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PROLOGUE   CREW LIDIA PATROL  COMBAT  EPIROGUE



 







 


 
 
 
 
 
COMBAT


 
 
■■■ 1 ■■■

0900-117-1118  ベネッサル=ランディング=リゾート/リディア星系/グリッスン星系

  小型護衛艦ガグギダスは,15日間の航海でグリッスンに到着した.到着と同時に全乗組員に2ヶ月の休暇が申し渡された.小惑星帯の故郷での休暇は瞬くまに過ぎていった.そして艦は15日間かけて再びリディアにやってきた.ベネッサル宇宙港につくと,また例によって司法官が迎えにきていた.拿捕委任状の延長の手続きのためである.

 ロット=リンゼングリン先任曹長は,護衛に,女性海兵隊員シカー=クルイエル掌砲軍曹一人をつけた.前回と同じような行程で,拿捕委任状の延長の手続きは直ぐに済んだ.
 ここ1年で変わった事と言えば,密輸業者とそれを背後で支援していた大がかりな犯罪組織の摘発だった.小型護衛艦ガグギダスの拿捕成功が手がかりとなり,帝国外からもたらされた幾つかの麻薬物の保管庫が摘発されたのだ.検挙はグリッスン星系にも波及し,ちょっとした大事件に発展していた.

 密輸ルートは巧妙だった.帝国の外から訪れた偵察艦は無人のガスジャイアントで秘密裏に燃料を補給済ます.それからリディア主星へのマスドライバーラインに接近し,密輸品を忍ばせる.偵察艦は帝国外へ秘密裏に脱出する.

 直接帝国へ向かう荷の検閲は厳しいが,リディア国内での荷のチェックはリディア政府の責任で行われるため杜撰である.マスドライバーラインから回収された荷物は更に分子改造が施されリディアから鉱石の一部として運び出されるといった寸法である.

 ホテルに戻ると,簡単なレセプションが開かれることになった.政府から帝国海軍への感謝の気持ちとのことであった.立食形式のそのパーティはつつがなく進んでいった.

 大臣が予定より早く帰ったため,パーティは1時間も早くお開きが宣言された.まだ半数くらいの人が残っていて飲み物と食事を楽しんでいたが,そこここでローカルな輪ができあがり,2人の外国人に構う者はいくなっていた.シカー=クルイエル掌砲軍曹はバーラウンジにゼム=ジェイコブ大尉を誘った.
 

Shade & Terragen
 パーティーは,ドーム式プールに突き出たレストランで行われていたが,二人はそこから500mほど歩き,地下通路を進んだところにあるレストランに向かった.そこはレストラン専用の地下1階地上2階の別棟で,フルコースの他に,地下の入口付近には簡単な軽食ができるカウンター席も設けられている.

 二人は木目調と金色に飾り立てられたカウンター席に腰掛けた.雰囲気は素晴らしいが,正装とは言え軍服姿の二人は確実に雰囲気を乱していた.ウェイターロボットがよってきて二人に注文を聞いた.このロボットは,リディアのTLとしては明らかにオーバーテクノロジーだ.
 
 青白く輝くカクテルを口にすると,静かに会話が滑り出し始めた.
「何故,例の奴の隠し場所が車輪と分かったんだ.」
「あの偵察艦の艦長の視線です.彼は私が船外作業服を着ている時だけ妙に視線が落ち着かないように見えたので.それでもう一度船外をチェックしたというわけです.」
「流石だな.」

 とりとめのない話題が30分も続いただろうか.シカー=クルイエル掌砲軍曹は暫く黙り込むと意を決したように尋ねた.
ミギライル=アンドレス曹長が大尉殿に殴りかかったのを覚えてられますか?」
「ああ,そのことなら忘れることにした.曹長も長い任務で疲れていたのだろう.」
「私はそういったことを申し上げたいのではありません.私の気持ちを整理したいのです.」

 ゼム=ジェイコブ大尉は不思議に思い,シカー=クルイエル掌砲軍曹の顔をのぞき込んだ.シカー=クルイエル掌砲軍曹は静かな声で呟いた.
「あの原因は私にあります.」
 ゼム=ジェイコブ大尉がその言葉に反応しようとした時,ホテル内に耳をつんざくような大音響が響き渡った.



 

■■■ 2 ■■■

0930-117-1118  ベネッサル=ランディング=リゾート/リディア星系/グリッスン星域

  凄まじい音で警報が鳴り響き,幾つもの隔壁シャッターが自動で降ろされた.二人もたちまちレストラン内に閉じこめられてしまった.携帯端末で艦と連絡を取ろうとしたが,強烈な赤色巨星の宇宙線を防ぐように設計された構造物は容易なことでは電波を通さない.本来なら建物内の中継器が機能するはずだが,どうやら爆発で寸断されたらしい.

 2人は1階上の地上階に出た.窓外には爆発炎上するレストランと,徐々に崩れ始めたドーム式プールが写っていた.大惨事だ.原因は不明だが,二人を含む警察関係者を狙った爆弾テロと考えていいだろう.ゼム=ジェイコブ大尉は再び地下に戻ると,非常シャッターをこじ開け,非難経路を探した.

