星ぼしに架ける橋
チャールズ・シェフィールド著/山高昭訳/ハヤカワ文庫
を読んだ。2014年12月28日。
架橋建設では右に出る者のいない第一人者である工学者ロブ・マーリンは、太陽系内のインフラを支配するロケット王レグロから、これまでにない大規模な橋の建設を依頼される。
それは地球と静止軌道をつなぐ10万キロにも及ぶ夢の橋、軌道エレベーターの建設だった。
レグロの住処である小惑星基地を訪れたロブは、そこで自分の出生に関わる謎の片鱗をかいま見・・・。
軌道エレベーターと言えば、SFを代表する巨大建築物の1つであり、それをストーリーのメインに持ってくればそれだけでセンス・オブ・ワンダー&SFの壮大さがおまけについてくるような代物である。
特に本作は1979年にあのクラークと同テーマで争うように発表されたこともあり、まさに軌道エレベーターテーマが最高にホットだった時に描かれているのだから、盛り上がらなければおかしいというものである。
結果的に本作はまさにSFらしい設定の上で、大規模建設のワクワク感を封じ込めるのに成功していると思う。
超大規模な描写も楽しいし、それを作り上げる工作ロボ「スパイダー」の描写も気が利いている。
ただし。少し予想と違ったのは、この作品が軌道エレベーターだけでは飽きたらず、他にもSFらしいガジェットを取り込んで、物語の骨子に付け加えていることだった。
それが遺伝子研究に関わる部分で、それによって宇宙空間にある巨大な水槽の中に住む巨大で高度な知性を持ったイカという強烈なキャラクター(?)を登場させ、さらに本作のミステリー部分の中心となる「ゴブリン」と呼ばれる小人の登場にもつながってくる。
これはこれでディテールとしても、SF的なイメージ的にも面白いのだが、軌道エレベーター建設という大事業の前では、化夢宇留仁からすると少々寄り道的に感じてしまうこともあった。
だってあの軌道エレベーターだよ(笑)?
ちうわけで小道具大道具ミステリー、なにもかもサービス満点で面白かったのだが、少々詰め込みすぎに感じるところもあった。
でも好き(笑)
20150417(mixi日記より)
20240912
リチャード・ブレイド11 夢の次元
ジェフリー・ロード著/榎林哲訳/創元推理文庫
を読んだ。2013年中。
ブレイドが意識を取り戻すと、彼が現れたのは長い間使われていない道の上だった。
人の気配は無い。
上り坂を進み続けたがいくつかの廃墟が見つかったのみ。
道は下りになり、夜も更けてきた頃、ブレイドの目の前に満月に照らされた都市が現れる。
しかしそこもただ1人の人影もない廃墟だったが、やがて無防備な人々が略奪者の集団に一方的に蹂躙されているところに行き当たる。
巻き込まれるブレイドだったが、それがきっかけでこの世界プラが機械の力を借りて夢を見ながら地下で眠っている人々「ドリーマー」と、地上で略奪を繰り返す集団「ウエイカー」に分かれていることを知る。
さっき襲われていたのは地下で眠っていた人々が20年ぶりに目覚めて地上に出たところを略奪者たちに見つかったのだ。
さらに地下の人々を生きながらえさせているのが超高効率の未知のエネルギー「マルコナイト」だと知ったブレイドは、この世界を救い、マルコナイトを持ち帰ることを決意する。
そうしてウエイカーに対抗できるように少しずつドリーマーたちを訓練し、なんとか体裁が整ってきた頃、ウエイカーとの戦いでブレイドは不覚をとって捕虜になってしまう。
人質を取られてウエイカーの「青い目の仲間」の隊長になることになったブレイド。
「青い目の仲間」の首領のクログは聡明な男で、ブレイドは彼もまた彼なりのやり方でプラを再建しようとしているのを理解するが、クログは理想主義者でもあり、ウエイカー達の凶暴性を過小評価しているように見え、結果やはり彼に協力するわけにはいかなかった。
なんとか脱出の機会をうかがうブレイドだが・・・。
まあいつものような内容である(笑)
今回の目玉は夢見る人たちの都市の描写にあると思うが、一通り説明が終わるとあとはほんとにいつもの通り(笑)としか言いようのない展開で、せっかく出てきたSF的設定が活かされなかったのが残念だった。
時々その辺でもびっくりさせてくれるのだが。
20150421(mixi日記より)
20240913
リチャード・ブレイド12 ザンガの槍
ジェフリー・ロード著/厚木淳訳/創元推理文庫
を読んだ。2013年中。
ブレイドが目覚めたのは野生の王国だった。
巨大な獣に踏みつぶされないように木に登って逃れたと思ったら、今度は6人の土人っぽい男達に攻撃される。
もちろん彼らを叩きのめすブレイド(笑)
それでようやく彼らザンガの戦士と話ができるようになり、彼らとともにザンガの国へ。
