Step.4. 法の追跡(ver2.1で一部訂正)
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 このルールでは、何かしら犯罪行為が露見するたびに悪事値が増えてゆく。「密輸」「掠奪」「殺人」の各悪事値の合計は、司法機関による
捜査の優先度を示すものである。

4.1 悪事値合計

 悪事値合計の目安
 悪事値20+:賞金首になる。
 悪事値40+:恒星間の指名手配 
 悪事値60+:逮捕にはかなり強引な手段に出る。殺人を犯していれば、非公式に「生死を問わず」になる。
 悪事値100+:海軍の大艦隊が、例え越境してでも逮捕しに来る。殺人を犯していれば、おおっぴらに殺害の指示が下ることもある。

 賞金首:賞金の金額 = (悪事値合計)^2×500×(殺人の点数+1)Cr と言っても、だいたい50MCr程度が常識的な最高額
  例:先述のブラッドシップ・ジャクソン船長。悪事値合計20 (掠奪10、殺人15)にかかった賞金は、
 合計20^2 x 500 x (殺人15 +1)= 3.2MCr。

4.2 逮捕

 悪事値があるものは、基地以外の世界を訪れると、2D6で14+でその地の警察が逮捕しようとする。基地がある世界でも20+で(つまり度の過
ぎた悪事をすれば)逮捕される。 

逮捕DM
治安度0:-1
治安度3-:なし
治安度4-6:+1
治安度7-A:+2
治安度B-C:+3
治安度D+:なし
(こういう世界の警察は、犯罪者よりも「体制の敵」の摘発の方に熱心である)
偵察局基地がある:+2
海軍基地がある:+1
悪事値合計/10:+DM (端数は四捨五入)
偽造技能がある:技能レベル分-
偽の船籍で着陸:-1
政治コード0:-2 警察は無いが恒星間国家の官憲はいる


TL5-:0
TLA-:+1
TLB+:+2
義賊:-6
人身売買に関与した:+6
武器を買った:+1 (合法、非合法問わない)
基地以外の世界でドック入りや定期点検を行った:+2
ロボットの購入、もしくはアフターサービスを受けた:+2
 (合法、非合法問わず)
宇宙船を買った:+2 (合法、非合法問わず)
ジャンプ野郎である:DM-5
コーストウォッチャーである :DM+2
掠奪者である:DM+4
保険ブローカーである:DM+3
切り裂き魔である:DM+6

 逮捕が試みられる場合、少なくとも海賊団の十倍の人数の地元の武装警官や軍隊、十倍以上のトン数の艦艇が投入される。警官の少ない
世界でも、他世界から同様の部隊が送られてきて、惑星の封鎖や、場合によっては砲爆撃が行われるだろう。また、官憲が国境を越えて出動
して来た場合などは、後で身柄を巡る面倒な外交問題にならないよう、爆撃して基地ごと粉砕する挙に出るかもしれない。降伏して素直に逮捕
されても良いが、逮捕されたくないならば、戦闘表で脱出できるかどうか判定すること。


例)ブラッドシップ・ジャクソン 逮捕される

 ジャクソン船長は、何を思ったか掠奪品の処分のためジュエル(スピンワードマーチ1106 A777999-CA)に現れました。管制塔は掠奪者の船だと気がつきましたが、平気な顔
で着陸許可をだしました(1D6で9以上は絶対出ない)。そして空港当局は地元警察に通報。逮捕DMは治安度9で+2、悪事値25/10 = +3、偵察局と海軍の基地があるので+3、
TL12で+2、そして掠奪者ゆえに優先度が高く、DM+4。計+12。そして出目は8でした。文句なしに14+で、直ちに逮捕状が出ます。ジャクソン船長は、安全に着陸できる基地の
世界を先ず設定すべきだったのですが、まあ過ぎたことは仕方がありません。偽の船籍が用意してあったとしても、大した意味はありません。
  検察庁は緊急に逮捕状を出し、たちまちジャクソン船長の船は、SWAT、機動隊、海兵隊員など400人に包囲された上に、離陸を阻止するため2個駆逐戦隊8隻、16,000tが軌
道を封鎖しました。さて、彼の運命は…。
 ジャクソン船長は降伏しました。賞金4.4MCrは、通報した管制官に半額、残りは出動した400人に分配されました(駆逐戦隊にはナシ)。2D6の出目は8で、幸いにも移送中に
謀殺されることもなく、ジャクソン船長は拘置所へ入り、極刑確実の裁判を待つことになりました。


