星ぼしに架ける橋
チャールズ・シェフィールド著/山高昭訳/ハヤカワ文庫

を読んだ。2014年12月28日。
 架橋建設では右に出る者のいない第一人者である工学者ロブ・マーリンは、太陽系内のインフラを支配するロケット王レグロから、これまでにない大規模な橋の建設を依頼される。
それは地球と静止軌道をつなぐ10万キロにも及ぶ夢の橋、軌道エレベーターの建設だった。
レグロの住処である小惑星基地を訪れたロブは、そこで自分の出生に関わる謎の片鱗をかいま見・・・。

 軌道エレベーターと言えば、SFを代表する巨大建築物の1つであり、それをストーリーのメインに持ってくればそれだけでセンス・オブ・ワンダー&SFの壮大さがおまけについてくるような代物である。
特に本作は1979年にあのクラークと同テーマで争うように発表されたこともあり、まさに軌道エレベーターテーマが最高にホットだった時に描かれているのだから、盛り上がらなければおかしいというものである。
結果的に本作はまさにSFらしい設定の上で、大規模建設のワクワク感を封じ込めるのに成功していると思う。
超大規模な描写も楽しいし、それを作り上げる工作ロボ「スパイダー」の描写も気が利いている。
ただし。少し予想と違ったのは、この作品が軌道エレベーターだけでは飽きたらず、他にもSFらしいガジェットを取り込んで、物語の骨子に付け加えていることだった。
それが遺伝子研究に関わる部分で、それによって宇宙空間にある巨大な水槽の中に住む巨大で高度な知性を持ったイカという強烈なキャラクター(?)を登場させ、さらに本作のミステリー部分の中心となる「ゴブリン」と呼ばれる小人の登場にもつながってくる。
これはこれでディテールとしても、SF的なイメージ的にも面白いのだが、軌道エレベーター建設という大事業の前では、化夢宇留仁からすると少々寄り道的に感じてしまうこともあった。
だってあの軌道エレベーターだよ(笑)?
 ちうわけで小道具大道具ミステリー、なにもかもサービス満点で面白かったのだが、少々詰め込みすぎに感じるところもあった。
でも好き(笑)

20150417(mixi日記より)
20240912


リチャード・ブレイド11 夢の次元
ジェフリー・ロード著/榎林哲訳/創元推理文庫

を読んだ。2013年中。
ブレイドが意識を取り戻すと、彼が現れたのは長い間使われていない道の上だった。
人の気配は無い。
上り坂を進み続けたがいくつかの廃墟が見つかったのみ。
道は下りになり、夜も更けてきた頃、ブレイドの目の前に満月に照らされた都市が現れる。
しかしそこもただ1人の人影もない廃墟だったが、やがて無防備な人々が略奪者の集団に一方的に蹂躙されているところに行き当たる。
巻き込まれるブレイドだったが、それがきっかけでこの世界プラが機械の力を借りて夢を見ながら地下で眠っている人々「ドリーマー」と、地上で略奪を繰り返す集団「ウエイカー」に分かれていることを知る。
さっき襲われていたのは地下で眠っていた人々が20年ぶりに目覚めて地上に出たところを略奪者たちに見つかったのだ。
さらに地下の人々を生きながらえさせているのが超高効率の未知のエネルギー「マルコナイト」だと知ったブレイドは、この世界を救い、マルコナイトを持ち帰ることを決意する。
そうしてウエイカーに対抗できるように少しずつドリーマーたちを訓練し、なんとか体裁が整ってきた頃、ウエイカーとの戦いでブレイドは不覚をとって捕虜になってしまう。
人質を取られてウエイカーの「青い目の仲間」の隊長になることになったブレイド。
「青い目の仲間」の首領のクログは聡明な男で、ブレイドは彼もまた彼なりのやり方でプラを再建しようとしているのを理解するが、クログは理想主義者でもあり、ウエイカー達の凶暴性を過小評価しているように見え、結果やはり彼に協力するわけにはいかなかった。
なんとか脱出の機会をうかがうブレイドだが・・・。

 まあいつものような内容である(笑)
今回の目玉は夢見る人たちの都市の描写にあると思うが、一通り説明が終わるとあとはほんとにいつもの通り(笑)としか言いようのない展開で、せっかく出てきたSF的設定が活かされなかったのが残念だった。
時々その辺でもびっくりさせてくれるのだが。

