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PROLOGUE   CREW  LIDIA PATROL COMBAT EPIROGUE



 

















 


 
 
EPILOGUE


 
 
■■■ 1 ■■■

1000-148-1118  小型護衛艦ガグギダス/エンジル宇宙港帝国海軍区画

/エジプト星系/グリッスン星域
 小型護衛艦ガグギダスは,ゆっくりと減速しながらエンジル地上港の着陸スペースに接地した.アリス=アギルタット兵長は,慣れた動作で誘導路を進み,小型護衛艦を同型の小型護衛艦ネルギダスの隣の駐機スペースに運んだ.惑星は酷い雨だった.

 小型護衛艦の周囲では,グランドクルーが3台の駐機ロボットを使い,主脚の固定を確認している.小型護衛艦の左舷側面から折り畳み式のタラップが降りた.地表の海兵中隊司令部から派遣されたGキャリアー2台が急接近してきた.衛生兵のリカルトが立ち合い,冷凍状態の密輸者達と死体を引き渡す.続いてやってきた救急車がナロウ=ジキュシュガル上等兵を軍病院へと運んで行った.

 30分もすると折り畳み式のタラップを,めいめいの鞄を持った海兵隊員達がゆっくりと降りてきた.ホンダル=モナグデュリ一等兵は,携帯端末で港内移動用のエアラフトを呼び出した.エアラフトは角張ったカーキ色の6人乗りタイプで自動運転で直ぐにやってきた.

 海兵隊の一同はハッチパック式の荷台に荷物を押し込むと,エアラフトに乗り込んだ.
 ロット=リンゼングリン先任曹長が口を開いた.
「ナロウの奴,病院で看護婦さん達といい思いをするんだろうが,とりあえず見舞いは明後日,150日の1500だ.その後,全員で一杯やりに行く.それまでは全員,自由行動.」
「了解.」
 一同が答えた.

「誰がシカー軍曹のエスコートを?」
 ロット=リンゼングリン先任曹長がにやりとしながら,助手席のシカー軍曹を見た.
「自分の面倒くらい自分でみれます.先任曹長.」
 シカー軍曹は無視して正面を見つめたまま答えた.

 後席からデギル=アグルジュール二等軍曹がぼやいた.
「全員撃沈であります,先任曹長.」
 一同から笑いが漏れた.
「お前はエアロックの破片を胸に受けて寝てただけだろう.今回はレディを誘う権利は無い.」
 再び一同の笑いが大きくなる.
「じゃあ今回は俺の出番だな.」
 ロット=リンゼングリン先任曹長が笑いながら誘った.
「先任曹長.基地の正門のところで降ろして下さい.友人に会う約束をしていますので.」
「おいおい,冗談だ.街まで載っていけばいいだろう.」
「本当です.色々と事情がありますので.」
 

Shade


 

■■■ 2 ■■■

1600-148-1118  小型護衛艦ガグギダス/エンジル宇宙港帝国海軍区画

/エジプト星系/グリッスン星域
「五月蠅い海兵の連中は全員消えました.ネリスとシリアもさっき連れだって出ていきました.どこかのメーカーの天然革製の鞄がどうとかで.」
 ゼム=ジェイコブ大尉が司令部から戻ると,留守番のアリス=アギルタット兵長が報告した.
「そうか.貴様も街へでるといい.リカルトを連れて行け.奴は初めての街だと自分から船を出たがらない悪い癖がある.」
「了解,じゃあ済みませんが,哨戒の垢を先に流させてもらいます.お疲れです.」

 アリス=アギルタット兵長が出ていくと,ゼム=ジェイコブ大尉は端末で直ぐに詳しい報告書を書き始めた.忘れないうちに先の戦闘を記録しておく必要がある.録音・録画記録や,艦の制御記録から詳細な報告書を造るのは思ったより時間がかかるものである.

 作成を終えると既に日が暮れ,2つの月のうちの1つが地上を照らしていた.月といっても本星と同じくらいの大きさがあるとてつもなく大きな奴だ.ゼム=ジェイコブ大尉はゆっくりと窓外を見渡した.海軍スペースには,小型護衛艦が3隻と哨戒艦が2隻,それに大型戦闘艇が4機駐機していた.その他にも連絡用の小型の艦載艇などが並んでいる.離着床を挟んで向こう側が民間宙港である.