4.3 軍事的手段による解決
 ひどく当前の話だが、海賊行為は重大問題であるが、事件捜査の管轄が難しい問題である。海賊行為が跋扈しているような場所は、政府に
海賊を取り締まる能力が欠如している事が多いし、伝説的悪名をはせるバーバリー海岸のように、政府=海賊ということもあるだろう。そういうと
ころに海賊の攻撃対象となるようなマトモな経済活動は存在しないが、それが故に海賊行為は盛んになり、攻撃は外部へ向くのである。法執
行機関に対処する意思や能力が無い、もしくは対処しきれなくないとなれば、軍事的手段となる。
 警察力は外科医のメスだが、軍事力は剣かハンマーであり、行動を開始するに当たっては、裁判に使えるような「証拠」は必要ないし、実際
の行動にさほど緻密さは必要とされない。海賊の根拠地と目された惑星は、惑星そのものが占領されるかも知れない。その場の証人を皆殺し
にして証拠を消したつもりになるのは結構だが、そうした凶悪事件が発生した場合、「恐らくあいつらだろう」というレベルでも武力行使が行われ
るだろう。
 具体的な武力行使の有無はレフリーが決定して良い。麻薬対策が代表例であるが、犯罪対策に軍の特殊部隊が出動したりするのは、新聞
には載らないだけで、わりと頻繁に行われている。

4.4 悪事値の減少
 一年間大人しくしていれば、悪事値は半分になる。しかし、時効(15〜20年)になるまでは、それ以上減少しない。殺人罪に時効は無い。
た、基地や縄張りを40パーセク以上移動させる(少なくとも別の宙域に移動する)ことで、警察の追跡からは逃れられるので、悪事値は半分にな
る。服役して刑期を勤め上げる、警察を買収する、「偽造」技能で別人になるなどの特殊な方法を使えば、ゼロになる。

 逮捕されなかったら、再度Step.1へ戻り冒険を続けよう。
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Step.5. 裁判

 逮捕された海賊は、裁判にかけられる。逮捕された時点で露見している犯罪に関してのみ起訴される。
 
5.1司法制度

死刑廃止:2D6で9+でその裁判地では死刑が廃止されている。政治コードがA-かつ治安レベルが8+だとDM+2。人権意識が高くて治安の良い
世界では、死刑が廃止されている傾向が高い。 
併合罪加重:2D6で8+ その世界では有罪一件毎に刑罰が加算されて行くうえに、有期刑に上限が無い。この制度を採用していない世界で
は、複数の犯罪は自動的に最長の刑期になる。 
検察側裁判地変更:2D6で10+ 殺人の悪事値1点ごとにDM+1。人身売買に関与していればDM+5。あまりに凶悪犯だと、死刑制度のある世
界か死刑のある軍事法廷で裁判が行われる。
弁護側裁判地変更:2D6で12+ 人身売買に関与していればDM-1。死刑制度の無い世界で裁判が行われる。
軍事法廷:法制上、軍艦と認められる船を襲って乗員を殺害した場合、軍事上の破壊工作として軍事法廷で裁判が行われる。
保釈:無害品の密輸で2D6で4+。保釈金は全財産の10 - 25%程度。保釈中は、宇宙港や宇宙船へ近づくことと、宇宙関連の産業に
従事する人物との面会が禁止される。その他の罪が露見していた場合は、絶対に保釈は無い。
弁護士:高い金で優秀な弁護士を雇えば何とかなりそうだが、ここでは無い。なぜなら、その弁護士への高額報酬は海賊行為で得たものとみ
なされ、凍結されるだろうから。