20150421(mixi日記より)
20240913


リチャード・ブレイド12 ザンガの槍
ジェフリー・ロード著/厚木淳訳/創元推理文庫

を読んだ。2013年中。
 ブレイドが目覚めたのは野生の王国だった。
巨大な獣に踏みつぶされないように木に登って逃れたと思ったら、今度は6人の土人っぽい男達に攻撃される。
もちろん彼らを叩きのめすブレイド(笑)
それでようやく彼らザンガの戦士と話ができるようになり、彼らとともにザンガの国へ。
しかし彼らが到着したとき、おりしも国王の死を告げるのろしが上げられているところだった・・・。

 その後ザンガの国で戦闘隊のリーダーになるが、敵国にとっつかまり、闘技場に出され、そこでも敵国の王女の目に留まり・・・と、いつもの展開である(笑)
しかし本作はアフリカンな味付けがしっかりと成されており、味方同士でも「男」を競うために死力を尽くして早歩き(笑)したりとか、実に面白くできている。
前半の仲間と敵の描写がうまくいっているので、後半もそのまま楽しめ、最後はいつもの大規模戦闘で溜飲が下がる。
こうこなくっちゃ(笑)

20150429(mixi日記より)
20240914


リチャード・ブレイド13 黄金の馬
ジェフリー・ロード著/風見潤訳/創元推理文庫

 ブレイドが今回目覚めた世界は中世ヨーロッパ風の森の中だった。
そこで偶然立派な馬を手に入れたブレイドだったが、その馬のおかげで「黄金の馬を駆るもの ペンダーノス」と勘違いされてしまう。
彼らペンダーの民は、馬を駆っての弓術が得意な民族だったが、近隣の同じく騎馬民族であるロジャックと、重装歩兵を主力とするラニールの脅威にさらされていた。
さらには若きネファス王の摂政であるクレルスがラニールと通じ・・・。

 ちうわけでまさに相変わらずの多勢力の衝突と、その渦中でいきなり中心人物になるブレイドと、相変わらずのブレイド節(笑)である。
基本的には全く同じストーリーを世界の味付けの違いで読ませているわけだが、今回は中世ヨーロッパ風とこれまた典型的な感じだが、むしろローマ帝国時代の蛮族の視点と考えれば少し珍しいかもしれない。
今回はブレイドの属した陣営が最初からそこそこ戦力が充実していたので、いつもよりは「楽」な任務だったかもしれない(笑)
 ところで典型的ヒーローアクションものである本シリーズだが、ヒロインがたくさん出てくるのはもちろん、遠慮なくすぐにベッドインするのも特徴なのだが(笑)、少し変わったところ(?)として、ヒロインの中には大損担当がけっこういることが挙げられる。
今回はロジャックのスパイだった少女で、ブレイドに正体がばれたあともブレイドに保護されるのだが、ブレイドの目が届かないところで拷問されて殺されてしまった。
これまでのシリーズでもブレイドは守ろうとはするのだが、それが果たせず悲惨な末路を迎えるヒロインが多数存在する。
前巻の父親に踏み殺される娘は可哀想だった。
そしてブレイドは悲しみはするものの、なにしろ忙しいのでそれどころではなく、結果的には他のお姫様と結ばれてハッピーに・・・・ひどい(笑)
まあそういう脳天気なところが当時の小説の醍醐味のような気もする(笑)

20150503(mixi日記より)
20240915


The Stewardesses
Allan Silliphant監督

 1969年のソフトコア・ポルノ映画(笑)
ジャケットが可愛かったのと、昔懐かしい赤青メガネ式3Dに惹かれてDVDを購入してあったもの(赤青3Dメガネ2個付)。
スチュワーデスのお姉さんたちが飛行中にパイロットとやっちゃったりオフにいろいろなところでイチャイチャしたりするどうでもいい感じの内容だが、お姉さんたちがみんな可愛いのと、ゆる〜〜〜いBGMがなんかいい感じ(笑)
もちろん日本語吹き替えも字幕もないので会話はほぼわからないが、内容的にそれも問題なし(笑)
しかし最後にサスペンスっぽい展開があり、ショッキングな結末に至るが、そこはなんでそうなったのか全くわからなかったが、アマゾンのレビューで英語話者も同じ感想を書いていた(笑)
 問題の3Dは想像以上にいい感じで、カラー2D版、カラー3D版、モノクロ3D版の3種類が収録されており、一番見にくそうなカラー3D版を観たのだが、十分に飛び出してくる感じを楽しめ、シチュエーションもレストラン、バー、ディスコ、お化け屋敷など、3D向きのものがいろいろ用意されている。
しかし流石に濡れ場は早送りせずに見るのは少々辛い。そこが本来メインのはずなのだが(笑)