 離陸していく民間宇宙船のインパルスドライブの青白いノズル炎が,薄暮の宙港の空を鮮やかに横切って行った.コンピューターの合成音声が帰還者を告げた.
「艦長,帰艦者が乗艦を申請しています.シカー=クルイエル掌砲軍曹です.」
 ゼム=ジェイコブ大尉はエアロックの双方向通信モニターを開いた.
「どうしたクルイエル軍曹.忘れ物か?」
「ええ」
 ゼム=ジェイコブ大尉の脳裏には嫌な予感が走ったが,とりあえず本人確認を済ませるとハッチを開いた.
 


■■■  3 ■■■

1900-148-1118  ピンク=パッション/エジプト星系/グリッスン星系

 ロット=リンゼングリン先任曹長は,ピンク=パッションという名のバーで酒を飲んでいた.そのバーの喧噪は凄まじいものだった.特に若い学生達が大騒ぎをしている.バーは観光客も大勢集まるショッピングモールの4Fにあった.

 ロット=リンゼングリン先任曹長は,強めのウィスキーで串焼きにされた幾つかの肉料理を楽しむと,キャッシュで支払いを済ませ店を出た.味はよかったが,学生達のマナーは最低だった.ショッピングモールの中央は大きな吹き抜け構造になっていて,その中をエスカレーターがうねうねと巡っている.ロット=リンゼングリン先任曹長は,携帯端末に観光ガイドを呼び出すと別の店を探した.飲み直すしか無い.ついでに端末を操作してホテルも確保した.

 1階まで降りると,レトロな観光トラムに乗り込んだ.動物が引く荷車を模したそのトラムは6つの車輪がついたエレカだった.トラムは2階建てだった.ショッピングセンターやホテルの建ち並ぶ観光街を少し離れ海岸線沿いの道を時速30km/h位で進んでいく.トラムは屋根はあるが窓は無い吹き抜けの構造だった.ロット=リンゼングリン先任曹長は新婚カップルのいちゃつきをよそに海辺に広がる夜景を眺めた.夜景は素直に綺麗と呼べる一流のものだった.

 闇を切り裂くように携帯端末が胸のポケットで鳴った.雰囲気を乱されたカップルがちらりとこちらを睨む.艦からだった.ロット=リンゼングリン先任曹長は仕方なく端末を作動させた.
「ロットです.」



 

■■■  4 ■■■

1910-148-1118  小型護衛艦ガグギダス/エンジル宇宙港帝国海軍区画

/エジプト星系/グリッスン星域


 ゼム=ジェイコブ大尉は,夕食を採るために共用室に向かった.シカー=クルイエル掌砲軍曹はまだそこにいた.カウンターで何かを飲んでいる.
「何だまだいたのか.」
 ゼム=ジェイコブ大尉は,努めて気楽に尋ねた.
「はい,大尉殿」
 シカー=クルイエル掌砲軍曹が立ち上がり,敬礼をしようとした.
「いやそのまま.私は食事をしにきただけだ.」

 ゼム=ジェイコブ大尉は,ギャレーで自動調理器を作動させ,簡単な料理を出した.モニターに土地のニュースを流すとテーブルに腰掛け食事を始めた.どうやらシカー=クルイエル掌砲軍曹が誤射のことを気にしているのは間違いなさそうだった.
 
「みんなと,行かなかったのか?」
「ちょっと体調が優れなかったもので.」
 しかし,個室に戻らずに共用室にいたということは,誰かと話しをしたがっているということだろう.ゼム=ジェイコブ大尉は一応,医療資格も有していた.コンピューターを操作して,医療品庫から鎮静剤を処方した.黙って彼女の前に置く.

 暫くして彼女がカウンター席から振り向いた.
「私には見えなかったんです.あいつが,撃ったように見えたんです.」
 ゼム=ジェイコブ大尉は,ゆっくりと彼女を見た.目が腫れていた.
「何がだ.」
「艦長はもうご存知なんでしょう?」
 ゼム=ジェイコブ大尉は,食後のお茶わゆっくりとすすると答えた.
「だから何がだ?」
「私が射殺した男の件です.」


 
 

Poser5 & Shade 

 ゼム=ジェイコブ大尉は,ティーカップを皿に上に戻すと答えた.
「君は任務を果たした.それだけだ.」
「何故,誰も私を攻めないのですか?」
「君は通路に躍り出た敵兵を射殺した.その男が降伏の意思を示したという証言もあるが,別の証言もある.ミギライルのパーソナルモニターは残念ながら敵の銃弾に打ち抜かれていた.君のにも降伏を示す映像は映っていない.」