しかし彼らが到着したとき、おりしも国王の死を告げるのろしが上げられているところだった・・・。
その後ザンガの国で戦闘隊のリーダーになるが、敵国にとっつかまり、闘技場に出され、そこでも敵国の王女の目に留まり・・・と、いつもの展開である(笑)
しかし本作はアフリカンな味付けがしっかりと成されており、味方同士でも「男」を競うために死力を尽くして早歩き(笑)したりとか、実に面白くできている。
前半の仲間と敵の描写がうまくいっているので、後半もそのまま楽しめ、最後はいつもの大規模戦闘で溜飲が下がる。
こうこなくっちゃ(笑)
20150429(mixi日記より)
20240914
リチャード・ブレイド13 黄金の馬
ジェフリー・ロード著/風見潤訳/創元推理文庫
ブレイドが今回目覚めた世界は中世ヨーロッパ風の森の中だった。
そこで偶然立派な馬を手に入れたブレイドだったが、その馬のおかげで「黄金の馬を駆るもの ペンダーノス」と勘違いされてしまう。
彼らペンダーの民は、馬を駆っての弓術が得意な民族だったが、近隣の同じく騎馬民族であるロジャックと、重装歩兵を主力とするラニールの脅威にさらされていた。
さらには若きネファス王の摂政であるクレルスがラニールと通じ・・・。
ちうわけでまさに相変わらずの多勢力の衝突と、その渦中でいきなり中心人物になるブレイドと、相変わらずのブレイド節(笑)である。
基本的には全く同じストーリーを世界の味付けの違いで読ませているわけだが、今回は中世ヨーロッパ風とこれまた典型的な感じだが、むしろローマ帝国時代の蛮族の視点と考えれば少し珍しいかもしれない。
今回はブレイドの属した陣営が最初からそこそこ戦力が充実していたので、いつもよりは「楽」な任務だったかもしれない(笑)
ところで典型的ヒーローアクションものである本シリーズだが、ヒロインがたくさん出てくるのはもちろん、遠慮なくすぐにベッドインするのも特徴なのだが(笑)、少し変わったところ(?)として、ヒロインの中には大損担当がけっこういることが挙げられる。
今回はロジャックのスパイだった少女で、ブレイドに正体がばれたあともブレイドに保護されるのだが、ブレイドの目が届かないところで拷問されて殺されてしまった。
これまでのシリーズでもブレイドは守ろうとはするのだが、それが果たせず悲惨な末路を迎えるヒロインが多数存在する。
前巻の父親に踏み殺される娘は可哀想だった。
そしてブレイドは悲しみはするものの、なにしろ忙しいのでそれどころではなく、結果的には他のお姫様と結ばれてハッピーに・・・・ひどい(笑)
まあそういう脳天気なところが当時の小説の醍醐味のような気もする(笑)
20150503(mixi日記より)
20240915
The Stewardesses
Allan Silliphant監督
1969年のソフトコア・ポルノ映画(笑)
ジャケットが可愛かったのと、昔懐かしい赤青メガネ式3Dに惹かれてDVDを購入してあったもの(赤青3Dメガネ2個付)。
スチュワーデスのお姉さんたちが飛行中にパイロットとやっちゃったりオフにいろいろなところでイチャイチャしたりするどうでもいい感じの内容だが、お姉さんたちがみんな可愛いのと、ゆる〜〜〜いBGMがなんかいい感じ(笑)
もちろん日本語吹き替えも字幕もないので会話はほぼわからないが、内容的にそれも問題なし(笑)
しかし最後にサスペンスっぽい展開があり、ショッキングな結末に至るが、そこはなんでそうなったのか全くわからなかったが、アマゾンのレビューで英語話者も同じ感想を書いていた(笑)
問題の3Dは想像以上にいい感じで、カラー2D版、カラー3D版、モノクロ3D版の3種類が収録されており、一番見にくそうなカラー3D版を観たのだが、十分に飛び出してくる感じを楽しめ、シチュエーションもレストラン、バー、ディスコ、お化け屋敷など、3D向きのものがいろいろ用意されている。
しかし流石に濡れ場は早送りせずに見るのは少々辛い。そこが本来メインのはずなのだが(笑)
20240915(mixi日記より)
20240916
いま語るべき宇宙戦艦ヤマト
竹書房
を読んだ。2015年4月5日。OKMさんに借りて。
宇宙戦艦ヤマトのたどった歴史と詳細を記した本。
最初のテレビシリーズから2199追憶の航海まで。
シチュエーションのピックアップと、その解説、そしてデータという組み合わせでヤマトという作品を描きだしている。
時には問題点や疑問点も提示し、既出のデータからの推測を行ったりもする。
化夢宇留仁的には大変興味深く読めた。特にデータ面では意外に知らないことが多いことに気付かされた。
映画版第1作に「スターシャ死亡編」と呼ばれる別バージョンがあったって、知ってました?