 二人は爆発があった方向と反対に走り始めた.そちらはホテルの業務用区間のある方だ.二人は地下駐車場に入ると手近な車を探した.白い上着と鮮やかな緑のズボンを身に纏ったホテル従業員が,15mほど先で車に乗り込もうとしているところだった.
 


 
「おい」
 ゼム=ジェイコブ大尉が声を掛けると,その男は身を翻し突然SMGを発砲した,幸い距離があったため弾は2人をかすめただけだった.その男は車に飛び乗るとエレカを始動させた.
 
 磁気SMGフロントに預けていたが,二人の腰には磁気ピストルが吊されていた.男がエレカを始動させ,二人の横をすり抜けようとした.ゼム=ジェイコブ大尉の磁気ピストルが静かなうなりを上げた.

目標に射撃を命中させるには
 ピストル 近距離 遮蔽物あり :並


 ▼ゼム=ジェイコブ大尉
  攻撃DM:武器技能4(SMG-1) 敏捷力2 
 ▼エアラフトに乗ったテロリスト
  移動DM:目標移動力5
 ▼2D+1DM=11 
 

 

 エレカは運転手を失い,柱に激突して止まった.二人は銃を構えたまま,注意深く接近した.運転手は既に事切れていた.
■ダメージ判定


 DAMAGE=4*1/2(部分貫通)*4(+4over)=8
   即死

 

 


 
■■■ 3 ■■■

2030-118-1118  ベネッサル市警/リディア星系/グリッスン星域 

 地元警察に事情聴取に呼ばれた二人は,正当防衛が認められ直ぐに釈放された.アイク=アイグル警部が出向いてくれて,釈放に尽力してくれたためでもある.地元の警官は大尉達に辛辣に言った.
「次は,犯人を今度は生かしておいてくれるとありがたいですね.大尉.これでは手がかりが無くなってしまった.」

 大尉は冷たく笑いながら答えた.
「私は最初から奴をしとめるつもりでいましたから.」
 シカー=クルイエル掌砲軍曹は,初めて目にする大尉の冷酷な表情にショックを受けた.艦から警察所に連絡がきた.装甲車をレンタルして迎えに行くから,そこを動くなというロット=リンゼングリン先任曹長からのきつい一言だった.

 アイク=アイグル警部が辞去した後,警察署のロビーで二人は待った.地元テレビは,ベネッサル=ランディング=リゾートを目標とした爆弾テロの状況を刻々と語っていた.被害者はドーム式プールの倒壊に巻き込まれた者を含めて180人に達する惨状である.うち外国人が60人もいる.外国人の大半はグリッスン籍だ.

 実状がはっきりしてくるに従い,シカー=クルイエル掌砲軍曹は自分たちもまたテロの標的であったことを始めて知った.体の底から恐怖心が沸いてきた.爆弾テロの前には,警察署の中ですら安心はできないのだ.その事実を考えるとシカー=クルイエル掌砲軍曹の中で恐怖感が一層深まった.

 シカー=クルイエル掌砲軍曹の脳裏に逃走しようとしていたテロリストの顔が再び過ぎった.あの時,彼女は,目前を通り過ぎる車に対して一発も撃つことができなかった.

 ロット=リンゼングリン先任曹長が完全武装した2名の海兵隊員を引き連れてやってきた.よりによってバトルドレスまで装着せている.ゼム=ジェイコブ大尉は,頷くと立ち上がり,シカー=クルイエル掌砲軍曹を促した.署の受付でホテルで押収されたはずの磁気SMGの返却を迫った.オーバーテクノロジーの火器を残していくわけにはいかない.アイク=アイグル警部のおかげてあろう.係官は簡単に磁気SMGを返却してくれた.

「夜が明けないうちに」
 ロット=リンゼングリン先任曹長は,装甲車と称したただのバンを飛ばした.2人の海兵隊員は反重力ベルトのスイッチを入れて器用にバンの背後にぶら下がった.

 バンは,荒れ果てた大地を縦断するハイウェイを空港へと向かった.治安維持にろくな予算が回せないこの星では,爆弾テロに対する臨時の検問すらない.空港の地下駐車場につくと血走った目の海兵隊員が磁気ライフルを構えて,出入りするものを徹底的にチェックしていた.EXラインを超えた越権行為だが,最早そんな綺麗事は言って入られない状況だった.
 

Shade, Terragen & Universe

■■■ 4 ■■■

2030-125-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星系

 テロを企画した密輸組織は,次々に拠点を失っていた.射殺された犯人から重要な手がかりが得られたためだ.ゼム=ジェイコブ大尉には正式な感状が寄せられたが,最早,受領のために惑星に降りようとは思わなかった.

 可哀想だが,ベネッサル=ランディング=リゾートは立ち直れないだろう.グリッスンの投資家達も莫大な損害を被ったことになる.

