明るいレンズを明るいままで
暗所での撮影には高感度耐性の高いカメラが向いているというのが常識で、そうなるとフルサイズ(もしくはそれ以上のセンサーサイズ)のカメラが最適ということになるが、意外な落とし穴に気づいた。
水族館などでフルサイズで撮影しようとした場合、明るいレンズの絞り開放では被写界深度が浅すぎて失敗率が上がる。
例えば魚を撮ったとして、胸ビレにバッチリピントが合っていたとしても、顔がボケボケではやはり失敗写真となる可能性が高い。
そうすると被写界深度を稼ぐために絞ることになり、結局レンズの明るさを活かせていないのだ。
ところがセンサーが小さなカメラだと、そもそもそんなに被写界深度が浅くないので、明るいレンズを開放で思い切り使用できる。
センサーのサイズに関わらずF値は共通の数値として露出に影響するので、結果フルサイズで撮ったほうがISO感度が上がるか、シャッター速度が遅くなってしまうということになってしまう。
そうなるとフルサイズと小さいセンサーでどちらが成功率が高いかだけではなく、できあがってくる画の質でも下手をするとフルサイズが敗北する可能性さえあるのだ(汗)
最近台頭してきているAIノイズリダクションの存在も大きい。
少々のノイズであれば消してしまえるとなると、それが撮影方法にまで影響しだす。
これまではノイズの量的に許容範囲を越えていたISO感度が実用範囲に入ってくるのである。
そして言わずもがな、センサーサイズの小さいカメラのほうがその恩恵にあずかりやすいのである。
しかも上記のF値の状況によっては、元々のノイズの量さえセンサーサイズの小さいカメラのほうが少ないという状況さえあり得る。
先日動物園での暗い室内展示を1インチセンサー機で撮影したところ、思いの外よい結果が得られたので今回の話を思いついた。
水族館などの撮影では、高感度耐性が高いからと言って必ずしもフルサイズの方が有利とは言えないようだ。
20241113 |