内容の分析はおおむね納得のいくところで、軍としての地球防衛軍やヤマト、そして古代進に関する苦言も全くその通りだと思う。
もう少し戦闘序列的なディテールとかを見たかったとの思うのだが、その辺はそもそもこの本の目指すところではないので望む方がおかしい(笑)
とりあえず時間が空いた時にちょっと読むには充分な内容だろう。
20150516(mixi日記より)
20240917
リチャード・ブレイド14 エヨカンの蝙蝠神
ジェフリー・ロード著/厚木淳訳/創元推理文庫
を読んだ。2013年中。
今回こそは最小限の装備を身につけてこれるはずだったのだが、森の中で目が覚めるとやっぱり素っ裸で、しかも体中傷だらけになっていてため息をつくブレイド(笑)
暖をとるために近くの灌木を折り、とりあえずのベッドを作ろうとしたブレイドは、その木の樹液には麻薬のような効果があることがわかった。
そこに近寄る松明を灯した集団は「エヨカン」という神に仕える狂信的な戦士たちで、今ブレイドが折った木は彼らの宗教上重要な位置づけにあるらしかった。
エヨカンに捧げる生け贄にされることになったブレイド。
エヨカンの生け贄は、強い戦士が求められるらしい。
脱出の機会をうかがうブレイドだが、なかなかそのチャンスをつかめず、彼がきっかけをつかんだのはまさに今生け贄にされる直前だった。
ブレイドは大暴れして死人の山を築くが、多勢に無勢でとうとう力尽きようというところで、その様子を見ていた王が彼の身柄を引き取ることに。
実はフラクン王はエヨカン教を倒す機会をうかがっていたのだ。
王の命で、隣国ゴンサラに潜入することになるブレイド。
ゴンサラとフクラン王の国チリブは敵対しているわけではないが、エヨカンはゴンサラ王国により強い影響力を持っており、ゴンサラ王がエヨカンを倒す意志があるのか、またそれが可能かを調べることになったのだ。
そもそも本業がイギリスの諜報部員だったブレイドだったが、X次元では初のスパイ活動である。
風来坊の戦士に化けて、追っ手の船を返り討ちにし、ゴンサラに入ったブレイドは、熱狂的なエヨカン信者の振りをしてエヨカンの砦に入り込み、戦士としての腕を買われて雇い入れられる。
ところがそこにチリブで敵対したエヨカン教の長老が訪問し・・・。
長々と書いたが、まあ要するにいつもの通りである(笑)
いつもと違うのは最後の敵をとり逃して終わるというところで、続編で再びこの世界に来るという展開があるのかもしれない。
しかし残念ながらブレイドシリーズの日本語訳されたのは本巻までなので、その先を確かめられる日はおそらく来ないだろう。
逆に言えばそこまで苦労して先を知りたいとも思わないということでもある(笑)
誤解してもらっては困るが、これは本シリーズがつまらないというわけではない。むしろ非常に気に入っているし、面白かった。
しかし上記の通り基本的に毎回同じ内容(笑)なので、無理してその先を読む必要がないだけなのだ(笑)
ちなみに本国では37巻まで出ている(笑)
アクション、エログロ、SF、ファンタジー、スパイもの・・・様々な要素をつっこんで、ひたすら刹那的な娯楽に徹している内容は清々しくもある(笑)
ちょっと調べてみたら、本国では朗読版CDとかも出ている。
どんな人が聴くのだろうか(笑)???
20150528(mixi日記より)
20240918
銀河漂流バイファム Memory1
神田武幸監督
を観た。2015年5月1日。
少し前にツクダホビーのシミュレーションゲーム「銀河漂流バイファム ラウンドバーニアン」をヤフオクで購入した。
特に深いわけはなく、単に当時のツクダのゲームを集めているのだ。なんとなく(笑)
そこで手に入れたはいいが、よく考えたらバイファムはまともに観たことがほとんど無かった。
そこでゲームを楽しむために(笑)DVDを借りてみたというわけ。
第1話 異星人来襲! 開拓星から全員脱出せよ!