 国外に脱出しようとした密輸組織の構成員が空港で銃撃戦を起こしていた.海兵隊のトーチカに備え付けられた速射磁気砲は密輸組織の構成員達を文字通り粉砕した.

 小型護衛艦ガグギダスは,今度は第5惑星Lydia I Iotaで哨戒配置についていた.今はガクギダス1隻しか第5惑星にはいない.この騒ぎが収まるまでは責任重大である.そしてゼム=ジェイコブ大尉には確信があった.奴らはまだここにいる.

 小型護衛艦ガクギダスは,今度は次々に商船を臨検していった.日に2隻の割合で徹底した臨検をこなすのである.完全装備の海兵隊員と探査機を備えた乗組員が商船の中をひっくり返して回った.

 船長達からは抗議が殺到し,今や憎悪の的となったが,任務は任務である.そしてその任務は過酷だった.乗組員のたちまち睡眠時間が奪われ,今や乗組員達は単調だったガスジャイアントでの哨戒任務の方懐かしむようになっていた.

 商船側の対応も素早かった.こちらが1隻しかいないのをいいことに,同時刻に複数隻で発進するのだ.ガグギダス1隻では同時には1隻しか対応できない.
 

Shade & Terragen

■■■ 5 ■■■

2140-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iotaリディア星系/グリッスン星域 

 ゼム=ジェイコブ大尉は,個室の寝台の上で,艦内通信端末の短く鋭い呼び出し音に頭を振った.薄暗い室内に艦内時計の蛍光デジタル表示を見たが,まだ眠りについてから1時間も経っていなかった.ジェイコブ大尉は通信端末を作動させ応答した.端末の画面には艦橋で当直についている操舵士のアリス=アギルタット兵長の姿があった.

「あー艦長,アリスです.P-EMSがトランスポンダを受信しました.中間子探知機にも反応があります.第5惑星Lydia I Iotaから複数の宇宙船の発進反応.距離100,000km, 200tクラスの船舶が4隻らしいです.」
「今行く,総員戦闘配置,引き続き分析を頼む.」
 ゼム=ジェイコブ大尉は,通信を切り立ち上がると,上着を引っかけ,机の上から飲みかけのコーヒーのパックを掴んで,直ぐに艦橋へと向かった.

 廊下に出ると同時に艦内に戦闘配置を告げる鋭い警報ブザーが鳴り響いた.ゼム=ジェイコブ大尉は,艦橋の入口で入室のめための認識操作を行った.艦橋の装甲ハッチ開いた.艦橋に入ると,メインモニターを眺めながら,最前列左側の艦長席に流れるよな動作で滑り込んだ.

Poser5 & Shade   


「どうだ?」
 ジェイコブ大尉は右側に座る童顔の操舵士アリス=アギルタット兵長に尋ねた.天体観測のマニュアル本が兵長のコンソールの上から転がり落ちた.
「目標の真方位でました,それぞれが,025-090,000-180,025-270,090-270で加速中のようです.私の腕ではそこまでしか分かりません.あとはベッキーに聞いて下さい.」
 ジェイコブ大尉は,端末に呼び出した戦闘情報画面を眺めた.赤い目標表示の位置とベクトルが三次元戦闘情報画面に表示されている.
「こいつだ.」
 ゼム=ジェイコブ大尉はトランスポンダ信号を見分けると指さした.情報が正しければその商船こそ大尉の待ちわびているものだった.

Universe
「本艦の位置には気づいていないな?」
 ジェイコブ大尉の問いにアギルタット軍曹は,受動EMS表示画面をメインモニターに表示した.
「目標は通常のA-EMSを作動させていますが,電子機器の性能から行ってこの距離での本艦の探知は無理でしょう.こちらのP-EMSでチェックしたところ向こうのA-EMSは商船用のAPW-226の派生品のように写っています.本艦の出力はまだ500MW程度ですから向こうのP-EMSも探知不能でしょう.」

 艦橋後方のハッチが開き,ベッキーこと砲術士のネリベス=アジング一等兵曹と機関担当のシリア=デルグビール三等兵曹がそれぞれの操作席についた.ジェイコブ大尉はヘッドセットをつけると海兵隊の指揮官ロット=リンゼングリン一等軍曹を呼びだした.
「ロット」
「はい艦長」
「200tクラスの商船を発見した.臨検の準備だ.逃走されないように今進路を設定しているところだ.」
「了解,切り込み班を準備します.」
「リカルトはそっちに行ったか?」
「例によって負傷者を手当できるよう「共用室」で待機すると言い張ってます.」
「了解」
 


■■■ 6 ■■■

2200-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域 

 ジェイコブ大尉は,再び戦闘情報画面を眺めた.端末を操作し最適な阻止航路をコンピューターに計算させる.直ぐに結果が表示された.5つのパターンが画面に表示された.ジェイコブ大尉は最も早く目標船と接近する航路を選択した.急速に接近できる反面,目標に気づかれる可能性も大きい.選択した航路を航路設定画面にコピーし,操舵士に指示した.
「アリス,これで頼む.適宜航路を補正してくれ.最大戦速で接近するが,航路変更点γにきたらもう一度航路を再設定する.」
「はい,艦長.」

「シリア,機関出力最大へ,通常ドライブも4Gに.」
「はい,艦長.」
 シリア=デルグビール三等兵曹は,短く応答すると小型護衛艦の心臓部であるテルスタMK1100型核融合炉の出力を10,000MWの最大出力までゆっくりとあげ始めた.

