水木しげる漫画大全集22
貸本版墓場鬼太郎1
水木しげる著
幽霊一家
血液銀行の社員秋山は、夜中に隣の古寺に引っ越してきたものからの届け物で起こされる。その箱の中には目玉が入っていた。
翌日出社すると、会社の血液に幽霊の血が混じっていたという衝撃的な事実を聞かされる。
その血の供血者の住所は秋山と同じだった。
その古寺に行ってみると、奇怪な女とその主人である男と会ったが、男はらい病で体が溶け崩れつつあり、全身を包帯でぐるぐる巻きにしていた・・・。
ここから鬼太郎の誕生と目玉のおやじの再生までが描かれる。
少年マガジン版の「鬼太郎の誕生」とほぼ同内容だが、向こうは鬼太郎が育ての親の家から旅立つまでも描かれている。
最初は血液銀行の社員は秋山という名前だったのだな。
それとどのバージョンでも鬼太郎という名前がつけられるシーンが無いが、最初から目玉のおやじはそう呼んでいるのが興味深い。
幽霊一家 墓場の鬼太郎
秋山は鬼太郎を育てることになり、6年の歳月が経過。
秋山の母親は鬼太郎が夜中にこっそりと出かけていくのを気にしていた。
秋山があとをつけてみると、その行き先は墓場だったが、鬼太郎の姿は見失ってしまった。
友人の漫画家に相談してみると、貴重な体験なのでよく観察すべきだと言われる。
ある夜鬼太郎と目玉のおやじの会話を盗み聞きすると、なにやら大事な切符の隠し場所のことを話していた・・・。
秋山は地獄への片道切符で生きながら地獄に落とされてしまうわけだが、孤児を6年も育ててきたのにそりゃないんじゃないのと思わなくもなし。
墓場の鬼太郎夜話 第一話 地獄の片道切符
行方不明になった息子のことを心配する秋山の母だが、真相を知っている鬼太郎は黙っていた。
しかし問い詰められて地獄に落ちたことを話すが信じてもらえない。そこで母親にも切符を渡す。
心配になった母親は占いばあさんに相談し、ばあさんはそれは物の怪の仕業なので、いっしょに行って後ろから突き飛ばすしか無いと言い・・・。
というわけで秋山の母親は気が狂ってしまう。
あんまりだ(笑)
墓場鬼太郎夜話 第二話 下宿屋
昭和六年、理学博士有馬汎は、30年もの間探し続けてきた夜叉の墓をとうとう見つけ出したが力尽き、ネズミに食い荒らされて死んだ。しかし博士の血が流れ込み、夜叉が復活する。
一方小学校に通っていた鬼太郎は、吸血鬼によってアパートを追い出され、岩穴で寝ているところを魂を抜かれてしまう。
目玉のおやじは原因を探るための旅に出る。
鬼太郎の魂を手に入れた夜叉は、大阪で鬼太郎を使って奇怪なバイオリン曲を弾かせ、人々の心を惑わせる。
のど自慢に出た鬼太郎のあとをつけた刑事は森の中の家で夜叉に襲われる。
川に流れていた目玉のおやじを拾ったのは吸血鬼の手下のねずみ男だった。
吸血鬼は目玉の天ぷらを食べたのち、ねずみ男に隠れる場所を探すように命じる。
見つかったのはご飯をたらふく食べさせてくれる上にただで泊まれる下宿屋だった。
話を聞いていた売れない漫画家金野なし太もそこに入ることになった。
しかしその下宿屋は夜叉が経営しており・・・。
なにより衝撃的なのは初登場のねずみ男で、そもそもどのへんがネズミなのかよくわからないと思っていたのだが、初登場時はちゃんとねずみっぽい(画像/笑)
また鬼太郎の相棒(?)でもなく、単なる吸血鬼の手下でしかなかったのも初めて知った。
墓場鬼太郎 第三話 あう時はいつも死人
夜叉と吸血鬼との数十分にわたる対決は、双方が1つの球になって終わった。
ビニールの風船に入れられて空に飛んでいった鬼太郎の魂は旅客機に引っかかり、血液銀行の禿山社長の手に。
やがて禿山のところに魂の無い鬼太郎がたずねてくる。
魂の戻った鬼太郎から親父が行方不明だと聞いた禿山は、100万円の報奨で新聞広告を出す。
それを見たねずみ男は目玉のおやじを届け、100万円の代わりにドラム缶いっぱいの血をもらって帰った。
禿山は鬼太郎と目玉のおやじを警察につき出そうとするが、地獄に迷い込んでしまい・・・。
リメイクとほとんど同じ内容。