5.2 裁判と判決

 併合罪加重を採用している世界ならば、それぞれの犯罪の悪事値1点(=概ね犯罪1件毎)に刑期を決定して加算される(例 終身刑+懲役25
年、終身刑6回など)。ただし、死刑判決を受けた場合、死刑が優先されて懲役刑は執行されない。しかし、特に悪質な犯罪者に対しては、懲役
刑執行後の死刑執行も稀にある(過度に残酷なのは間違いない)。

裁判期間の決定:2D6ヶ月。この間も露見していない悪事の露見判定は続ける。新たな犯罪が露見した場合、刑期の判定に加算されること
もあるが、裁判長期化を嫌って起訴されないこともある(レフリーの判断)。

判決:露見している犯罪、それぞれについて刑期を決定する。「義賊」海賊でない限り、無罪判決は出ない。

  掠奪(強盗罪): 2D6年 
   詐欺罪:1D6年 保険ブローカー専用 
  私掠免許状がある:免許状の対象となる世界での裁判でない限り、交戦規定を守っていれば自動的に無罪(ただし、捕まった事はマ
イナスなので以後、私掠免許状が交付されることは無い)
  密輸(無害品):1D3年 もしくは罰金(算定された利益の10倍)
  密輸(有害品):2D6+8年 麻薬を扱った場合は2D6で10+で極刑(死刑もしくは仮釈放の無い終身刑)
            人身売買を行っていれば自動的に仮釈放のある終身刑(殺人に関与していなければ極刑にはならない)

  殺人:2D6で7+で極刑(死刑もしくは仮釈放の無い終身刑) 殺人が一点を超えるごとにDM+1。
    それ以外なら2D6+15x殺人の点数 年
    軍事法廷での殺人に関する裁判:自動的に死刑
    一度でも人身売買に関与した:自動的に極刑 (死刑もしくは仮釈放の無い終身刑)

  「拉致」修正:刑期に+1D6年 「拉致」を行った者に全て追加 併合罪加重では判決毎に+1D6年になる。
      人身売買を行っていれば自動的に仮釈放のある終身刑(殺人に関与していなければ極刑にはならない)。

 「義賊」タイプの場合:殺人で起訴されていなければ、9+で無罪か、執行猶予付き判決になる。それ以外でも、刑期は最低の年数になる。た
だし、敵対していた勢力/政府に逮捕された場合はその限りではない。


例) ブラッドシップジャクソン裁判(掠奪10、殺人15)
 いよいよ裁判が始まりました。帝国外の独立国で行われた犯行ですが、代理として帝国が裁判を行い、処罰する協定があります。さて、ジュエルでは死刑は廃止されていま
すが、併合罪加重が採用されています。検察側が裁判地変更を申し立てれば、殺人+15で確実に死刑のある世界で裁判が行われるのですが、申し立ては行われませんでし
た。実際には、テ○ケラの船を盗んだ罪もありますが、船が戻ったことで争点にはなりませんでした。さて、裁判は2d6=7ヶ月続き、
ジャクソン船長は、10件の掠奪にそれぞれ、5,5,6,7,5,10,6,6,5,10=計65年の懲役、そして15件の殺人に対し、8回の仮釈放なしの終身刑と、2d6=7 + 15 x (15
- 終身刑宣告の8回) = 7 + 15 x7 =112年。併せて懲役177年と仮釈放なしの終身刑8回の有罪判決を受けました。 


5.3控訴/上告

2D6で10+で棄却。
  「義賊」タイプならDM-7(棄却されにくい)。軍事法廷ではDM+7(ほぼ棄却)。審査の期間は1D6ヶ月。認められた場合、裁判の手順を繰り返
す。当然、一審よりも重い判決が出る場合もある。