20240915(mixi日記より)
20240916


いま語るべき宇宙戦艦ヤマト
竹書房

を読んだ。2015年4月5日。OKMさんに借りて。
 宇宙戦艦ヤマトのたどった歴史と詳細を記した本。
最初のテレビシリーズから2199追憶の航海まで。
シチュエーションのピックアップと、その解説、そしてデータという組み合わせでヤマトという作品を描きだしている。
時には問題点や疑問点も提示し、既出のデータからの推測を行ったりもする。
 化夢宇留仁的には大変興味深く読めた。特にデータ面では意外に知らないことが多いことに気付かされた。
映画版第1作に「スターシャ死亡編」と呼ばれる別バージョンがあったって、知ってました?
内容の分析はおおむね納得のいくところで、軍としての地球防衛軍やヤマト、そして古代進に関する苦言も全くその通りだと思う。
もう少し戦闘序列的なディテールとかを見たかったとの思うのだが、その辺はそもそもこの本の目指すところではないので望む方がおかしい(笑)
とりあえず時間が空いた時にちょっと読むには充分な内容だろう。

20150516(mixi日記より)
20240917


リチャード・ブレイド14 エヨカンの蝙蝠神
ジェフリー・ロード著/厚木淳訳/創元推理文庫

を読んだ。2013年中。
 今回こそは最小限の装備を身につけてこれるはずだったのだが、森の中で目が覚めるとやっぱり素っ裸で、しかも体中傷だらけになっていてため息をつくブレイド(笑)
暖をとるために近くの灌木を折り、とりあえずのベッドを作ろうとしたブレイドは、その木の樹液には麻薬のような効果があることがわかった。
そこに近寄る松明を灯した集団は「エヨカン」という神に仕える狂信的な戦士たちで、今ブレイドが折った木は彼らの宗教上重要な位置づけにあるらしかった。
エヨカンに捧げる生け贄にされることになったブレイド。
エヨカンの生け贄は、強い戦士が求められるらしい。
脱出の機会をうかがうブレイドだが、なかなかそのチャンスをつかめず、彼がきっかけをつかんだのはまさに今生け贄にされる直前だった。
ブレイドは大暴れして死人の山を築くが、多勢に無勢でとうとう力尽きようというところで、その様子を見ていた王が彼の身柄を引き取ることに。
実はフラクン王はエヨカン教を倒す機会をうかがっていたのだ。
王の命で、隣国ゴンサラに潜入することになるブレイド。
ゴンサラとフクラン王の国チリブは敵対しているわけではないが、エヨカンはゴンサラ王国により強い影響力を持っており、ゴンサラ王がエヨカンを倒す意志があるのか、またそれが可能かを調べることになったのだ。
そもそも本業がイギリスの諜報部員だったブレイドだったが、X次元では初のスパイ活動である。
風来坊の戦士に化けて、追っ手の船を返り討ちにし、ゴンサラに入ったブレイドは、熱狂的なエヨカン信者の振りをしてエヨカンの砦に入り込み、戦士としての腕を買われて雇い入れられる。
ところがそこにチリブで敵対したエヨカン教の長老が訪問し・・・。

 長々と書いたが、まあ要するにいつもの通りである(笑)
いつもと違うのは最後の敵をとり逃して終わるというところで、続編で再びこの世界に来るという展開があるのかもしれない。
しかし残念ながらブレイドシリーズの日本語訳されたのは本巻までなので、その先を確かめられる日はおそらく来ないだろう。
逆に言えばそこまで苦労して先を知りたいとも思わないということでもある(笑)
誤解してもらっては困るが、これは本シリーズがつまらないというわけではない。むしろ非常に気に入っているし、面白かった。
しかし上記の通り基本的に毎回同じ内容(笑)なので、無理してその先を読む必要がないだけなのだ(笑)
ちなみに本国では37巻まで出ている(笑)
 アクション、エログロ、SF、ファンタジー、スパイもの・・・様々な要素をつっこんで、ひたすら刹那的な娯楽に徹している内容は清々しくもある(笑)
ちょっと調べてみたら、本国では朗読版CDとかも出ている。
どんな人が聴くのだろうか(笑)???

20150528(mixi日記より)
20240918


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