禿山が死んだ後、事情を知っている社員水木が地獄から戻って葬式で地獄で社長と会ったことを話してしまって焦る・・・のはいいとして、名前がいつのまにか秋山だったのが水木になってるんですけど(笑)
妖怪教室
妖怪紹介的な読み物がしばらく続くのだが、浦島太郎とか金太郎とかも入っている(笑)
さすがに大全集だけあって元のカラー原稿も復元されており(画像)、実にいい雰囲気。
しかし墓場鬼太郎だけでもまだ4巻もあるので、続きは安い文庫にした(笑)
ところで上記の墓場の鬼太郎夜話1〜3話だが、サブタイトルじゃないメインタイトルの方が3話ともそれぞれ微妙に違うのは化夢宇留仁のせいではない。元がそうなっているのだ(笑)
20250330(mixi日記より)
20250404
ゲゲゲの鬼太郎 60's 第8話 鏡爺
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今回も物語の冒頭部分を膨らませ、原作ではいきなり透明な女の子と出会うところを、上記のようなミステリー仕立てにしてある。
しかも鏡爺が払った10万円は実は木の葉なのだが、目玉のおやじがその木の葉は〇〇山にしか無いと指摘し、鏡爺の隠れ家に迫るというほんとにミステリーみたいな見せ場まで作られていてかっこいい。
カオリちゃんがなかなか色っぽいのもいい(笑)
原作ではなにをやっているのか描かれないのでエロすぎた部分では、鏡爺に「肩でももんでもらうか」というセリフを追加してエロくなくしていた。
流石にあのままではやばいと思ったのだろう(笑)
そして骨董屋の店員、警察官、鏡爺が全部永井一郎が声を当てていて(もしかしたら他もあったかも/汗)、誰も彼もが永井一郎なのにくらくらした(笑)
20250331(mixi日記より)
20250405
貸本漫画復刻版
墓場鬼太郎2
水木しげる著
吸血鬼と猫娘
流行歌手のトランク永井は、電車に乗っているところをねずみ男に妖怪の芽を植え付けられる。
医者で診てもらうが、それは体内に根を張り、そのままではやがて永井は木になってしまうが、定期的に血を与えないと永井ごと死んでしまうという。
地獄から戻ってきた水木は鬼太郎たちと暮らしていた。
鬼太郎は三味線屋の2階を借りており、そこの婆さんの孫娘寝子に影響されて鬼太郎も小学校に通っていた。
寝子は美しい娘だったが、ネズミの匂いを嗅ぐと化け猫のようになってしまう。
それはねずみ男も含まれ、猫子にかじられてほうほうの体で逃げ出したねずみ男を助けたのは、にせ鬼太郎だった。
2人は鬼太郎を研究し、その妖力の秘密はチャンチャンコにあると突き止め、フランク永井のコンサートの雑踏に紛れてすり替えに成功する。
その後2人は地獄から戻ってきた者としてテレビにも出演するようになるが、証言を証明するために地獄らか砂を持ってくることになる。
ねずみ男の策略で歌手になった寝子にネズミの匂いを嗅がせて人前に出られなくした上、にせ鬼太郎が川に飛び込んで無理心中を決行。にせ鬼太郎はチャンチャンコがあるので帰ってこられるのだ。
地獄の散歩道
寝子が死んでしまって嘆き悲しむ鬼太郎のために、目玉のおやじは地獄に行って寝子を連れ戻そうとする。
地獄で合流した目玉のおやじとにせ鬼太郎だったが、寝子はもうもとの世界には帰らないと言う。
にせ鬼太郎が戻ってこないので信用をなくしたねずみ男は本物の鬼太郎を見つけるがちょうどバケツを被っていたのでにせ鬼太郎と勘違いして殴る。
殴られた鬼太郎は少し頭が変になって遊び始めるが、ビート族と出会い・・・。
2巻からは価格の関係上文庫版で読むことにした。
こちらも全てではないがカラーページも再現されている。
で、物語だが・・・相変わらず頭痛のする展開ではあるが、少年マガジン版に載っていたリメイク版とほぼ完全に同じで、一部の登場人物の名前や設定が微妙に違うくらいで、下手をするとコマ割りやセリフまで同じ(汗)
絵は流石に古めかしいが、この著者の場合新しい絵のほうがいいとは限らないのだ。
ちうかここまで変化しないでなんでリメイクしたんだ(汗)?