宇宙考古学者のクレークは開拓星クレアドで発見された謎の石板はこのコロニーがすでに他の知的生命体が所有している可能性があり、その調査のため、地球軍司令に入植の一時中止を申し入れるが拒否される。
その直後コロニーは謎の異星人による侵略を受ける。
入植していた民間人はクレアド星から脱出することになる。
ロディとフレッドの兄弟はなんとか2人だけで宇宙港にたどり着き、少女ペンチと合流して最後のシャトルに乗り込めた。
そのシャトルには発掘された石板の回収を終えたクレークと助手のケイトも同乗していた・・・。
まずキャラクターの鳥山明を下手にしたようなこの絵は昔からあまり好きではない。
前もそれで観なかったのか?
観ている内に気にならなくなったが。
とりあえずこの第1話の設定はSFマインドが高く、燃えるものがあった。植民星に襲いかかる異星人の大部隊といえば「老人と宇宙」を思い出すが、このエイリアンは地球人を料理して食ったりはしなさそうだ(笑)
脱出するシャトルを護衛する大気圏用戦闘機の描写とか、戦争の描き方もそれなりにちゃんとしているのもよかった。
第2話 緊急発進! 傷だらけの練習艦ジェイナス
シャトルはなんとかステーションに到着し、ロディ達は先に避難していた子供達や先生と出会う。一行は練習艦ジェイナス号に乗り込んでベルウィック星へ避難することに。
そこに敵が来襲し、ラウンドバーニアン(戦闘用ロボット・以降RV)とウェアパペット(戦闘用宇宙服のようなもの)で迎撃するも、艦長ほか多数の乗組員が死亡。民間人にも多数の被害が出た・・・。
主役メカのRVバイファムだが、それなりに主役メカかしい扱いだろうと予想していたのだが、全然違った。
単なる新型機というだけで全然普通の量産機であり、最初からちょろちょろ出てきてはあっさり撃破されていく。
この量産機っぽさはボトムズ以上かも(笑)
今からこの先あんな子供達が操縦して戦うにしては弱すぎるのではないかと心配になったり(笑)
それが狙いなのだろうけど。
第3話 生存確率0.29%! 絶望への挑戦!
発進したはいいがクルーの数が足らないジェイナス。
避難してきた民間人までもブリッジや対空砲などの配置につかざるを得ない状況である。
そこに来襲した敵の機動兵器に対し、このままでは手も足も出ないと判断した艦長に代わって指揮を執っていた中尉は、部下を率いて自らラウンドバーニアンで迎撃に出る。コンピューターは生存確率を0.29%と算出。
中尉は味方機をジェイナスに帰投させ、子供達を守るために1人でバイファムで敵艦に特攻し・・・。
またまた主役メカが散々な目に。まだ第3話なのにもう頭を吹っ飛ばされてるよ(笑)
このバイファムという作品の「大人」の描き方は非常に象徴的で、ここ数回の展開ではまさに理想の大人像という感じでよくできている。
それに限らず、キャラクターの位置づけが全体の物語を強く意識して構築されているのが素晴らしい。
第4話 ベルウィック軌道へ! 地上基地応答なし
ジェイナス号はようやくベルウィックの第2軌道ステーションに到着する。
しかしステーションはすでに壊滅されており、生存者は脱出カプセルに乗っていた少女カチュアと少年ジミーだけだった。
ジェイナス号をステーションの残骸の中に隠し、シャトルで残り少ないジェイナス号のクルーがベルウィックの地上の偵察に向かうが、なにものかに遭遇して連絡が途絶えてしまう。
クレークは子供達を連れてシャトルで降下することを決意。
地上もやはり壊滅状態だった。
ベルウィック星の市街地で、彼らはエイリアンの機動兵器と戦うRVディルファムを目撃する。
ディルファムを操縦していたのは兵士ではなく、民間人の少年バーツだった・・・。
とりあえず先発隊が問答無用で遭難(おそらく撃墜された)というのに、さらに子供達まで乗せて全く同じことを繰り返したクレークの決断はどうかと思う。
せめて惑星の反対側に回るとか、前とは変化をつけてほしかった。
市街戦の様子はなんとなく雰囲気が出ていてよかった。
第5話 憧れの操縦席・ラウンドバーニアン始動
クレークと子供達は施設がまだ生きていたアゾレック基地を拠点とし、軍本部のあるジワイメルウ基地に連絡を取ろうとするが返答がない。
一方子供達はバーツに誘われ、RVシュミレータで操縦方法を学び、実物の操縦も体験する。
クレークは単身ジワイメルウ基地へ向かい、基地地下に潜伏していたベロア大佐と接触。
そこで実はエイリアンは侵略前に警告を送ってきていたという事実を知る。
地球に戻るためにパイロットを借りて輸送機でアゾレック基地へ戻ろうとするが、道中敵の攻撃を受けて輸送機は撃墜されてしまう・・・。
エイリアンの警告があったから植民星にはあれだけの防備が備えられていたのかな?
