女王陛下のユリシーズ号
アリステア・マクリーン著/村上博基訳

 第2次大戦における、ソ連への支援物資を積んだ輸送船団の護衛艦であるユリシーズ号の物語。
海洋冒険小説の名作として名高い本作は、前に読んだ「サイレント・シー」とは対象的に、悲惨で悲惨で悲惨で悲惨な展開だった(笑)
まず冒頭これから出港するぞ!という段階ですでにユリシーズ号は過酷な任務を終えたばかりで、クルー達の疲労は極限に近く、すでに小規模の反乱まで起こっている状態(汗)
そして航路は荒れ狂う北極海であり、単に航海しているだけでもあまりの低温で凍死者が出かねない上に、恐ろしい嵐によって敵に遭遇するまでもなく艦隊は満身創痍に(汗)
そして提督は頭が時代遅れで敵に裏をかかれまくり、有能な艦長は結核で死にかけ(笑)
化夢宇留仁がこれまでに見聞きしたもので一番内容が似ていると思ったのは「八甲田山」である(笑)
史実でもソ連へのレンドリース輸送艦隊はえらい目にあっているのである程度リアルではあると思うのだが、それにしても笑えるくらい悲惨(笑)
また敵のドイツ軍は装備もいいし頭もよく描かれてるんだこれが(笑)
 というわけで面白かった。
しかしそこまで名作というほどではないような?

20210803(mixi日記より)
20210928


ダーコーヴァ年代記
はるかなる地球帝国

マリオン・ジマー・ブラッドリー著/阿部敏子・内田昌之訳

 憧れのダーコーヴァにやってきた地球人の少年ラリーは、地球人がほとんど立ち入らない地域を探検していたが、地元の不良(笑)グループにからまれ・・・。

 なんだかどれもこれも似たような感じがする本シリーズ。
ダーコーヴァに到着するシーンから始まるのが多いのと、結局主人公も過去にダーコーヴァに関わりがあり・・・という展開が多すぎるのでは(汗)
気のせいか解説ではヴァラエティに富んでいる書かれているが(汗)
それでも本作はダーコーヴァにはじめて来た少年ということで感情移入もしやすく、後半は冒険小説みたいな展開になってそれなりに盛り上がったので悪くなかった。
特別よくもないが(汗)
ところで本作はこの前に読んだ「宿命の赤き太陽」の2〜30年前の話である。
作品発表順に読んでいるのだが、今のところ全て前の巻より過去の話、つまりひたすら過去に遡っていっているのだが、特に効果的と感じるところもないし、ややこしいのでやめてほしい(汗)

20210805(mixi日記より)
20210929


吸血鬼はよき隣人
赤川次郎著

吸血鬼は良き隣人
 若い女性が殺された。現場の近くではサンタクロースの扮装の人物が目撃されていた。
クリスマス・イブにエリカのマンションを訪ねてきたのは、川添千恵という女性で、彼女の息子がサンタクロースの扮装をするアルバイトをしているという・・・。

 なんというか無茶苦茶な話だった。
登場人物の多くの行動が完全に常軌を逸しているし、謎解きも推測だけですましていると思ってしまう雑さ。
元々無茶苦茶なシリーズではあるのだが、この話はそんな中でも守るべきと思われる範囲を超えている。
スランプか?

吸血鬼と雪男
 最近オープンしたスキー場に遊びに来た一行。
リフトで山頂に向かったところ、件のリフトに死体が乗っているのを見つけてびっくり。
更にみどりが謎の巨大な足跡を見つけ・・・。

 こちらはまだまとも(?)な物語になっていて一安心。
ミステリーとUMAを絡めるのも、本シリーズの王道と言える展開。
もう一つ盛り上がりには欠けたが(汗)

初出一覧を見たら「吸血鬼と雪男」の方が1年ほど前だった。
まさかこれ以降は「吸血鬼は良き隣人」みたいな無茶苦茶な話しかないとかじゃないよね(汗)?