「どうして?ミギライルはそう証言したのに.」
「さあな.奴はこの件にそうこだわっちゃいない.奴自身,既に何人もの人を撃ち殺してるからな.テロリストは牢屋にぶち込んでも仲間が開放のためにまたテロを起こすし生かしておいても得はない.奴が言いたかったのは情報を得る捕虜が必要だということたけだ.ヒューマニズムからじゃない.少なくともリディアでは麻薬商人はまず死刑だ.誰が気にする?」
「私がします.帝国貴族の名誉にかけて.」

 ゼム=ジェイコブ大尉は,カップを食器洗い機に戻すと,テーブルに置いた鎮静剤を彼女に手渡した.

「とにかく君が悩んでいるようなことはなかった.それに君が射殺した男はあの組織の主犯格,爆殺,暗殺なんでもござれの男だ.関係者の多くも君の働きに感謝するはずだ.裁判の手間も省けた.間違いなく勲章が出るぞ.私も君の働きを讃えたい.個人的にね.

「艦長は嘘をついています.」
「これが私の本心だ.」
「私は殺人者です.」
「余計なことを考えないで早く寝ろ.」
 最後は怒鳴りつける口調になっていた.

Poser5 & Shade

 
 
 

■■■ 5 ■■■

2320-148-1118  クィーン=メッチン/エジプト星系/グリッスン星系  
 
 新しく見つけたバー,クィーン=メッチンは,ロット=リンゼングリン先任曹長を十分満足させるものだった.事に黄色い辛口のカクテルは美味だった.ロット=リンゼングリン先任曹長は,テープルの反対側に座るシカー=クルイエル掌砲軍曹に向かって口を開いた.
「君が悩んでいたことは知っていた.艦に戻ったこともな.帝国貴族の名誉にかけてとは随分大きくでたもんだな.」
 シカー=クルイエル掌砲軍曹は睨むように先任曹長を見ると答えた.
「艦長ですね.告げ口したんですか.」

 


 
  
 シカー=クルイエル掌砲軍曹は沈黙を破って話を始めた.
「あなたがたは罪を潰そうとしています.きちんとした処分をして下さらないならば,私は内務監査委員会とマスコミに自分を告発します.」
「そうすれば我々は破滅かな.」
 ロット=リンゼングリン先任曹長は面白そうに呟いた.

「私には不正が許せないのです.」
第5次辺境戦争の死傷者のうち3%は味方の弾にあたって倒れている.戦場での事故の一部だ.もっと現実的になれ.」

 シカー=クルイエル掌砲軍曹は畳みかけるように反論した.
「しかし大尉達のやっていることは証拠隠滅です.許せません.悪質です.」
「君はゼム=ジェイコブ大尉という人間を誤解している.」
「どういう意味ですか.」

 ロット=リンゼングリン先任曹長は淡い黄色のドリンクを飲み干すと話を始めた.
「彼は,大尉で優秀な小型護衛艦の艦長だった.本当なら今頃,少佐で駆逐艦の艦長,もう少しすれば軽巡洋艦と,指揮官の王道を歩くはずの人間だった.」

 ロット=リンゼングリン先任曹長は空のグラスをかざし,ウェイターにおかわりを告げた.


 

「彼はとある封鎖星系にいた.小型護衛艦が4隻,護衛駆逐艦が4隻,それに軽巡洋艦が2隻,ちょっとした戦隊だったと聞いている.奴の技量はその中でもビカ一,提督の懐刀とも呼ばれていた.実際提督は彼を8年間も子飼いにしてきていた.それほど優秀な男だったというわけだ.奴にしてもまんざらでは無いさ.なんせ提督は侯爵で,将来中将まで昇進するのは確実だったからな.仕えていれば自身も安泰.
 封鎖が1年に及んだある時,不審な100tの小型ヨットが封鎖星系に接近をかけてきた.ジェイコブ大尉はいつもの要領で哨戒ラインでいち早くそれを探知すると,停船を命じた.」

 ロット=リンゼングリン先任曹長は,新しい淡い黄色のドリンクをウェイターから受け取ると,手で回しながらライトで変化する微妙な色合いを楽しんだ.ウェイターが話の聞こえないところまで行くと,話を続けた.