「ベス,全火器の安全装置を解除,照準プログラムを集中制御で作動させてくれ.」
「はい,艦長.」
 各探知器の操作は砲術士のネリベス=アジング一等兵曹の仕事だ.彼女は慣れた動作で各探知器の設定を最適に調整しフィルターを掛けながら目標の大きさ,質量,推進力,パワープラント出力などを特定していった.
「変ですね,データベースで照合しましたが何か妙です.これはまだ勘のレベルですが,ターゲットの諸元は普通じゃないです.」

DoGA-L3 & Metasequia
 沈黙の中,距離だけがどんどん縮まっていった.
「敵船は,現在慣性航行中.一見してただの商船の機動のようにもみえますが.臨検を行いますか?」
 ネリベス=アジング一等兵曹が引き続き報告した.
「目標との距離90,000kmです.ボチボチ向こうからも探知されます.」
 目標船の受動EMSの制御画面には,まもなく出力を最大にした小型護衛艦が発するエネルギー反応が恒星のような明るい輝点で表示されるはずだ.

「本艦の機関出力最大です.自動回避機動可能,全火器使用可能.」
 シリア=デルグビール三等兵曹が報告する.
自動回避機動プログラム作動.レベル4」
 ジェイコブ大尉は最も燃料を消費する回避プログラムを作動させた.途端に艦が慣性中和装置では吸収しきれない,高周波数の微妙な揺れを艦内に伝え始めた.ジェイコブス大尉はもう一度戦闘情報画面を眺めた.頃合いだった.

電波封鎖解除,A-EMS作動,目標をスキャンして,停船命令をかけろ.」
A-EMS作動,了解.停船命令録音通信を送ります.」
 強力な電磁波センサー群から探知波が放出され,2秒足らずで詳細なデータを戦闘情報画面にもたらした.ネリベス=アジング一等兵曹が報告した.
「MASA社のA-310型200t級自由貿易船に酷似,ただし反応炉出力が異常が高いようです.明らかに変です.」
「中間子探知器,質量探知器作動は?」
「データベースとは該当しません.」

Shade & Universe

■■■ 7 ■■■

2210-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域 

 ネリベス=アジング一等兵曹が声を高くしながら報告した.
「敵船,トランスポンダを停止しました.本艦からの停戦命令は無視.反応炉出力が継続して増大中,目標は加速中,繰り返します加速中です.進路が加速により変化,明らかに本艦からの回避軌道です.推定加速度5Gです.」
 ジェイコブ大尉は鋭く命令した.
「追跡をかける.粒子加速砲レーザー砲スタンバイ.」
 ネリベス=アジング一等兵曹が一段と大きい声で警告する.
「敵艦より射出物,敵艦発砲.繰り返します.敵艦発砲.ミサイル来ます.停船命令は続けますか?」

 ジェイコブ大尉は冷静を装い答えた.
「ミサイルはECMとレーザー砲塔群で迎撃.粒子加速砲で敵船を攻撃する.もう一度,直ちに加速を中止して敵対行動を辞めるように通信を遅れ.」
 敵のミサイルが命中する確率はそこそこある.万が一核ミサイルが命中すれば小型護衛艦といえどもただでは済まない.

 ネリベス=アジング一等兵曹が応じた.
「粒子加速砲塔を自動攻撃モードに移行,レーザー砲自動迎撃モードに移行させます.」
 戦闘情報画面にはミサイルを示す輝点が速度を増しながら小型護衛艦に急接近してくる様子が映し出された.画面がズームアップされ,個々のミサイルの進路と予想される爆散圏内が立体的に表示される.

Shade & Universe
 
「ミサイル急速に接近中,本艦のECMは目標のA-EMSを制圧しつつあり.ミサイル3発はECMで攪乱に成功,無力化されました.残り3発のミサイルが2分間隔で飛来中,本艦を爆散圏内に捉える可能性95%.」

 ジェイコブ大尉は黙って画面を見続けた.他にできることは何もない.まもなく自動迎撃システムが作動するはずである.
 


■目標に射撃を命中させるには:難


 ▼攻撃側:200t商船 兵器:M  射撃数:2
  Factor=3:攻撃兵器DM=6,コンピュータDM=7
 ▼防御側:400t小型護衛艦
 移動力=4,コンピュータDM=9,サイズDM=-1
 ▼2D(DM=-1)=1HIT
「ミサイル急速に接近中,レーザー1,2番砲塔迎撃開始.
 両舷のエンジンポッドに装備された3連装レーザー砲塔2基が起動し,自動制御で砲身を指向させると散布射撃を開始した.発射されたレーザーは光の剣となって目標区域を捜引していく.レーザー光は僅か0.17秒で目標に到達するが,細かな回避起動をとる50,000km先の直径0.3mのミサイルを狙撃するのは至難の技である.