20210805(mixi日記より)
20210930


SAS プリンス・マルコ・シリーズ
セーシェル沖暗礁地帯
ジェラール・ド・ヴィリエ著/伊藤守男訳

 セーシェル諸島近海で輸送船が沈没した。
その船には南アフリカ産の200トンの酸化ウランが積まれており、イスラエルに向かうはずだった。
イラク、モサド、そしてCIAが行方不明になったウランに興味を示し、CIAからはオーストリアの神聖ローマ帝国18代大公であるマルコ・リンゲが派遣された・・・。

 とりあえずシリーズ最初の本を読んでみたのだが、本国の出版順では49作目らしい(汗)
いやゆるスパイ・アクションもので、007シリーズと比べれば現代に近いこともあり、そこかしこにリアリティを感じる。
エロス、バイオレンスも遠慮なしなので、お子様向けではない(笑)
ご都合主義も最小限に抑えられているので、普通のヒーローなら助けに入るタイミングで来てくれないので悲惨な展開も(汗)
しかし総じてテンポと雰囲気がよくてとても楽しめた。
セーシェル諸島ののんびりしつつも法の及ばない僻地という微妙さとか、旅行気分も楽しめるし、出てくるヒロインが魅力的なのはもちろん登場人物の誰も彼もが魅力的に描かれている。
シリーズ49作目にしてこんなハイレベルを維持しているというのは信じがたい偉業だと思う。
あとカバーデザインも素晴らしく、見ているだけでワクワクドキドキ(笑)
これは続きも読んでみなければ。
でも日本語訳されているのは全体の1/3くらいなんだよな・・・(汗)

20210807(mixi日記より)
20211001


鳥頭紀行ぜんぶ
西原理恵子著

を読んだ。
 いつもの垂れ流し漫画のフルカラー文庫。
別に読みたいわけではなかったのだが、落札した本のセットに紛れていたのでなんとなく。
すごいのは縮小がきつすぎて拡大鏡なしでは絶対読めないというところ(汗)
内容はいつもの通り。
この作者の漫画を読むといつも思うのが、どこまで本当のことなのかということだが、真剣に考えるほどのことではないのですぐ忘れる(汗)

20210807(mixi日記より)
20211002

 


銀河辺境シリーズ6
奴隷狩りの惑星
A・バートラム・チャンドラー著/野田昌宏訳

 失われた植民星を商船が発見したらしい。
監察宇宙軍としても放ってはおけず、グライムズが指揮するシーカー3にその発見の任務が下された。
様々な情報を収集し、更に怪しい行動をとる商船の動きを監視し、なんとか惑星モルロウビアを発見。そこは噂通り全裸の美女たちが・・・。

 しっかりしたプロットと魅力的なアイデアが散りばめられていて面白い。
商船と監察宇宙軍の微妙な関係も興味深い。
それにしてもこのシリーズは化夢宇留仁が想像していたものとは全然違う内容で、特にコメディ要素がこんなに多いとは知らなかった(笑)
そしてこんなに「SF」感が強いことも。もっと海洋冒険の雰囲気が強いのかと思っていた。

猫ちゃん・・・(笑)

20210808(mixi日記より)
20211003


銀河遊撃隊
ハリイ・ハリスン著/浅倉久志訳

を読んだ。
 未読と思って読み始めたのだが、なんだか展開に覚えがある・・・と思って調べてみたら12年前に読んでいた(汗)

12年前の感想

しかしほとんど覚えてないし、途中で投げ出すのも気持ち悪いので最後まで読んだ。
感想はリンク先と同じ(笑)だが、せっかくなので少々付け加えておく。

猫がいなくなるのが面白い。
宇宙を飛ぶボーイング747が面白い。
地球から遠く離れた惑星の住人が、どいつもこいつも地球のラジオを聞いていて英語がしゃべれるのが面白い。
敵のスパイが一瞬で仲間になるのが面白い。
ヒロインの扱いがとことん雑なところが面白い。
味方と思っていたのが敵で、人口の99.9%を主人公たちに殺された種族が味方になり、味方と思っていた敵はステーキになるのが面白い。
巨大なサソリとそっくりな知的生命体達が身震いする様が面白い。
主人公の天才2人の内の1人が途中で拷問の結果パッパラパー(笑)になってしまうのが面白い。
超知性を持ったゴキブリのリーダーの死に様が面白い。