Step.6.刑務所/死刑

6.1 死刑
 確定から執行まで、一般的に2D6年かかる。その間、毎年2D6で判定して9+で死刑執行。ただし、最初に決定した年数が経てば自動的に
執行される。軍事法廷での死刑判決は、控訴、上告が棄却された時点で直ちに執行される。

 再審請求:準備と審査、あわせて2D6ヶ月かかる。2D6で10+で成功
  再審が認められた場合、再度判決表を振る。ただし、再審請求は執行延期の理由にはならないので、再審請求の審査中も執行判定は続
ける。

 請願:2D6で11+で成功。死刑執行が決まってから行う。成功した場合、もう一度、死刑になるかどうか、判決の判定を行うこと。それで死刑
の結果にならなければ、終身刑へ減刑される。再び死刑判決の結果が出た場合でも、執行延期命令(執行までさらに1D6年)が出る。請願が却
下される(つまり判定に失敗)した場合は、言うまでもない。

6.2 服役中(死刑執行待ちも含む)のイベント

 終身刑: 「仮釈放のある終身刑」の場合、最低25年服役すれば仮釈放の可能性がある(レフリーが適宜決定)。「仮釈放の無い終身刑」は文
字通りのもの。ただし、「仮釈放のある終身刑」でも複数回宣告されていれば、25年x宣告回数分服役しないと仮釈放の審査は行われない。
 未決拘留期間:有期刑の場合、裁判と控訴/上告手続きに要した期間中の拘留期間が刑期から差し引かれる。それで刑期が0以下になれ
ば即釈放。
 恩赦:殺人と人身売買は恩赦の対象外。皇帝の交代などのイベントがあった場合には恩赦が行われ、無害品の密輸で服役しているのなら
自動的に、そうでなければ2D6/11+で釈放される。また、恩赦で軽減されるのは一つの刑だけである。つまり、複数回の終身刑を受けた場合
などでは、その回数分の恩赦が必要。
 脱獄:キャラクターが船長以上の階級で、かつ部下が生き残っていれば、2D6/12+で救出作戦がある。地上戦闘で解決すること。刑務所は
少なくとも数十人の武装した警官がいる、大型の要塞化された建物である。
 取引:TL9以下の世界で服役しているなら2D6で11+で成功。情報提供により死刑なら終身刑に、終身刑は仮釈放の権利が、十年以上の有
期刑なら刑期が半分になり、十年以下の刑なら直ちに釈放される。一度しか判定出来ないし、再犯の場合は認められない。なお、TL10からは
安全な自白剤が登場するので、警察は取引で犯罪者を野放しにする危険を冒すくらいなら、自白剤を使って必要な情報を得るだろう。薬物使
用による証言は裁判の証拠としては採用されないが、捜査上の重大なヒントになり得る。
  出所:脱獄以外の方法で出所した場合、悪事値は全て0に戻る。
 模範囚:模範囚であれば、有期刑の1/3を消化した時点で仮釈放が認められる。なお、懲役何百年の場合でもその1/3であり、事実上、仮
釈放の道は閉ざされている。
 サイバー化:人権無視との批判も多いし、実際に人権無視だが、100年以上の刑期を満了させるため、強制的なサイボーグ化が行われる
こともある。刑期満了とともに培養された人体に戻される事になっているが、現在、この制度を適用されている最短刑期の受刑者でも仮釈放の
審査が受けられるまであと200年。
 民事訴訟:刑期を終えても、海賊行為による経済的損害は弁償しなくてはならない。被害を受けた本人か保険会社に請求権がある。民
事訴訟が起こされた場合、元海賊が勝訴する可能性は無い。時効は10年程度だが、服役した期間はカウントされないことが多い。なお、賠償
金の支払いは破産の理由にはなるが、破産による免責の対象ではない。従って、破産中の身であっても支払い義務はある。

 ムショを出た後、足を洗うか、元の世界に戻るかは本人の自由である。ところで、悪事を始めるのは「手を染める」なのに、やめる時
に洗うのが足なのはナゼ?

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