「ジェイコブ大尉は,たまたま近くにいた別の艦の小型艦載艇に命令して海兵隊員を送り込もうとした.小型艦載艇は不審船にゆっくりと近づいた.不審船が自爆したのはその時だ.小型艦載艇は一瞬にして粉砕され,かろうじて海兵隊員の1名が命を取り留めた.しかしその男は,体の7割を人工部品に換えねばならないほどの酷い怪我だった.もちろん小型護衛艦も間近で核爆発を受けたため甚大な損害を受けた.」

 シカー=クルイエル掌砲軍曹は吐き捨てるように呟いた.
「奴は小型艦載艇で海兵隊を送り込もうとして身の安全を図ったのよ.」
「艦を預かるものとして艦の安全を図るのは当然の義務だと思う.」
「それがどうしたというの.そんなもの公式記録を調べればいくらでも書いてあるわ.」


■■■ 6 ■■■

2325-148-1118  クィーン=メッチン/エジプト星系/グリッスン星系  

 ロット=リンゼングリン先任曹長は,淡い黄色のドリンクを再び飲み干した.
「これから話ことはここだけのことに留めて欲しい.」

 グラスを置くと,急にロット=リンゼングリン先任曹長の声音が変わった.
「これは私が独自に調べあげた機密事項だ.だから漏らした場合,君の安全は保障されない.」
 シカー=クルイエル掌砲軍曹は答えなかった.

「ヨットは盗難にあったものだったが,正確に言うとスペースジャックされたものだった.それは封鎖を行っている小艦隊の指揮官,つまり侯爵の所有のもので,ヨットにはまだ26才だった提督の御令嬢が載っていた」
 ロット=リンゼングリン先任曹長は,シカー=クルイエル掌砲軍曹を見据えると話の核心に迫った.

「ハイジャック犯達は反体制を標榜する封鎖星系の出身者で,実態はとんでもない犯罪組織だった.あろうことか奴らは封鎖に対する報復に侯爵の封土でヨットを乗っ取ると言う手段を用いた.2週間も立てこもり,無理矢理燃料を確保して,更に逮捕されていた仲間を解放すると,星系から脱出してこともあろうに封鎖星系に向かったのだ.ヨットが封鎖星系にジャンプアウトすると,その船は直ぐに封鎖線に引っかかり停船を命じられた.
 

 

  船はあっけなく停戦に応じて降伏した.ただ生命反応は1名だけだった.ジェイコブ大尉はひっかかるものがあるため,慎重な対応をとろうとしたが,別の小型護衛艦から発進した小型艦載艇が割り込み接近を図った.核融合炉の異常反応に気づいたジェイコブ大尉は直ぐに自爆の意図を察知し,海兵隊員達に離脱するように命じた.だがとても間に合わなかった.ブービートラップだった.大尉は艦を前進させると小型艦載艇で盾になろうとしたのだ.」

 シカー=クルイエル掌砲軍曹が弱々しくそれに反論した.
「公式記録にはそんなことは書かれていないわ.」
「至近距離での核爆発でデータの大半は失われたからな.公式記録は主として大尉の証言により書かれている.大尉はそうした経緯を黙して語ろうとはしなかった.恐らく宇宙船は自動運転,死んだのは提督の令嬢ただ一人.そう,彼女は領民から蝶に例えられるほど美しかったそうだ.そしてテロリストどもはどこかに逃げた.

 大尉は,大勢の部下を失った件で査問会議に掛けられたが,評決が出る直前に,意識を取り戻した海兵隊員が証言をした.事の顛末が明らかになると,海軍は奴に勲章を贈った.奴は最初それを拒んだが,一転して今度は勲章を受理した.その褒賞として奴は警察に出向することを希望した.
 
 鬼になりテロ鎮圧の実地を学んだわけだ.その間も執念深くハイジャック犯達を追ったって話だ.海軍情報部にも随分と働きかけたらしい.残念ながらその組織の奴らが見つかったかどうかはまでは俺も知らない.」

 


 


■■■ 7 ■■■

2325-148-1118  クィーン=メッチン/エジプト星系/グリッスン星系

 暫く沈黙が続いた.シカー=クルイエル掌砲軍曹が口を開いた.
「できすぎた話ね.とんだお涙頂戴だわ.」
 ロット=リンゼングリン先任曹長は無視して話を続けた.