ものすごくテンポよく映画にしたらすごく面白そうだ。

20210809(mixi日記より)
20211004


キャプテン・フューチャー 謎の宇宙船強奪団
エドモンド・ハミルトン著・野田昌宏訳

 航行中の宇宙船が盗まれる事件が続発。
パイロット達は盗まれる瞬間の記憶が無く、はっと気づくと宇宙空間に置き去りにされているという・・・。
キャプテン・フューチャーに調査の依頼が届くが、その時コメット号で出かけていたオットーに異変が・・・。

 新造宇宙船のテストパイロット、宇宙船の造船業界、謎のロボット達、太陽系横断レースと、SFらしい見どころ満載でテンポもよく楽しめた。
最大のニュースはとうとうサイモンが自力で移動や実験ができるようになったことで、て言うかいきなり単身で惑星間航行までできるようになるという超進化(笑)
これで例の拷問専用スイッチも自分でOFFにできるようになった(笑)
 化夢宇留仁的に一番盛り上がったのはサルガッソー空域で懐かしい吸血外宇宙人達と再会する件で、合成血液を食料にしているのにその材料を集められないとか、変に偏ったところも目立つが(笑)、元気になった途端に俊敏に触手を動かして活動するところがかっこよかった。
でも大気のある惑星では生きられないのに血液が食料っておかしいよな(笑)

20210809(mixi日記より)
20211005


廃墟の東
ジャック・ヒギンズ著/白石佑光訳

 グリーンランドで水陸両用機オッターのパイロットをしているジョウ。
1年ほど前に墜落した飛行機の残骸が発見され、そこに残されていた遺体の身元確認をしたいという依頼が舞い込むが、同行した死んだパイロットの妻が嘘をついているのをジョウは知っていた・・・。

 気になるところもいくつかあったが、読了した感想としては「とても面白かった」というものだった。老俳優の見せ場が盛り上がったし。
小品なのだが、冒険小説に必要な条件が見事にそろっていて清々しい。
展開としては結構これといった事件が起きないページが続き、これで冒険小説が成立するのかと不安にさせられるが、完結に向けて尻上がりにテンポが増して次々に伏線を回収してゆくのも心地よい。
 気になったのは実はこの作品はなかなか結構トリッキーなプロットで、冒頭の夢である程度説明されるが主人公は事件の発端に関する情報を知っているこの世で唯一の人間で、そんな特殊な立場の一人称でかつミステリー調に進められるのには少々違和感を感じた。
やっぱり一人称の場合は必要な情報も読者と共有してほしいし、そうじゃないなら三人称にしてほしかった。
アクロイド殺しじゃないんだから(笑)

 そうそう最近は本を読んでいてわからない単語が出てくるとその都度ググっているのだが、この物語は少々マイナーな飛行機が色々と登場するのでそれを画像検索するとただちにどんな飛行機かわかるのが痛快で、かつ雰囲気をぐっと盛り上げてくれたのが嬉しかった。

20210810(mixi日記より)
20211006


ローダンシリーズ5
決戦!ヴェガ星域
松谷健二訳

地球救援
W・W・ショルス著
 金星基地でアルコンの小型戦闘機が6機発見され、その試験飛行中にIVsによる本格的な侵略が開始されたとの連絡が入る。

 ミュータントによる諜報活動が様になっていてかっこいい。
しかし一番びっくりしたのは、いきなりアダムスとIVsの素手の格闘がはじまったときだった(笑)