とりあえず危機的状況でも民間人の避難が最優先という原則が守られているのがバイファムらしい。
第6話 博士をさがせ!異星人との遭遇
クレークを探すため、ケイト、ロディ、バーツの3人が、バギーで通信の途絶えたバルチカンへと向かう。
湖畔での一晩のキャンプで水浴びをするケイトを覗いたりして親睦を深めるロディとバーツ(笑)
目的地に到着した彼らは、クレークの乗っていた輸送機の残骸を発見する。
そこに敵の機動兵器が現れ、追いつめられるロディだったが、間一髪地球軍RVに助けられる。
地球軍が来た目的は輸送機の捜索で、子供達の救出は任務に無いということで連れては行ってくれなかった。
ケイトはクレークの残した荷物を見つけ、涙を流した・・・。
異星人の新たな機動兵器が登場。
カエルみたいにジャンプして移動する様は、それを造ったものが人間とは全く異なる生物なのかと思わせるが、同時にパイロットの姿も見せ、実はほぼ人間と変わらない体型をしているのが分かる。
このへんはミステリアスで面白い。
基本的にバイファムのいわゆる敵ロボットはモビルスーツのラインも残しつつ、人間とは異質なものも感じさせるという点で魅力的だと思う。
かっこいいとは思いにくいが(笑)
初めてまともにバイファムという作品を観たわけだが、思っていたよりもはるかにSFらしく、物語もよくできていて正直意外だった(笑)
特に子供が戦わなければならない状況作りにおいて、あまりにも幼いイメージのキャラクターばかりなのでどうかと思っていたが、完全にそれ以外の選択肢をつぶしまくることで(笑)、ちゃんと説得力が生まれている。
また状況を作り出す大人達におろかなやつが出てこないのもいい。
この調子で続いてくれることを期待しつつ、続きも観ていこうと思う。
20150528(mixi日記より)
20240918
アイス・レイド
リチャード・コックス著/厚木淳訳
を読んだ。9月19日。
北極圏のスバールバル群島はノルウェー領だったが、ソ連にも自由に出入りする権利が与えられていた。
ある日ソ連の飛行機から降り立った兵士たちは空港を手中にし、表面上はノルウェーとの共同統治という形を取りながら支配体制に入った。
ノルウェーはNATO加盟国であり、それは当然NATOの議題に挙がったが、スバーバル群島はあまりにも僻地であり、あえて戦争の危険を犯してまで思い切った手を打とうという意見を持つ国は少なかった。
ただしアメリカにとってはそこには遠く離れた僻地というだけではなかった。
そこにソ連に早期警戒レーダーを設置されると、アメリカからの攻撃は早々に発見されて迎撃されることになり、米ソのパワーバランスが大きく傾くことになるのだ。
アメリカには少数の特殊部隊によるソ連のレーダーの破壊しか選択肢が残されていなかった・・・。
解説では冒険小説と書かれているが、ソ連、ノルウェー、アメリカの3国を主とした様々な人々の視点が錯綜する群像劇の様相で、化夢宇留仁にはそうとは思えなかった。
一番印象的なのは「冷戦」という環境そのもので、この時代を扱うと登場する勢力の規模が大きいほど内容が地味になる。なにしろ下手なことをすると核戦争が勃発してしまうのである。
なので上記の特殊部隊の顛末は究極のグダグダなのだった(汗)
その代わり(?)活躍するのがスパイで、本作では東ドイツとノルウェーのスパイがいろいろと頑張る。
ちうか「東ドイツ」って存在そのものが懐かしいな(笑)
総じては全編退屈することはないのだが盛り上がるわけでも決してなく、面白くないこともないという微妙な感じ。
上記冷戦が派手にするのを許さないのもあるが、全体的に文章がイマイチに感じた。
人物描写も情景描写も、なんだか他人事感があって乗れないのだ。
主役格の米ソの2人も感情移入できないし。
この本のあとでいつものバロウズ先生の作品を読み始めたところその差が際立った。
あっちは1行1行が面白いんだよな〜〜〜。
20240921(mixi日記より)
20240921
アンナ・カレーニナ
ジョー・ライト監督
を観た。2014年9月24日。
1870年代のロシア。
政府高官カレーニンの妻であるアンナは、兄夫婦の諍いを仲裁するためにやってきた若い貴族の将校ヴロンスキーと出逢い、互いに惹かれ合う。同時に兄嫁の妹キティもヴロンスキーにあこがれていた。
地方地主リョーヴィンはアンナの兄嫁の妹キティに求婚するが、ヴロンスキーにあこがれるキティに断られる。
