悪役ベストテンをやったら1位確実なのでは(笑)?という一時期は悪役兵器と言えばとにかくハインドというくらい存在感があった。
ただし本書ではそれほどハインドの描写が頑張っているという感じではなく、むしろレッドアイの描写のほうがかっこよかったり(汗)
うん。まあまあでした(笑)

20210928(mixi日記より)
20211105



読まずば二度死ね!
内藤陳著

 最近mixi日記の本や映画の感想をホームページに転記していっているのだが、その内の「読まずに死ねるか!」の感想を読んだ方から、掲示板にて
"バイブルです。
「読まずば二度死ね!」まで含めて必読本でしょう。"
というご意見を賜ったので、ただちに注文して読んだ次第(笑)

 内容的には「読まずに死ねるか!」と大して違わない。
なにしろ本好きの著者が力いっぱいお勧めの本を紹介しているのがメインなのだから、変わりようがない。ただし年月がすぎれば新たな本が出版されるわけで、当然紹介される本のタイトルも変わってくる。
要するに内藤氏のフィルターを通した面白本発見の手引なわけで、むしろそこが変わってしまってはまずいのである。
そう言えば化夢宇留仁がつい先日読んだ「攻撃ヘリ<ハインド>を撃て」も紹介されていた。
化夢宇留仁的にはまあまあな感じだったが・・・。
 今回は冒頭に著者によるショートショートと、他の作家の作品の巻末を飾った解説も多く掲載されている。
ちなみにショートショートの方は流石に冒険小説というわけではないが、なかなか味わい深いコメディである。
またこの本の解説は作家の船戸与一氏が書いているのだが、これが実は滅法面白かった。
さすがプロ(笑)

20211001(mixi日記より)
20211106



SF大将
とり・みき著

 主に名作SFを題材にした41篇のパロディ(?)コミック。
化夢宇留仁も元の作品を半分以上は読んでいたが、どれも元作品はあくまで題材という感じで、普通にオリジナルのマンガになっているのは流石とり・みき(?)
例えば「重力の使命」では超重力下での運動会の様子が描かれる(笑)
どれも面白いが、どれも飛び抜けて面白いわけではないのもとり・みきっぽい(笑)

20211002(mixi日記より)
20211107

 

 


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