決戦!ヴェガ星域
K・H・シェール著
 3年が経過。
ヴェガ星域に多数の宇宙船がワープアウトしているのが感知され、ローダン達は初の超光速航行でグッド・ホープをヴェガ星域へ。
そこでは爬虫類型のトプシダーの艦隊がヒューマノイドのフェロル人の艦隊と壮絶な戦闘を繰り広げていた。
科学技術では圧倒しているアルコン船の攻撃でトプシダー船は次々に爆発するが、予想外の船影が突然現れ・・・。

 いきなりこれまでとは全く違う展開がはじまってびっくり。
3年たってるし、太陽系を飛び出すし、トーラちゃんは「あいつら、わかったでしょう。相手がだれだか!」とうっぷんを晴らすも、これまで遭遇したことのない強大な敵が。
そしてあたかも前後編の前編のような終わり方(汗)
浮遊機械都市ボーグか〜〜〜〜(笑)!
どうなるんじゃ〜〜〜〜〜(汗)???

20210814(mixi日記より)
20211007


幻想の未来
筒井康隆著

を読んだ。
 記録によれば1983年8月13日と、2015年10月9日にも読んでいる。
おそらくその間にもう1回くらい読んでいるのではあるまいか。
驚くべきことは、そんなに読んでいるのに今回もまあまあ新鮮な気持ちで読めたところ。
恐るべし化夢宇留仁の記憶消去力(汗)

幻想の未来
 最後の人類がミュータントを産み落としてから死亡。
その後ミュータントの生存競争、人類文明の記憶を持つ微粒子の集合体、異星生物などが絡み、悠久の時の流れの果てに・・・。

 筒井にしてはSFらしいSFだが、同時にとても筒井らしい名作。
特に共食いまでして生きるのに必死なミュータント達が、過去の文明が残したあらゆる知識にアクセスできるので、テレビCMとか変に下世話な話題とか多種多様な言語、哲学的思考などをしているギャップが面白い。
ある意味筒井流死後の世界を描いた作品でもあると思う。

ふたりの印度人
 本書は表題作以外はほとんどショートショートレベルの短編で占められている。
「ふたりの印度人」ではふたりの印度人がある男の家に押し入ろうとする。

 全く意味不明な話(笑)

アフリカの血
 日本に住む黒人との混血の青年が、先祖の記憶(?)に導かれ・・・。

 諸星大二郎風。漫画にもしていたし、著者は気に入っていたのだろうか。

姉弟
 弟が突然牛になってしまい、困った姉は医者に連れて行くが・・・。
 ほのぼのナンセンス作。雰囲気はいい。

ラッパを吹く弟
 弟に殴られた衝撃でバーベキューの串を頬に貫通させてしまい、穴が開いた姉。
弟はその穴を気にするが・・・。

 ほのぼのナンセンス作。意味不明(笑)

衛星一号
 父親の背中に子供が乗り、その背中にも・・・視界の外がどうなっているのか気になった個体の1つが列を離れて下に降りていくが・・・。

 ほのぼの(?)ナンセンス(?)作。
読んだあとでタイトルを見直すと構造が想像できるようになっている。

ミスター・サンドマン
 砂浜には意識があり、子どもたちが話している怪獣という存在よりも、自分の方が巨大で恐ろしいとわからせたかった・・・。

 なんだかよくわからない(笑)

時の女神
 小学生の頃に見かけた白いスーツを着た美女。その後も何度か彼女を見かけ、ついには妻に。やがて娘ができ・・・。

 他の作品にも言えることだが、筒井のショートショートはアイデアの断片という感じがする。もっと長い作品に活かした方が面白そうな。

模倣空間
 第4惑星で拾った第3惑星の住人の置き土産らしい物体。それを模倣空間である惑星上に置き去りにすると・・・。

 ラストのイメージが思い浮かび、それを作品にするために肉付けしたのだろう。
確かにラストのイメージはヘンテコで面白い。

白き異邦人
 緑色の皮膚の人類が住む惑星に、白子の女性がいた。そこに通りかかったのはすでに滅んでしまった惑星地球の住人で、2人は愛し合うようになるが、彼は故郷への思いを断ち切れないでいた・・・。