失意のリョーヴィンは領地に戻り、農地の経営改善に取り組むことに。キティの方はヴロンスキーに相手にされず、病を患ってしまう。
アンナは夫と幼い一人息子の待つペテルブルクへ戻るが、ヴロンスキーが追いつき、二人の関係は急速に深まっていく。
妻の不貞を知ったカレーニンだったが、世間体を気にして離婚に応じない。
アンナはヴロンスキーの子供を出産するが重態となる。
そこへ駆けつけたカレーニンはアンナを許す。
ヴロンスキーはアンナを失うことに絶望しピストル自殺を図るが、未遂に終わり、その後軍を退役。回復したアンナを連れて外国へ。
リョーヴィンは病気の癒えたキティと結婚し、領地の農村でつつましく生きていく。
アンナとヴロンスキーは帰国するが、不品行が知れ渡り社交界から締め出され、やむなくヴロンスキーの領地に。
アンナの離婚の話は進まない。
ブロンスキーは領地の経営に熱中するようになり、アンナとはすれ違いが増える。
アンナはヴロンスキーが他の女に目移りしているのではないかと疑いはじめ、絶望のあまり列車に身を投じて自殺してしまう。
アンナを失ったヴロンスキーは義勇軍を編成し、トルコとの戦争に赴く。
リョーヴィンは、キティとの間に子供をもうけ、領地で幸せな家庭を築き、人は他人や神のために生きるべきだと思う・・・。
文豪トルストイが執筆し、1875年から雑誌連載が始まり、1877年に単行本が発行された超有名作の映画化作品。
原作はもちろん、映画も高い評価を受けているようだが、上記の通りストーリーはしょうもない(笑)
キャラクターも(原作はどうか知らないが)薄っぺらく、単にストーリーをなぞっているだけにしか見えない。
そもそもこういう作品が化夢宇留仁に向いていないのだという意見もありそうだが(笑)、とりあえず化夢宇留仁的には同じ内容でももっと面白くできたと思う。
駄作認定!
20150530(mixi日記より)
20240921
ハイスクール・ミュージカル
ケニー・オルテガ監督
を観た。2015年1月4日。
トロイは学校の人気者で、チームでも活躍が期待されているバスケ少年。
ガブリエラは数学や化学を得意とする学校一の天才少女。
そんな住む世界の全く異なる2人が、大晦日のパーティで成り行きでデュエットする事になってしまう。
しかしそれが意外にも2人とも滅茶苦茶歌がうまく、デュエットもばっちり決まって気持ちよかった。
携帯電話の番号を交換する2人。
しばらくあと、トロイの通うイースト高校に、ガブリエラが転校してくる。
演劇部の部長のシャーペイ・エヴァンスは、トロイがガブリエラを気にしているのが気に食わず、2人がミュージカルの応募掲示板の前にいるのも気に食わなかった。主役はシャーペイに決まっているのだ。
選考会当日、なんとなく来てしまったトロイとガブリエラは一次選考終了まで隠れていたが、選考終了直後にオーディションを受ける決意を固める。
2人の歌を聞いたダーバス先生は特例で2人が二次選考に出ることを認める・・・。
とまあそんな感じの子供向けミュージカル作品(笑)。
典型的キャラクターとご都合主義を鍋に放り込んでミュージカルの素を入れて煮込んだような感じ(汗)
特にネタになるような要素も見あたらず、特に面白いわけでもないので(笑)、コメントに困る作品だった。
20150530(mixi日記より)
20240922
地底世界シリーズ4 地底世界のターザン
エドガー・ライス・バロウズ著/佐藤高子訳
ターザンを発見したジェイソン・グリドリーは笑みを浮かべ、彼を壮大な計画にいざなった。
それは地底世界ペルシダーのコルサールに捕らわれている皇帝デヴィッド・イネスを救い出すというものだった。
興味を持ったターザンが協力し、手に入れた軽量かつ信じられないような強度を持ったハーベナイトを主な材料として建造された全長299mの真空タンクを備えた超高性能硬式飛行船O-220号は、選り抜きの乗員を乗せ、一路北極のペルシダーとつながる開口部へ。
計画通りペルシダーに到着した一行は、一度着陸して十分な休息を取り、その後コルサール探索にかかることにする。
ところが気楽に1人で散歩に出たターザンが帰らず・・・。
あのターザンがあのペルシダーに!?ということで、盛り上がること必至のシチュエーションなのだが、できあがったのはものすごいグダグダなストーリーである(笑)