 ミサイルは2基のレーザー砲が発するビーム光に捉えられ,破砕された.レーザー砲の自動迎撃システムはそれでも飽きたらず,大きな破片の幾つかを更に蒸発させた.戦闘情報画面からミサイルを示す高熱源の輝点が消滅した.
「レーザー砲ミサイル全弾迎撃に成功,本艦への脅威去りました.」

■目標の防御を突破するには:難



 ▼攻撃側:200t商船 兵器:M  射撃数:2
  Factor=3:攻撃兵器DM=5,コンピュータDM=7
 ▼防御側:400t小型護衛艦
 コンピュータDM=9
 ▼2D(DM=3)=0HIT
 
 

 


 

■■■ 8 ■■■

2220-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域

 加速に優れた密輸船を射撃するチャンスは次第に少なくなっていく.確実に足をとめなければならない.艦上部と下部に装備された大型の単装粒子加速砲塔が旋回し,70,000km先の目標に長い砲身を指向した.ネリベス=アジング一等兵曹が報告した.
「A-EMS目標を確実にロック距離70,000万km,粒子加速砲自動射撃開始.」

Shade & Universe

 
 粒子加速砲は何度も短い斉射を加えた.戦闘情報モニタに幾つかの注意喚起のグリップが表示された.命中弾が出たのだ.ネリベス=アジング一等兵曹が報告した.
粒子加速砲の射撃が目標を補足.目標に確実な命中弾.両砲塔ともやりました.」

■目標に射撃を命中させるには:難


 ▼攻撃側:400t小型護衛艦 兵器:PA  射撃数:2
  Factor=2:攻撃兵器DM=3,コンピュータDM=9
 ▼防御側:200t商船
 移動力=0,コンピュータDM=6,サイズDM=-1
 ▼2D(DM=5)=2HIT
 
 

 


■損害判定


 ▼外部損傷表
 移動力-2
 ▼内部損傷表
 兵器-4  コンピューター-1

■■■ 9 ■■■

2240-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域 

「目標の加速が弱まりました推定加速は3Gです.A-EMSは目標ロックを継続中,距離25,000km,粒子加速砲は自動攻撃中,目標の攻撃センサーの機能停止を確認.レーザー砲塔はどうしますか?」
「念のため自動迎撃モードで待機.加速をゆるめる気配は?」
「ありません.目標依然加速中です.」
「粒子加速砲は自動攻撃を継続.」

Shade & Universe
 更なる粒子加速砲の射撃により目標船はセンサー4基を失い,兵器群が徹底的に破壊された.

「A-EMSは目標ロックを継続中,粒子加速砲は自動攻撃中,目標の攻撃センサーの機能停止を確認.」
 

 
 


■目標に射撃を命中させるには:難


 ▼攻撃側:400t小型護衛艦 兵器:PA  射撃数:2
  Factor=2:攻撃兵器DM=3,コンピュータDM=9
 ▼防御側:200t商船
 移動力=0,コンピュータDM=6,サイズDM=-1
 ▼2D(DM=5)=2HIT
Shade & Universe

■損害判定


 ▼外部損傷表
 兵器-4
 ▼内部損傷表
 センサー-4
 

■■■ 10 ■■■

2300-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域 

「レーザー砲も自動攻撃モードへ移行,とにかく足をとめろ」
 密輸船は100直径まで逃げ切る気でいた.加速を止める意志は全くみられない.ゼム=ジェイコブ大尉は決断した.

 3連装レーザー砲の光条は,目標船を確実に捉えた.致命的命中がパワープラントを破壊する.
「目標船,加速を中止,パワープラントが出力を失いました.」
「砲撃中止.」
「目標は無力化されて慣性航行中です.」

 
 
 


■目標に射撃を命中させるには:難


 ▼攻撃側:400t小型護衛艦 兵器:Razer  射撃数:2
  Factor=4:攻撃兵器DM=4,コンピュータDM=9
 ▼防御側:200t商船
 移動力=0,コンピュータDM=6,サイズDM=-1
 ▼2D(DM=6)=2HIT
Shade & Universe

■目標に射撃を命中させるには:難


 ▼攻撃側:400t小型護衛艦 兵器:PA  射撃数:2
  Factor=2:攻撃兵器DM=3,コンピュータDM=9
 ▼防御側:200t商船
 移動力=0,コンピュータDM=6,サイズDM=-1
 ▼2D(DM=5)=1HIT
 

 ゼム=ジェイコブ大尉は指示を出した.
「アリス目標と距離を積めてくれ,ベス,目標の内部をスキャンしろ.ついでに降伏してエアロックを開放するように要求しろ.」

■損害判定


 ▼外部損傷表
 兵器-4 燃料-1
 ▼内部損傷表
 兵器-1  センサー-2
 ▼致命的命中
 ジャンプドライブ破壊
 

■■■ 11 ■■■

2310-135-1118  密輸船ジャックルング/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域

 小型護衛艦ガグギダスは瞬くまに距離を詰め,進路を同期させるとボーディングゲートを起動させた.