 どことなく浦島太郎みたいなところもある雰囲気のある作品。
筒井は個人間の関係を重視した作品をあまり書かないよね。

20210815(mixi日記より)
20211008


ローダンシリーズ6
時間地下庫の秘密
松谷健二訳

ミュータント作戦
クルト・マール著。 グッド・ホープを破壊されて地球に帰る術を失ったローダン達は、植民惑星の勢力と現地のレジスタンスと協力してアルコン戦艦の奪取に向かう。

 今回は完全にミリタリー小説になっており、まさにノルマンディ上陸を目前にしたフランスの様相。あの作戦も物質転送装置と精神干渉装置があったらオマハ・ビーチの大損害は避けられたと思うが(笑)

時間地下庫の秘密
クラーク・ダールトン著。
<ネタバレ>
 アルコンの大戦艦を入手したローダンの興味は、早くも次の目的である5次元思考が出来ないのに物質転送装置を持つフェロン人の秘密の方に向いていた・・・。

 とうとうアルコン人の最新最強最大最後の大戦艦(直径800mの球形船!)を入手したローダン。
これはガミラス艦からいきなり宇宙要塞ゴルバに乗り換えたようなものである(笑)
それが地表に着陸する描写では、ベランダからの眺めで実寸を想像してしびれた。
そしてもはやトプシダーは問題にもされず(笑)。展開が早い!
ちゃっかりヴェガ星域にも前哨基地を建設しつつ(笑)、本題はクレストが探し求める永遠の命を持った種族に通じる物質転送装置をもたらした謎の種族の秘密に。
あれこれ次はどうなんの(汗)?
ローダンシリーズは予測ができなさすぎる。

20210815(mixi日記より)
20211009


ペリイ・メイスン
カナリヤの爪
E・S・ガードナー著/阿部主計訳

 依頼人はカナリヤの入った鳥かごを持った女性だった。
依頼内容は離婚問題に関することでペリイの興味を惹かなかったが、カナリヤの爪がきちんと切りそろえられていないことが気になった。
そこで調査を開始したペリイは、彼女が姉の不倫の隠蔽のために身代わりをしていたことを突き止めるが、彼女の姉の夫が死体で見つかったことで事件は混迷の中に・・・。

 相変わらずテンポがよくて活気に満ちていて楽しめる。
今回特に気になったのは、あまりにも雰囲気が現代的だということだった。
原書が書かれたのは1964年らしいのだが、全然古いイメージが無く、携帯電話が無い以外はそのまま現在の物語としても通用しそうである。
その電話も登場人物たちが行く先と連絡を取り合う時間を必ず告げてから出てゆくので、一切滞りなく、まるで携帯電話を持っているがごとくスムーズに連絡がとれる。
更にやはりここはアメリカの凄さでもあると思うが、要するに彼らは当時すでに現在と同じような生活環境を構築していたのだ。
 今回の事件は「どもりの主教」と比べるとやはり登場人物は多いものの時系列的にはシンプルな作りだったので、混乱することもなく読みやすかった。
しかしそれとトリックを見破れるかはもちろん別問題で、最後に解説されるまで全く想像もつかなかった(汗)
あっちがああの内にそっちも入れ替わってるなんて想像つかないよ(笑)!
 そんでペリイさん、この話の中で可愛い秘書のデラ・ストリートと2人で豪華客船に乗っての世界一周旅行を計画してましたよ。日本には桜時に行くそうな(笑)。
アメリカはやっぱすごい&やっぱ弁護士は儲かるんだなあ。

20211012追記
 文庫の表記にだまされてとんでもない嘘を書いてしまいました。
原書の発行は1937年でした(汗)
戦前(汗)
期せずしてますますアメリカの凄さが身にしみる結果となりました。

20210817(mixi日記より)
20211010


火星の交換頭脳
E・R・バローズ著/小西宏訳

 第1次大戦の塹壕で戦っていたユリシーズ・パクストンはドイツ軍の砲撃によって脚を吹き飛ばされ、息を引き取る直前に精神が身体を離れ、火星に到着する。
彼はバルスームでも屈指の頭脳を持ち、超高度な外科医でもあるラス・サヴァスに保護され、彼の助手として教育を受ける。
サヴァスの高度な知性には感嘆するユリシーズだったが、彼が美しい女性ヴァラ・ディアの脳交換を行ったことだけは許すわけにはいかなかった・・・。