とりあえず冒頭のジェイソンとターザンとの出会いから、超高性能飛行船O-220号の開発とペルシダー到達まではまさに王道の冒険ストーリーであり、特にいつものバロウズ節でO-220号の諸元を紹介しているところなどまさにノリノリでディズニーの「アトランティス 失われた帝国」のごとく。
ところがペルシダーに到着した途端にターザンがフラフラと散歩に出てしまい、いつものようにヘマをして遭難(笑)
もちろん捜索隊が出発し、やはりペルシダーの驚異の世界に屈して遭難(笑)
なんとか帰ってきたジェイソンが飛行機に乗って捜索を再開するが、やっぱり遭難(笑)
というわけで、当初の目的など誰も頭の片隅にも浮かばないような悲惨でグダグダな状況に放り込まれ、あとはひたすら成り行き任せに進んでいくのだ(笑)
そして結局ターザンはほとんどいいところなしで、逆にいきなり主人公の栄誉を得たのはなんと前作では「無線通信の虫」と言われ、「かれは物語の本筋とは別な一つの点景にすぎない」とまで言われていたジェイソン・グリドリーである。
彼の活躍はまさに八面六臂で、化夢宇留仁は「キャプテン・スーパーマーケット」を思い出した(笑)
もちろんロマンスも有り(笑)
今回のヒロインがこれまた魅力的なんだこれが(笑)
ちうわけで物語の完成度という点では首をひねらざるを得ないのだが(笑)、面白さではなかなか突き抜けた快作だった。
ちうかターザナとバロウズが存在している世界に実在するターザンってどんな立場なんだ(笑)?
20240927(mixi日記より)
20240927
ディック傑作集2
時間飛行士へのささやかな贈物
フィリップ・K・ディック著
を読んだ。昨日。
父さんに似たもの
大森望訳
夕食の準備ができたので父を呼んでくるように母親に言われたチャールズだったが、彼は行きたくなかった。というのもさっき父親がガレージにいるのを見たのだが、その時父親が2人いたのだ。
そうこうするうちに父親が戻って来るが、チャールズはそれが「もうひとりの方」だと気づいて戦慄する。
いきなりホラー。
昔のSFホラーで非常によく見かける展開だが、1954年の発表と思えばまだほとんど手垢もついていない頃だろう。そしてありきたりなテーマだったとしても、やはりディックのそれは一筋縄では行かず、スリルと雰囲気があって面白かった。
ちうかストレンジャー・シングスを思い出した(笑)
アフター・サーヴィス
大瀧啓裕訳
コートランドが夜に自宅で仕事をしていることろに訪問したセールスマン風の男は、聞いたこともない機械(?)スウィブルのメンテナンスサービス員だった。
仕事を邪魔されて機嫌が悪かったコートランドは男をさっさと追い返すが、あとで考えてみると腑に落ちないことが多かった。
そして男が落としていった紙に男の会社が1963年創業だと書かれていたことで、コートランドはある事実に気づき・・・。
現在読んでいるとピンと来ようがないのだが、この作品が書かれたのは1955年頃なのだ(笑)
そうして男と再会して未来の情報を得ようとするわけだが、それが実は・・・というのが本編である。
この予測のつかない展開はディックの面目躍如と言えるだろう。
自動工場
大瀧啓裕訳
核戦争後の世界で、生き残った人たちは自動工場からの物資で生活していたが、それは破滅へのカウントダウンでもあった。
というのも全ての物資と工業を工場が独占しており、人間はそれに関与も意見もできない状態で、このままでは資源が尽きて破滅が来るのは火を見るより明らかだったのだ。
なんとか自動工場と意思の疎通をし、自分たちに主導権を取り戻そうとする人々は、工場がよこした牛乳が工場にはわからない理由で飲めないという嘘をなんとか工場に伝えると・・・。
「パーキー・パットの日々」もそうだが、核戦争後の世界の環境というありがちな設定なのに見たことのない世界を構築しており、さらにそこに予測不能のアイデアをぶっこんでくるのが素晴らしい。
1つのテーマの短編だと思って読んでいると足元をすくわれるのもディックの特徴で、これのオチには驚いた。
そこで「あれ」の登場ですか(笑)
人間らしさ
友枝康子訳
レスター・ヘリックは仕事しか頭にない冷酷な男だった。
妻のジルは子供好きな優しい女性だったが、最早我慢の限界に来ていた。
ところがレクサーIVへの出張から帰ってきたレスターはすっかり別人になっており・・・。