 

「アリス微調整を上手くやれ,ボーディングゲート接続だ.」
「よーし行った.電磁フィールドエアカーテンを作動させろ.機密確認もするんだ.ネリス,リモートでエアロックを見てくれ.開けるんだ.」
 ゼム=ジェイコブ大尉は矢継ぎ早に指示を出した. 

■ボーディングゲートを接続するには
 難,パイロット,敏捷力,30秒


 ▼9-11 330秒

 海兵隊の指揮官ロット=リンゼングリン先任曹長からも指示がきた.
「ネリス頼む.開けてくれ」
 ネリベス=アジング一等兵曹暫く試すと悲鳴を上げた.
「駄目よ.私の手には負えないわ.完全な違法改造ね.ロックの暗号強度が強すぎる.時間がかかるわ.諦めて.」

暗号強度の強いロックのエアロックを外から制御するには
至難,コンピューター,敏捷力,30秒

 ▼9-11 330秒
 海兵隊の指揮官ロット=リンゼングリン先任曹長は直ぐに決断した.
「よし,指向性爆薬でいこう.俺がやる.」

 しかし爆薬はエアロックを傷つける事無く終わった.
「駄目だ.もういちどやるぞ.」


■指向性爆薬でエアロックを強制的に開けるには
難,爆薬,敏捷力,2ラウンド,致命的


 ▼例外的失敗,48秒
 

「くそまただ.No.2が怪我をした.No.2に破片が刺さってる.戻れるか?」
 デギル=アグルジュール二等軍曹は怪我をして,艦に戻り始めた.乗り込み班は任務中の無線では絶対に個人名を使わない.復讐や逆恨みを避けるためだ.
「おい,衛星兵,小型護衛艦のエアロックまできて手当の用意を頼む.」
 ロット=リンゼングリン先任曹長は無線に叫んでいた.

■指向性爆薬でエアロックを強制的に開けるには
難,爆薬,敏捷力,2ラウンド,致命的


 ▼致命的失敗,60秒

「うまく設置できました.爆破します,5,4今度はいいぞ.」
 ロット=リンゼングリン先任曹長はようやくハッチを開けることに成功した.
「ハッチを開けるぞ体力勝負だ.」
「よけてろ銃撃がくるぞ気をつけろ.」
 海兵隊員達は声を掛け合いながらエアロックの外扉を開いた.そこにはエアロックの内扉があった.また爆薬の出番だ.

■指向性爆薬でエアロックを強制的に開けるには
難,爆薬,敏捷力,2ラウンド,致命的


 ▼致命的成功,36秒

■指向性爆薬でエアロックを強制的に開けるには
難,爆薬,敏捷力,2ラウンド,致命的

▼6,失敗,36秒
 

■指向性爆薬でエアロックを強制的に開けるには
難,爆薬,敏捷力,2ラウンド,致命的

▼9,成功,120秒
 

■■■ 12 ■■■

2325-135-1118   密輸船ジャックルング/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域

「艦長やっと開きました.」
「了解だ.ロット気を付けて突入してくれ.いまのところスキャンしたが,船内で核融合炉の自爆を示す兆候は無い.船内マップをそちらのバトルドレスに転送する.」


 

 ロット=リンゼングリン先任曹長は答えた.
「分かりました.突入します.」
「No.3,ちょっと中を覗いてみてくれ. 内部からのもの凄い銃撃だ.」
ナロウ=ジキュシュガル上等兵は,海兵隊コマンド部隊から転属してきた男で,いつでもロット=リンゼングリン先任曹長の片腕だ.通路の角から艦内戦闘用の直角スコープで中を確認した.
 


 ナロウ=ジキュシュガル上等兵は報告した.
「No.1敵兵は2名です.銃の種類は多分SMGです.通路の先ほんの3mの距離向かって右側にいます.船内は照明を落とされ真っ暗です.」
 
 
■■■ 第1戦闘ラウンド ■■■

■直角スコープを使って敵兵を確認するには

並,敏捷力,1ラウンド


 うまくいった42秒かかった
 

「よし行くぞNo.3,No.4は狙撃して援護,俺とNo.5で突入する.」
■射撃に対する密輸団側妨害行為,1名が成功
■妨害射撃に対する海兵隊の妨害,失敗.
 援護射撃をしようとNo.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵が首を出すと途端に乗員が銃撃をしかけてきた.
■密輸団側B:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+2,オートマチック射撃3


8,3,6全部はずれ.

 No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵はフェイントをかけながら敵の銃撃を交わすと,磁気SMGを5発オートでたたき込んだ.まともに弾を食らった男は溜まらずのけぞって即死した.