 地球から火星にやってきた第2の男の物語。
これまでと比べるとライトな読み応えだが、火星シリーズらしい面白さは十分に備えている。
相変わらずバロウズのアイデアマン振りも健在で、脳交換だけではなく巨大な猿と人間の脳みそを半分だけ交換したりと、一体どんな結果になるのか想像もつかず、哲学的思考の発端になるような所業も。そして勿論その猿は仲間になる(笑)
また物語が収束に向かうや、全てがうまくいって完全なハッピーエンドにたどり着くのも素晴らしい。
冒険活劇はこうでなきゃいかんと化夢宇留仁は思う(笑)

20210818(mixi日記より)
20211011


深夜プラス1
ギャビン・ライアル著/菊池光訳

を読んだ。2回目。
 大学に入ってすぐの頃「読まずに死ねるか!」を読んで、すぐに表題の文庫を手に入れて読んでみたのだが、ピンと来なかった。
で、今回読み直してみたところ、最高!!!とまでは言わないまでも(笑)、とてもおもしろく読めた。
限られたキャラクターがどいつもこいつもうまく描けているのは勿論として、銃や車、事件を支えるその他のディテールが、これまた素晴らしく書き込まれている。
これは確かに名作と言うにふさわしい内容だと思った。
そして同時に昔読んだときにもう一つ楽しめなかった理由も想像がついた。
 まず翻訳がもう一つ。
今回読んでいても、誰が喋ったセリフなのかわからなくなることが数え切れないくらいあった。同じく誰の行動かも推理しないとわからない部分も。
最近まあまあのペースで本を読んでいるが、こんなに混乱が頻発した本は初めてである。
 そして未知の情報が多い。
ヨーロッパのレジスタンスの内容であったり、株式であったり、要塞地帯の構造であったり、当時の化夢宇留仁には(今でもそうだが/汗)荷が重い描写が意外に多く含まれていた。
 グーグルが無い。
今回も「コーヒーとパスティスを注文した」という文章に対して、パスティスとはパスタの親戚かしら?とか思ったのだが、ググったらアブサンを源流としたフランスでは一般的なリキュールだとわかった。
他にも最近はググって初めてわかったということが多い。
 以上の理由から、当時の化夢宇留仁にはこの本の内容は荷が重かったというのが想像できた。
実は今回読み直そうと思ったら本を紛失しており、でも表紙が気に入っていたのであえて古本で同じ表紙のものを購入し直したのだが、最近新訳版が出ているらしい。
おそらくそっちでは誰のセリフかわからなくなるなどということは最小限に抑えられているものと思う。というかそういう問題を解決するために新訳版が出たのだろう。

20210821(mixi日記より)
20211012


本陣殺人事件
横溝正史著

本陣殺人事件
 昭和12年、岡山県のある村に、奇妙な男が訪れる。男の右手には指が3本しか無かった。
2日後、旧本陣の末裔である一柳家の屋敷で、長男賢蔵と久保克子の結婚式が執り行われたが、その夜2人が離れで惨殺死体で見つかり、現場には3本指の指紋が遺されていた。
その夜は雪が降っていたが、犯人が離れから出た形跡は無かった・・・。

 横溝正史のデビュー作だそうだが、いきなり古風な村の描写と不可能だと言われていた日本家屋での密室殺人に挑戦し、それらが見事に融合して面白い作品に仕上がっているのはさすがとしか言いようがない。
「八つ墓村」は冒険小説だと書いたが、本作はれっきとしたミステリーで、どちらかと言えばこちらこそが横溝作品の本道なのだと思う。
印象深い要素はたくさんあったが、中でも少し知恵遅れだが琴が滅法上手な鈴ちゃんが可愛く儚く余韻を残した。
本題たるミステリー部分においては、なにしろミステリーなのでここで詳しいことを書くわけにはいかないが、きちんとルールを守っていることが印象的で、風変わりな見た目とその正統派なところのギャップが面白く感じた。
一言だけ言ってもいい???
グサッジャバジャバジャキリキリキリビヨーンザクッポトッシュルルルル・・・