途中からオチは予想がつくが、その予想通りのオチに持っていく流れがなんだかかっこいい。
ベニー・セモリがいなかったら
大瀧啓裕訳
最終戦争のあとで火星からやってきて10年も復興に努めてきたジョン・ルコントは、ケンタウルスから艦隊が到着したのを苦々しく受け止めていた。
というのもケンタウロスから来た人々ももともとは地球から移住したのだが、彼らは最終戦争の影響を全く受けておらず、最新の科学力を有しているのだ。
対してジョンの眼の前にあるのはようやく実用レベルで使用されるようになった蒸気機関の乗用車だった・・・。
相変わらず核戦争後の世界が作品ごとに全然違う(笑)
ディックの短編であるから、このあと更にヘンテコなアイデアをぶち込んできてクラクラさせられるのだが、本作は後期の作品だけあって文章に趣もあって目が離せない。
ただしこの話のオチは本編の濃さに対してちょっと弱いと感じた。
おお!ブローベルとなりて
浅倉久志訳
かつての異星人との全面戦争において、地球人も異星人ブローベルもお互いの姿になりすましてスパイ活動を行っていた。
戦後地球側のスパイだったマンスターは人間の姿に戻ったが、まだ後遺症で一定時間スライムのようなブローベルの姿に戻ってしまうので仕事にも就けず苦悩していた。
ロボット精神分析医のジョーンズ博士に相談すると、博士はある女性を紹介してくれたが・・・。
核戦争だけではなくて異星人との戦争のあとの状況も、ディックの場合は斬新なもので、そこに更に斬新な展開をかぶせてくる。
展開だけならロミオとジュリエットか賢者の贈り物みたいでもあるが・・・。
父祖の信仰
浅倉久志訳
ハノイの街頭で、董(トン)は傷痍軍人である物売りから怪しい嗅ぎタバコを売りつけられる。
その後職場で董は2つの論文を読み比べて偽の愛国者が書いたものを見破るという試験を課され、自宅に戻って論文を読んでいると突然テレビで首席の演説が始まる。
首席は100年以上も指導者で清聴する必要があったが、イライラしていた董は売りつけられた嗅ぎタバコを吸い・・・。
中国がアメリカを打ち破った世界が舞台で、趣的には「高い城の男」に近いものがあるが、ベトナム戦争の記述があることから、どうやら冷戦以降の戦争の結果らしい。
とか思っていると、いつものように更に異様すぎる展開に目が点になる。
どうしてディックは異常な世界を舞台に、更に異常な展開を描き出せるのだろうか。
通常は異常な展開を見せるときには普通の舞台を用意する。そうじゃないと異常が異常にならないからだ。
なのにディックは異常な世界を舞台に異常な展開をかぶせてそれが異常だと認識させ、しかもそれが非常に効果的に働く。
電気蟻
浅倉久志訳
事故で負傷したガースン・プールは、医者に告げられて自分が電気蟻だということを知る。
自分の体を調べてみたガースンは、自分にはプログラム機構は備わっておらず、更に脳への情報は全て胸部内にあるテープから送られる情報だと知る。
つまり彼が外部の情報だと思っていたものは、全て胸の記録装置から送られたものだったのだ。
そのテープを操作すれば現実を改変できると考えたガースンだったが・・・。
いきなりなにを言っているのかわけがわからないようなものすごい設定(笑)
突っ込みどころは山ほどあるが、そこは勢いで突っ走っている印象で面白い。
また本作の舞台は1992年なのだが(書かれたのは1969年頃)、その中で「宇宙大作戦」を観るという記述がある。
1992年の宇宙大作戦といえば、TNGに他ならない(汗)
もちろんディックはTOSの再放送という意味で書いたのだと思うが、なんだか彼の場合はぼんやりと未来を予見しているように感じて興味深い。
時間飛行士へのささやかな贈物
浅倉久志訳
「究極のSF」に収録されているものと同内容。
筆者による追想
この本は元は1と合わせて1冊の短編集だったのだが、そのあとがきである。
これもなかなかディックらしい辛辣さと意味不明さが面白い。
この本はまさに粒選りの好短編集で、どれもしっかりとした中身があってどれも違う味でどれも面白い。
もともとは1冊の短編集だったものを2冊に分けたのだが、おおむね発表年順に掲載されていてこちらは後期の手慣れてきてからの作品なので読みやすさも上がっている。
最初にディックを読むのにも向いている本じゃなかろうか。
20241011(mixi日記より)
20241011