露出 
         カメラの撮影における明るさの調整のことを露出と言う。 
          撮影するときにはイメージ通りの明るさの写真を得るために「露出」を調整するということになる。 
          これを全て自動でやるのがフルオート撮影だが、「オート撮影の明るさの罠」のところで書いたように、現状ではオートで完全にイメージ通りの結果を得るのは難しい。 
        そこで露出を調整していくわけだが、調整するにはそれに関わる「要素」とそれらに共通する「単位」を知る必要がある。 
        露出に関わる要素 
          ●絞り 
          ●シャッター速度 
          ●ISO感度 
         上記3つが露出に関わる要素である。 
        これらを調整していくわけだが、それぞれ全然性質が異なるものなので、共通する単位が無いと調整できない。 
        そのための単位が「段」である。 
        段のルールは、1段下がれば明るさが半分になり、1段上がれば明るさが倍になるというもの。 
        1単位で倍と聞くとすごく大雑把な印象だが、なにしろ全く異なる要素を連動させなければならないのである程度は仕方がないのだ。それにもちろん1/3段とか、更に細分化して使用することも多い。 
        絞り 
 F値とも呼ばれ、レンズの絞りを調整することで変化する。 
明るいほうが数値が小さくなり、またレンズごとに開放、絞り込みの限界値がある。 
        更に絞り値によって被写界深度(ピントの合う範囲)が変化し、F値が低いほうが短く、高いほうが長くなるので、画作りの手段としても調整される。 
        ボケを楽しみたいならF値を低く調整するという感じ。 
        基本的には1が一番明るく(例外あり)、数字が大きくなっていけば暗くなっていくのだが、この変化が数字通りではないのでややこしい。 
        
          
            
              | F1 | 
              F1.4  | 
              F2 | 
              F2.8 | 
              F4 | 
              F5.6 | 
              F8 | 
              F11 | 
              F16 | 
              F22 | 
              F32 | 
             
          
         
         
        上の表が1段ごとのF値の一覧である。 
          例えばF1.4がf2になるとF1.4の1/2の明るさになる。F1.4とF5.6を比べれば、明るさは1/16になる。 
          全然数字と比例していないしそもそも数字の並びが不規則すぎてくらくらするが、色々な歴史とかがあってこうなっているのだ。 
        しかし実は不規則に見える数値にも法則があって、「交互に倍になっている」のである。 
        それさえ覚えて最初の数字2つを記憶しておけば、その先の段の数値も計算で出すことができるようになる。 
        シャッター速度 
 シャッターを開けている時間で、短ければ暗くなり、長ければ明るくなるが、長いと当然ブレが発生しやすくなる。被写体が動いていると、シャッター速度を短くしないと確実にブレる。 
シャッター速度はカメラによって設定できる範囲が異なる。 
シャッター速度の数値は段に比例するので簡単である。 
        例えば1/100秒のシャッター速度は、1/200のシャッター速度よりも1段(2倍)明るく撮れるわけである。 
        ISO感度 
 昔は使用するフィルムごとに決まっていて、調整する=フィルムを替えるということだったが、現在のデジタルカメラではセンサーがその役を担い、かつISO感度も可変式になり、その範囲もフィルム時代には考えられないほど大きくなった。 
基本的にISO感度が低いほうが画質がよく、高くなるとノイズが出てきて、酷くなるとカラー情報が失われるが、その度合はカメラの性能によって大きく異なる。 
ISO感度もカメラによって設定できる範囲が異なってくる。 
ISO感度の数値も段と比例するので計算は簡単。 
ISO200はISO100よりも倍明るく撮れる。 
        露出補正 
 なんらかのオート撮影時にカメラで設定する露出補正も段で表されている。 
        露出補正-1は半分の明るさになるわけである。 
        手ぶれ補正 
 カメラやレンズの手ブレ補正機能の性能も段で表される。 
まず目安として手ブレせずに撮影するには1/焦点距離mmのシャッター速度が必要と言われている。 
        これはあくまで目安で、撮る人の構え方やらなんやらで変化するが、参考にはなる。 
        例えば焦点距離100mmで撮影する場合は、シャッター速度が1/100秒以上であればだいたい手ブレせずに撮れるというわけである。 
        そこで手ぶれ補正の段が出てくる。 
        例えば手ぶれ補正が1段であれば、本来1/1000秒のシャッター速度が必要だった撮影も、1/500秒のシャッター速度でブレずに撮影できる見込みがあるということになる。 
        同じ焦点距離で5段の手ぶれ補正があれば、1000÷2÷2÷2÷2÷2で1/31.25秒のシャッター速度まで手ブレしないで済む・・・可能性が高まる(笑)ということである。 
         撮影する場合に適正な明るさにするために露出を調整するわけだが、これが単に明るさだけの話ではないのが面白いところで、ボケを楽しみたいなら絞りをなるべく小さな数値にしたいし、動きの速い被写体をピタリと止めて撮影したいのならシャッター速度は早くして、それで暗くなった分を絞りやISO感度で補完してやることになるわけである。 
        それらを簡単にできるようにしたのがA(絞り優先)モードとS(シャッター速度優先)モードで、Aの場合は絞りの数値のみ手動で設定してあとはカメラがオートで決定し、Sならシャッター速度のみを手動で設定するという塩梅である。 
         露出に関してはまだまだ奥が深く、例えば手動で見た目に近い明るさの写真を得るために、状況(夜明けとか、日陰とか)の明るさを段で表した一覧表というものも存在する。 
        マニュアルで撮影するときは上記3つの要素の合計をその表の数値に近寄せるように調整するわけである。 
        しかしなんらかのオートで撮影する場合は「オート撮影の明るさの罠」で説明した18%グレーを基準にして、それより暗くしたいのか明るくしたいのかを調整するだけで十分な結果を得られるはずである。 
        などと言っている化夢宇留仁もまともに露出を計画して撮ったことなどほとんど無い(汗) 
      20240925  |