車井戸はなぜ軋る
 村で最も大きな力を持つ本位田家に、戦争に取られていた長男大助が帰ってきたのをきっかけに悲劇が起こる。
彼と腹の違う兄弟と言われていた伍一は、顔は大助と瓜二つだったが、父から受け継いだと言われる二重瞳孔の持ち主であり、大助とともに同じ戦地へ行っていた。
そして帰ってきた大助は爆風によって両目を失っていた・・・。

 横溝作品は前置き説明が長すぎて、ここであらすじに至るまでを説明することができない。上に挙げたものも前置き設定のほんの一部で、そもそも事件発生までも至っていない。
とりあえずこのあと何人か死ぬのだ(笑)
 この作品は構成も工夫してあって、本位田家の大助の妹である鶴代が、その間の兄弟である兄慎吉に送った手紙という形で進行する(2人とも上の紹介に出てこないでしょ/笑)。
事件の構造も複雑で、本陣〜の方はトリックの半分くらいは予想できたが、こっちはさっぱりわからず、犯人に至っては予想のかけらにも当たらなかった(笑)
しかしこの作品にも本陣〜と共通するところがある。
それは可愛くて儚い鶴代ちゃんも可哀想なところ(笑)

黒猫亭事件
 昭和22年3月20日深夜、武蔵野の面影が残る町で警ら中だった長谷川巡査は、最近持ち主が売りに出して空き家になっている酒場「黒猫」の庭で、隣接する寺の若い僧日兆が穴を掘っているのに気づき、果たしてそこには腐乱した女の死体が埋まっていた。
しかし女の顔は腐乱が進み、誰かもわからない。
警察によって掘り返されると、そこには首を切り裂かれた黒猫の死体も一緒に埋まっていた。
警察は「黒猫」に元々住んでいた人々に関わりがあると見て調査を進めるが・・・。

 金田一耕助から作家Y(横溝)に送られた資料を元にした小説ということになっている。
これまた複雑な事件で、犯人の計画も非常に大掛かりなものだが、登場人物は限られているのでまだ予測はしやすい。
勿論それが当たるかどうかは別問題で、化夢宇留仁は完全に煙に巻かれたが(笑)
印象的だったのは上記のように作家Yが金田一と関わりを持っているという要素で、Yが金田一に話した内容を金田一が得意そうに警察に語ったりすると、なんだか自分の話が金田一に採用されたような気分になって嬉しくなったりする(笑)
ミステリーとしても上記のように複雑なもので、ちょっと実現は難しいのではないかとも思うのだが、金田一の軽妙な語り口でなんとなく納得させられてしまうのが愉快でもある。

 ちうわけで冒険小説だった八つ墓村の次に読んだのは本格ミステリー3本詰め合わせだったが、これまたどれも面白かった。
化夢宇留仁がなんとなく横溝に対して抱いていたイメージ(怪奇趣味とエログロを全面に出したいい加減なミステリー作家)というのは完全に大間違いだったと反省中(汗)
どちらかと言うとその評価は江戸川乱歩の方が近い(笑)

20220114追記
 またとんでもない嘘を書いてしまった(汗)
「本陣殺人事件」は横溝正史のデビュー作ではなく、金田一耕助のデビュー作である(笑)
ポール・ブリッツさんご指摘ありがとうございました。

20210824(mixi日記より)
20211013


ローダンシリーズ7
六つの月の要塞
松谷健二訳

六つの月の要塞
K・H・シェール著。
 パトロールに出ていた戦闘機隊がトプシダーの艦隊と遭遇し、1人が犠牲になった。
散々な目にあって逃げ出したトプシダーだったが、本国からの増援を呼び寄せ、ヴェガ星系外縁部の惑星に要塞を建設して反撃の準備を進めていたのだ。
ローダンは彼らをヴェガ星系から完全に追い出す計画を進めるが・・・。