■海兵隊No.3:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+5SMG,オートマチック射撃3


11,10,6,密輸団B即死
 
 乗組員側もNo.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵に向かってSMGを乱射した.ナロウの戦闘アーマーのプロテクターに数発の銃弾が食い込む.
■密輸団側A:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+3,オートマチック射撃3


10,9,5,海兵隊No.3に最低限命中1
 
 ナロウを撃った乗組員はしかし,射撃を終えると同時にNo.4ミギライル=アンドレス曹長の磁気ライフルの銃弾によってなぎ倒された.「大丈夫か,No.3」

 髭面のNo.4ミギライル=アンドレス曹長がNo.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵をいたわる.
「大丈夫です.肋骨が折れたかもしれませんが.」


■海兵隊No.4:GRで遮蔽物の影を射撃
難,修正+4GR,オートマチック射撃3


6,6,6,部分貫通1/2ダメージ,計6ダメージ
密輸団A重傷

 そのわずかな隙にNo.1ロット=リンゼングリン先任曹長が強制解除されたエアロックをくぐり抜け,エアラフト格納庫の入口ハッチのくぼみまで前進した.
 

■海兵隊No.1:移動してエアラフトハッチの影へ.

 するとあらたな乗組員が乗組員共用室のドアから顔を出し,いきなりSMGをNo.1ロット=リンゼングリン先任曹長に浴びせかけてきた.ロット一等軍曹の腹部の装甲プレートに銃弾が1発食い込む.

密輸団側C:移動して海兵隊No.1を狙撃
移動で-1DM,修正+1
遮蔽物の影だが近距離なので並


4,9,6,海兵隊No.1に最低限命中1
 
 続いてNo.5シカー掌砲軍曹がエアラフトハッチのくぼみまで前進してきた. ■海兵隊No.5,移動してエアラフトハッチの影へ

■■■ 13 ■■■

2325-135-1118   密輸船ジャックルング/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域

 


 No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵は,乗組員共用室から出てきた密輸船の乗組員を視認すると素早く狙撃を試みた.しかしNo.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵が見たのは既に自分に狙いを定めている乗組員だった.
 
 
■■■ 第2戦闘ラウンド ■■■

■海兵隊No.3の射撃を密輸団側Cが妨害



 成功
 

 ナロウ上等兵の右側でNo.4ミギライル=アンドレス曹長の磁気ライフルが素早くうなりをあげ,乗組員を制した.
■これを海兵隊No.4が妨害


 成功
 
 

 

 
DoGA-L3

■海兵隊No.4:GRで遮蔽物の影を射撃
難,修正+4GR,オートマチック射撃3


5,5,6,外れ
 

 が,乗組員も姿勢をくずしながら,No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵を射撃してきた.銃弾が宇宙船の通路の壁面にめり込む..

■密輸団側C:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+2,オートマチック射撃3


7,7,7全部はずれ
 
 No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵は一連の動きにも動ぜず,冷静に乗組員をSMGで射撃した.撃たれた密輸船の乗組員は縦断を浴びて倒れた.
■海兵隊No.3:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+5SMG,オートマチック射撃3

8,9,4,ダメージ2,4 密輸団C重傷
 
 
 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長とNo.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は,素早く最初の通路の角まで前進すると,最初のコーナーをようやく制圧した.後方からFGを抱えたホンダル=モナグデュリ一等兵も走ってきて合流する.
「No.1よりブリッジ,ファーストコーナーを制圧した.No.5,通路の先を偵察してくれ.」

■海兵隊No.1 前進 
■海兵隊No.5 前進
■海兵隊No.6前進 

 No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は直角スコープを使って敵兵を確認すると報告した.
「中央通路沿いに敵兵らしき人影が見えます.全部で4名程度.」

■通路の角から直角スコープを使って敵兵を確認する
並,敏捷力,1ラウンド

8,72秒
 

■■■ 14 ■■■

2325-135-1118   密輸船ジャックルング/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域

  No.1ロット=リンゼングリン先任曹長は全員に説明した.
「こうする正面の乗組員共用室に私とNo.5が突っ込む.中がクリアならそこから中央通路を制圧する.」
 この作戦か成功すれば中央通路の両側に火点がもうけられるのだ.No.1ロット=リンゼングリン先任曹長はNo.5シカー=クルイエル掌砲軍曹を見た.バトルドレスのフェースヘルメットからは,表情は伺い知れない.
「了解.」
 No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は短く答えた.
「とにかく俺に離れずついてこい.」
 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長は,これが初陣のNo.5シカー=クルイエル掌砲軍曹に声を掛けた.
 No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は頷く.
「いくぞ」
 
 
 


 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長とNo.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は廊下を横断すると乗組員共用室に飛び込んだ.二人で部屋の半分づつを素早く確認する.
「クリア」
「クリア」
 共用室は空だった.
「No.6はやくこい.」
 
 
■■■ 第3戦闘ラウンド ■■■

■海兵隊No.1駆け足移動



 密輸団Dが阻止攻撃失敗
 

DoGA-L3

■海兵隊No.5駆け足移動


 密輸団Eが阻止攻撃失敗
 
 その行動を援護しようとしていたNo.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵を,専用室の影から密輸船の乗組員が射撃した.No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵の肩装甲に再び銃弾が食い込む.
■密輸団側Dの妨害行動:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+5SMG,オートマチック射撃3


9,4,7,海兵隊No.3,ダメージ1 
 

 No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵が打ち返したのもほとんど同時だった.ナロウを撃った密輸船の乗組員は血しぶきをあげながら専用室の中に倒れ込んだ.

