アザンティ・ハイ・ライトニング

なんだこの妙なカタカナは?と思った方もいるでしょう。これは帝国の6万トンクラスの辺境巡洋艦の名前。
TRAVELLERではトン数を燃料に使う重水の関係で、排水素トンで表す。排水素トンは容積にして水の約13.5倍になる。つまりアザンティ・ハイ・ライトニング級は水のトン数で表すと、約81万トンクラスの巨大な宇宙船ということになる。
この巨大な船がこのセットの主役な訳だが、内容は一風変わっている。
広大な船内が舞台の、個人戦闘を再現したウォーゲームなのだ。

マップ数は14!それでもこの船のデッキ数56からすると全然足りないのだが、これで一応種類的には全デッキを再現できている。
ルールは抽象的なTRAVELLERの戦闘ルールの上級版といった風で、もちろんTRPGで応用する事も前提にしている。
この辺GDWお得意のスタイルを変えた同一世界の表現の一つだ。

他に同巡洋艦について詳しく解説されたサプリメントもついている。

実は化夢宇留仁はこのセットをまともに触っていない。借り物だということもあるが、それより巨大宇宙船内での個人戦闘というシチュエーションがなかなか馴染めないのだ。
やはりこういう状況はドラマあってのものだと思う。そのドラマが浮かばないとなかなか面白くプレイできない。
そういえば同じくGDWの「アステロイド」は、ドラマとキャラクターを見事に作り上げ、こういう寒々しい状況をうまく盛り上げた好ゲームだった。
アステロイドも買い損ねた。残念。



偵察局

偵察局キャラクターの上級ルールと組織の詳細な解説、それと惑星と宙域図しか作れなかったスタートセットと違い、恒星系から作成できる上級世界作成システムからなるサプリメント「偵察局」と、スタートレックのように未知の星星を探索してまわるシナリオ「リヴァイアサン」、海洋世界での冒険をあつかったシナリオ「海洋世界の遊牧民」からなる。

化夢宇留仁はこのセットが非常に気に入っている。特に世界作成システムは面白く、いくつもの恒星系を作った。
偵察局の組織解説も興味深かく、大いに描写の役に立った。

「リヴァイアサン」は基本設定だけ用意され、あとの探索される世界は想像のきっかけになる要素だけが記されたタイプ。読んでいるだけでワクワクしてくる。まだプレイしていないけど、多数のプレイヤーを参加させて、そのとき集まるメンバーだけでシナリオを構成する、まさにスター・トレックな感じのキャンペーンを構想中。これならキャラさえ作ってもらえばいつでもプレイできていいのではなかろうか。

「海洋世界の遊牧民」は描写が星野之宣先生のマンガのようで、TRAVELLERには珍しい雰囲気が楽しめた。まだプレイしてないけど。
登場する巨大海洋生物の描写が、盛り上がるかどうかのポイントだと思う。プレイヤーが異世界を感じてくれれば最高。



トラベラー・アドベンチャー

商船会社についてのサプリメント&上級ルール。
TRAVELLERで商船といえば、宇宙を駆けめぐる貿易商人を指す。中でも自由貿易商人となると組織に属さず自分の意志と責任で貿易を行っており、ある意味TRAVELLERの花形職業と言えなくもない。
宇宙船サジタリウスというアニメがあったのをご存じだろうか。あれに出てきた主人公達はまさに自由貿易商人である。

タイトルの「トラベラー・アドベンチャー」は、TRAVELLERの中でもテキスト量が最大のキャンペーンシナリオである。
しばらくHOBBY JAPANN社のTACTICS誌に連載されていたのだが、こうして発売された。
内容的には自由貿易商人であるプレイヤー達が、ヴァルグルの海賊の絡む陰謀に巻き込まれてゆくというもの。
いくつものメガコーポレーションの絡んでくるプロットと、多彩な描写の本シナリオはTRAVELLERシリーズで初めてのレフリーの前準備が最小限で済むシナリオだといわれていた。
確かに今までのTRAVELLERのシナリオと比べると、ストーリーの骨組みがしっかり決められて、重要なシーンの描写も細かく書かれている。

化夢宇留仁は珍しくプレイヤーとして、このキャンペーンをプレイした。時間がなくて早足の展開だったが、それでも面白かった。その様子も、そのうちこのHPで公開したいと思っている。
アメリカ人特有(?)の、プレイヤーはとにかくシナリオが進む方向に、強引に進むものだという前提で書かれた部分が多く、レフリー(爛柯メンバーMadHatter氏)は苦労していたようだったが。



ロボットマニュアル

日本で発売されたファーストTRAVELLERシリーズの最後を飾るのが、この「ロボットマニュアル」。

TRAVELLERで登場するロボットについての解説と、その詳しい作成ルールの書かれた「ロボット」、そのルールに基づいた101のロボットを紹介する「101ロボット」、TRAVELLERのゲーム中に活用する様々な書類を納めた「トラベラー書式集」からなる。

「ロボット」にはシナプシス回路を用いた人工頭脳についてのルールがあり、高度な知能のロボットを作れるようになった。
TRAVELLERでは今まで正式にシリーズに組み込まれたロボットに関してのルールがなく(TACTICS誌上での連載記事はあった)、基本のコンピュータのルールではとてもじゃないが自律型のロボットなど使えなかったので、化夢宇留仁は嬉しかった。しかしこれによって元々妙だったコンピュータのルールに、ますますひずみが出た。元が古いから仕方がないが。

「101ロボット」は、それぞれイラストとコメント入りのロボットカタログといった感じで、見ているだけでも楽しかった。中にはそのままミニシナリオになりそうな経歴のものもいて、面白い。
ただしオリジナル英語版そのままのイラストにはまいった。定規とコンパスで描きましたというような立体物として想像しづらいそれは、思わず笑いを誘うほどへたくそで、かえって想像を刺激した。

「トラベラー書式集」に載っていた書類の雛形は、今でも利用しているものが多い。地味だけど本当に役にたつサプリメントの一つ。しかし何で「レフリーアクセサリー」じゃなくて「ロボットマニュアル」についているのか不明。



MEGATRAVELLER

満を持して登場、といった感じのTRAVELLERの続編。
皇帝ストレフォンが暗殺され、内乱状態におちいった帝国が舞台。

それまでTRAVELLERの世界は、基本的には平和だった。外世界からの侵略や、海賊行為などもあるにはあったが、危険な場所ははっきりしており、さけようと思えば出来た。しかしMEGATRAVELLERでは帝国全域が危険地帯。
ドラマはスリルを増し、またゲームと歴史との関わり合いが密接になった。

ルールも大きく見直された。今までの状況に応じて2D6で8以上の基本成功率に修正を加えてゆくというシステムから、はっきりとした標準行為判定システムが設定され、成功の満足感、失敗へのスリルが倍増した。
技能の使用法もはっきりして、行為の選択も面白くなった。

他にも多くの点が改良され、ただ歴史が進んだだけではない、まったく新しいTRAVELLERの登場。

化夢宇留仁は今まで何度もTRAVELLERのキャンペーンを行ったが、そのほとんどは時代的にはTRAVELLER。しかしルールはMEGATRAVELLERだった。
やはりルールには公正さがないとゲームは締まらないと化夢宇留仁は思う。
TRAVELLERのルールは簡単だが、それだけに公正さという点ではもう一つで、特にスリルを感じて欲しいシーンでは不満だった。
まだルール上でゲーム性、シミュレーション性ともに問題はあるものの、SFTRPGの一つの完成形。それがMEGATRAVELLERではないだろうか。


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TRAVELLER

化夢宇留仁の異常な愛情