 戦闘系エピソード。
これまで特に取り上げなかったが、実はこのシリーズの宇宙戦闘描写はなかなか凝っていて面白い。
光速に近い速度で進行する宇宙船の旋回半径の話であったり、なかなかハードな描写が出てくるのだ。
非常に複雑な計画を立ててトプシダーを関係ない星系に追い出そうとするローダンだが、この計画には頭をひねらないわけにはいかなかった。
行程が複雑すぎて失敗の可能性が高いのはさておき(笑)、最後のクレストの機転(?)がなければちょっと時間をかせぐだけの効果しか無かったと思うのだ。
トプシダーも論理的思考力を持っているんだから、目的地の恒星の座標くらいチェックしろよとも思う(笑)

銀河の謎
クラーク・ダールトン著。
 いよいよ本格的に永遠の生命の謎の探索にかかる。
時間金庫にはまだまだヒントが隠されているはずだと調査を進めると、転送機が発見される。
転送機の行き先は奇妙な機械が並ぶホールのような場所だった・・・。

 アドベンチャー系エピソード。
すごくゲームっぽい展開で、なかなか興味深いが中にはそれほんとに高度な知性必要か?と思わされるものも(笑)
心配していたクレストとトーラが故郷に帰りたがるのではないかという予測も、冒頭の相談で意外にいい感じに落ち着いた・・・・と思ったらすぐにまたグズグズ言い出す(汗)
この2人(特にトーラ)の同じことを何度も繰り返してはローダンに威圧&論破されるという展開は、いい加減うっとおしくなってきた。
高度な知性を持っているならど〜〜〜んと構えていてほしい(笑)

20210826(mixi日記より)
20211014


0-8滑走路
アーサー・ヘイリー&ジョン・キャッスル著/清水政二訳

 フットボールの試合を観戦に行くファン達の乗り込んだ旅客機内で食中毒が発生。
操縦士、副操縦士ともに倒れ、遺された方法は誰かが操縦して機を着陸させるしかない・・・。

 ものすごいシンプルな話で、冗談抜きで上の紹介以外のストーリーは無い(笑)
しかしこれが雰囲気バッチリに書かれているので、シンプルな分じっくりサスペンスを楽しめた。
キャラクターの書き方も濃すぎも薄過ぎもしないすごくいい塩梅で、最後の方は脳の興が乗って、事件が終息する瞬間の管制塔にいる面々の表情まで浮かんできて盛り上がった。
やっぱり航空パニック系は面白いね。
 ところでこの小説が書かれたのは1958年ということだが、当時は操縦士、副操縦士が別なメニューを食べなければならないというルールは無かったらしい。
考えたらこの小説のようなことになってやばいと気づきそうなものだが・・・。

20210827(mixi日記より)
20211015


銀河辺境シリーズ7
傷ついた栄光
A・バートラム・チャンドラー著/野田昌宏訳

 中佐に昇進し、シーカー3よりも更に巨大なディスカバリーを指揮してロストコロニーを探す任務についたグライムズ。
しかしディスカバリーの乗員は札付きのゴロツキばかりで・・・。

 これまでで最もボリュームのある長編で、2つの未調査惑星の探査をメインに進行する。
今回は深刻な面も多かったこともあり、今までほどノリはよくない。
そして今回は「バウンティ号の叛乱」がベースになっているというのも原因の1つだと思われる。
化夢宇留仁はバウンティ号〜の知識が無かったのだ。
しかしやはり自活しているロストコロニーという設定はそれ自体が感動的であり、ディスカバリーが着陸するのを歓声で迎えるシーンは大いに盛り上がった。

<ネタバレ>
それにしてもシリーズ名にふさわしい内容が始まるのが8巻からってプロローグ長すぎでは(笑)

20210828(mixi日記より)
20211016


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