■海兵隊No.3:SMGで遮蔽物の影を射撃
難,修正+5SMG,オートマチック射撃3


10,4,6,ダメージ4, 密輸団D,気絶
 

  No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵を狙おうと,新たな密輸船の乗組員が通路から顔を出した.No.4ミギライル=アンドレス曹長の磁気ライフルが一瞬早くその男を吹き飛ばした.

■海兵隊No.4:GRで遮蔽物の影を射撃
難,修正+4GR,オートマチック射撃3

8,7,6,外れ.密輸団E,ダメージ2,2
 
 
 だがもう一人の男が至近距離の専用室から顔を出し,No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵に2発の銃弾を撃ち込んだのである.No.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵はたまらず倒れ込んだ.

■密輸団F:カービンで遮蔽物の影を射撃
並,修正+3カービン,オートマチック射撃3


11,12,3 海兵隊No.3,ダメージ2気絶
 

■■■ 15 ■■■

2325-135-1118   密輸船ジャックルング/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域
 


 「No.3がやられた.」
 No.4ミギライル=アンドレス曹長は叫ぶと,磁気ライフルでNo.3ナロウ=ジキュシュガル上等兵をうち倒したその男を吹き飛ばした.
 
 
■■■ 第4戦闘ラウンド ■■■

■海兵隊No.4,GRで遮蔽物の影を射撃

難,修正+4GR,オートマチック射撃3


7,5,9,外れ.密輸団F,ダメージ2,4,重傷
 
 乗組員の残る一名の密輸団の乗組員が武器を廊下に投げ出し叫んだ.
「降伏する.」
 No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹が中央通路を狙おうとしたのはその時だった.

 遮蔽物から飛び出した密輸船の乗組員に素早く照準を合わせると,引き金を絞った.5発オートにセットされた高速銃弾が,クロースを着用した敵兵を易々とうち倒した.男は血しぶきを上げながら上半身を滅茶苦茶にされて吹き飛んだ.

■海兵隊No.5,GRで遮蔽物の無しの目標を射撃
並,修正+4GR,オートマチック射撃3


6,8,12 ダメージ2,4/2*4, 即死
 
「よせ」
 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長がNo.5シカー=クルイエル掌砲軍曹の磁気ライフルの銃口を押さえかけた時には,密輸船の乗組員は磁気ライフルの銃弾を浴びて即死していた.No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹の脳に,密輸船の乗組員が叫んだ「降伏する.」の言葉が伝達されたのは,その直後だった.

 状況を悟ったNo.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は動揺した.
「手を挙げているのが見えなかったのか?」
 No.4ミギライル=アンドレス曹長No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹をなじるように言った.
「よせ.」
 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長は慌ててフォローに回った.


■■■ 16 ■■■

2326-135-1118  小型護衛艦ガグギダス/第5惑星Lydia I Iota/リディア星系/グリッスン星域

 船橋は残念ながらアンチハイジャックプログラムでロックされていた.
「ガグギダスブリッジ聞こえるか,リモートで船橋のロックを見てくれ.No.5に担当させる.衛星兵,早くきてくれ,No.3がやられた.」

 No.5シカー=クルイエル掌砲軍曹は動揺して使いものにならない.船橋のハッチの前に立たせて残すと,No.1ロット=リンゼングリン先任曹長は,No.4ミギライル=アンドレス曹長,No.6ホンダル=モナグデュリ一等兵を連れて,船内の掃討に向かった.

 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長は,小型護衛艦からのスキャン結果を参照しながら中央通路を進み,まず全部の専用室の安全を確認した.更に捕虜が2名増えた.あとは船倉と機関室だけである.捕虜の3人は専用室の一つに閉じこめた.

 小型護衛艦からアリス=アギルタット兵長とシリア=デルグビール三等兵曹がSMGを抱えて渡ってきた.倒された敵兵のうち負傷者を集めて拘禁していく.

 No.1ロット=リンゼングリン先任曹長の予想に反して乗組員達は自爆の準備どころではなかったようである.レーザー砲が機関室の外壁を吹き飛ばした時,中の機関士達は全滅しており,パワープラントは自動的に安全装置が働きアイドルで出力がロックされていた.

 船橋のコンピューターは完全に消去されており基本プログラムだけの裸の状態にされていた.密輸船は船倉の半分がパワープラントと通常ドライブに改装されていて,シリア=デルグビール三等兵曹も感嘆せざるを得ない性能だった.
 貨物船倉はそれこそ違法な麻薬で一杯であった.推定価格を推定することができないほどの量がそこには詰め込まれていた.
 

 


 
 
 
 
 

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