Nikon COOLPIX P610
価格comとかで、いい歳したおっちゃんたちが野鳥の写真を見せ合いっこしてキャッキャッと喜んでいるのを見て、あまりに楽しそうだったのでG9Xのすぐあとに購入した(2016年1月10日に購入)。
Nikon COOLPIX P610
センサーサイズ:1/2.3インチ(1605万画素)
レンズ焦点距離:4.3〜258mm 60倍ズーム(35mm換算:24〜1440mm)
レンズF値:F3.3〜F6.5
手ぶれ補正:5段
ファインダー:電子
一時期流行った高倍率ズームレンズを搭載したコンデジの一種である。
注目すべきはやはりその望遠能力で、1440mmという驚異的な焦点距離を叩き出す。
使用状態。最大望遠にするとこんなにのびる。
望遠能力の売り文句として「◯◯倍ズーム」というのがよく使われていて、本機もご多分に漏れず60倍ズームを謳っているが、実はこの◯◯倍ズームというのはほぼ望遠能力を表せていない。
これは別のコラムで詳しく説明するが、結論だけ言えば望遠端÷広角端の数字が〇〇倍なのだが、要するに広角端の数字が小さければ〇〇倍の数字が大きくなるわけで、必ずしも望遠能力を表していないのである。
そしてむしろズーム倍率の高さというのは光学系が大きく変化する都合上、画質と反比例するというのが現実で、本当に高性能の望遠レンズは単焦点、つまり1倍ズームなのである。
というわけで望遠能力を比較して評価する場合は、35mm換算の焦点距離で表すことになっている。
この35mm換算というのもまたそのうち説明するが、とりあえずこれを使えばセンサーのサイズに関わらず望遠能力を比較できるのだ。
で、本機の望遠能力は35mm換算で1440mmというわけである。
まずこれだけの能力を持った交換レンズというのはまともなメーカーからは発売されていない。
現在有名メーカーが発売しているレンズの最大望遠焦点距離はCanonの1200mmで、価格は2,871,000円である(笑)
本機はそれを優に上回り、更に滅茶苦茶すごいことに、この焦点距離を手持ちで撮影できるのである。
これは本機が非常に軽い(電池、メモリーカードを含めても約565g)こともあるが、なにより5段(露出の単位。1段違うと明るさが倍、もしくは1/2になる)の手ぶれ補正が強力なのである。
また一般的にセンサーサイズが小さいとボケにくくなるのだが、本機ほどの望遠になるとセンサーサイズをものともせずに背景ががっつりボケてくれるので印象的な写真を撮りやすいのもいい。
化夢宇留仁は主に最近はサブカメラとして使用しており、メインは一眼レフなどを使用するが、遠距離の被写体になると本機の登場となる。
画質的には豆粒のような(1/2.3インチ)センサーサイズだし、もう9年も昔の発売なのでスマホと比べても勝ち目はないが、上記の望遠能力を活かすと未だに一眼レフにも撮れない画を叩き出してくれるのだ。
実はこのコラムを書くために久しぶりにいじってみると、広角側で室内でもなかなか侮れない画を吐き出したりするのだが(汗)
使用方法としてはAモードで絞り開放で連写する以外に選択肢がない。
というのもセンサーが小さいので少し絞ったくらいでは被写界深度(ピントが合っているように見える範囲)に大した変化はないし、それでシャッター速度が遅くなってぶれてしまってはどうしようもないのだ。
意外に広角端も24mmと広くて高性能と考えることもできるが、これは上記〇〇倍ズームの数字を稼ぐためではないかと少し疑ってしまう。
COOLPIX P610の得意なところ・いいところ
●手持ち望遠撮影の鬼
●AFの精度が高く、遠距離でもカリカリの画を吐き出す
●小さいながらファインダーがついているので望遠撮影も安定する
●性能の割に小さく、グリップが滅茶苦茶持ちやすい
●広角端も24mmと一般的コンデジよりも広い
●デザインもなかなかいかす
COOLPIX P610の苦手なところ・悪いところ
●センサーが小さいので室内など薄暗いところの撮影は厳しい
●AFが遅く、動体撮影はほぼ無理
作例(ライトルームによる編集済)
絵葉書っぽいヒヨドリ あくびするピューマ 見下ろす鷹 見つめるムフロン 冬のスズメ ダチョウの顔 月
ちうわけでここぞというときに取り出すと大活躍してくれる最強の代打みたいなカメラである。
最近スマホに押されてほとんどのコンデジは消えてしまったが、この手の超望遠コンデジはまだ細々とながら生き残っている。
もしそういうカメラを買ってみようと思ったなら、絶対ファインダー付きのものを選ぶべきである。
ファインダー無しで超望遠はどうやって構えていいかもわからず、まともに撮れないと思われる。
20240922 |