「奴はだから,本当にテロリスト達の降伏がどうこうなんて全然,拘っちゃいないのさ.そんな物は信じるに値しない.多くの部下を失ったのだから.それに,相手がテロリストやマフィアなら,軍だって君の話は相手にしないはずさ.現地指揮官が捕虜を取らないと言えばそれで通るのだ.これは戦時捕虜とは次元の違う話だ.その位,海兵隊で教育されているだろう.わかったら余計な騒ぎは起こさないで欲しい.」

「.....」
「帝国貴族が受けた教育方針「忠誠と誠実」には反するかもしれないが理解して欲しい.帝国貴族では無く,帝国海兵隊の一人の兵士としてだ.誓えるな.」
「わかったわ.もう馬鹿は事は言わない.」

「どうするんだ.これから.大尉殿もかなり心配されていた.もしこの稼業に嫌気がさしたのなら退役することもできる.何らならグリッスンの館に戻ればいい.やさしいお母さんじゃないか.大学に行って後をつけばいい.貴族も悪くないぞ.」
「まさか,会ったんですか?!」

「まあなんというか港で偶然にな.もし,海兵隊員として星の海を旅していく決意が変わらないのであれば,私は可能な限り君を手助けするつもりだ.これまでも,そして,これからも.大尉殿は君を士官学校に送れと五月蠅いが..いずれにしても,旅する道を選ぶのは君だ.
 沈黙が流れた.ロット=リンゼングリン先任曹長は,液体の最後の一口をすすった.

 シカー=クルイエル掌砲軍曹は,既に空になっている自分のグラスを手でもて遊びながら呟いた.
「ふふ,安っぽいTVドラマなら,死んだ侯爵令嬢が実は艦長の恋人だった,とかいう落ちがつくところなんでしょうけどね.」 

 ロット=リンゼングリン先任曹長は,不気味な微笑みを顔に浮かべると,ゆっくりと席を立ち,話を引き継いだ.
「ついでに,小型艦載艇に載っていて先走って爆死した海兵隊の指揮官が,俺の兄貴だったと言う設定ではどうだい.なかなか他では聞けない面白い話だろ.」
 
 







  ロット=リンゼングリン先任曹長は,しわくちゃの100 Cr紙幣をテーブルの上に放ると,
「ナロウの見舞いは150日の1500時だ.遅れるな.」
 と言い残し,身を翻して店を出ていった.

「ちょっと,それいったい...」
 シカー=クルイエル掌砲軍曹は話の真偽のほどを確かめようと立ち上がり,ロット=リンゼングリン先任曹長を呼び止めようとしたが,先任曹長の姿はもうそこにはなかった.

 シカー=クルイエル掌砲軍曹はその場に立ちつくすしかなかった.


Poser5


 
 

■■■ 8 ■■■

0000-152-1118  グリッスン自由貿易船組合通信配信用ネットワークノード

/エジプト星系/グリッスン星系
.......公衆データノードB1258-558よりデータリンク.

通信郵送サービスにアクセス.

データアップロード.

宛:自由貿易船ネットウルフ号船長.
配信:グリッスン星域自由貿易船ネットワークの各ノード.速達,要受信記録
保存期間:1年

本文:
船長,元気でやっているか?.
砂漠に飛ぶ蝶を採取した旧友に,ようやく再会することができた.
彼等全員にきっちりとお礼をしたところだ.
貴君の貴重な情報に心より感謝をしたい.

それではまた,いつか宇宙の何処かで.

署名 ゼム=ジェイコブ

課金:Cr.30 公衆データノードB1258-558は現金精算を確認.

通信登録手続き実行 登録終了 登録番号1118-152-012523
配信開始

 


 
 
CREDIT

3D Modeling 


 
Space Ship, Room & Building:
 

Planet Surface:
Charactor Modeling:
   

Shade R5 Proffesinal
DoGA -L3
Metasequia
Terragen & File Converter
Poser 5
   

 

Image


 
Planet:
Universe:
System & Planet Map:
   
Planet Image : Terragen & File Converter
Universe Image : Universe
System & Planet Map : Heaven & Earth
   

 

Generator


 
Caractor :
Language :
Ship Design :
System & Planet :
 
MegaTraveller (c) character generation
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Cray Bush's Worksheet for Lotus 123
Heaven & Earth

 

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Text Editor:
Image Editor:

Web Design:
 

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Web Master:

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化夢留仁 

MAG
 



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