20250404(mixi日記より)
20250406
貸本漫画復刻版
墓場鬼太郎3
水木しげる著
水神様が町へやってきた
家賃が倍の1万円になって水木が困っているので、鬼太郎は働き先を探し、「水神」と「物の怪」から借金を取り立てる仕事を見つける。
鬼太郎から奪った100万円を使って90万円で喫茶店に飾られていた吸血木を買い取り、残りの10万円で川の中の小さな島にある明治30年から売りに出されている農家を購入し、そこに住んでいた「物の怪」とともに蚊の養殖に精を出すねずみ男だったが、「物の怪」が集金に来た鬼太郎に見つかってしまい、2人は「水神」の住処へ向かった。
水神は恐るべき存在だったが今は眠っており、鬼太郎は「物の怪」からもらったしびれ薬を水神に使って抵抗できないのをいいことにビニール袋に詰めて持って帰った。
吸血木には大きな実がなり、その中からトランク永井が生まれ変わって誕生する。
しかしその間に水神は水蒸気になって袋から逃げ出していた。
力を取り戻した水神は大空ひばりのプールに侵入し、ひばりを飲み込んで巨大な水球となって街を襲った。
顔の中の敵
関西で下水に紛れて鬼太郎を見つけた水神は、家ごと鬼太郎たちを海に流す。
死を待つばかりだった鬼太郎、目玉おやじ、にせ鬼太郎は、アドバルーンで飛んできたねずみ男に助けられるが、その際ねずみ男の召使になることを約束させられ、目玉のおやじは人質としてひょうたんの中に閉じ込められた。
しかし水神はまだあきらめておらず、水神の入ったコーヒーを飲んだにせ鬼太郎は溶かされて死んでしまった。
ところで下宿屋の口にジッパーがついているがまちゃんの虜になったねずみ男と人狼は、それぞれが鬼太郎と取引してがまちゃんを手に入れようとするが、がまちゃんに逃げられてしまう。
ねずみ男は坂本九に会って恋愛は長期戦でいくべきだと学ぶ。
人狼も大金をかけて水神を退治してやったのにがまちゃんに逃げられたことを知り、ねずみ男と人狼は鬼太郎に復讐を誓う。
鬼太郎に山本富士子が結婚を申し込んできているといい、山本富士子がくれたまんじゅうだと騙して薬の入ったまんじゅうを鬼太郎に食べさせて眠らせたネズミ男は、人狼とともに鬼太郎の入ったスーツケースに重りをつけて海に沈めてしまう。
その翌日鬼太郎を入れて海に沈めたはずのスーツケースが届く。
さらにその夜洗濯屋が鬼太郎の服と下駄を届け、持っていた紙には住所が書いてあったのでそこに行ってみることにするが、乗った電車の様子がおかしい・・・。
水神が鬼太郎を襲う前に街で大暴れするシーンはリメイクには無かった。
また鬼太郎の入ったスーツケースに重りをつけて海に沈めるシーンでねずみ男の様子がおかしいのはリメイクでも描かれていたが、そのからくりは一切語られていなかったのをオリジナル版ではちゃんと説明されていた。
ラストはのちの「幽霊列車」そのままの内容で、リメイクの方のいきなり鬼太郎が立派な家を所有している不自然さはないが、やはりこれまでの展開を無視したような唐突な終わり方だった。
そもそもあの終わり方があまりにも不自然だったので、連載の都合か何かでそうなってしまったのであって、オリジナルの方ではもっとちゃんと終わっているのではないかと思って読んでみたのだが、結局似たようなものだった(汗)
ついでに前から思っていたのだが、これらの一連の作品の中で一番不自然なのはにせ鬼太郎の存在だと思う。
偽物が存在するためには、オリジナルに有能さと知名度が絶対に必要なのに、鬼太郎は何もしていない上に存在を知っているのは血液銀行の社員水木くらいなのだ(汗)
しかも登場してからも偽者というのを活かした活動は寝子を誘い出したくらいで、あとは反省してゴロゴロしている内に水神に溶かされて死んでしまう(汗)
まあ他のキャラクターもドラマツルギー的にはどれも存在意義がほとんど無いのだが(汗)
ちうわけでオリジナルの墓場鬼太郎を読んだわけだが、こちらもとりとめの無さは大して変わらず、ますますなんでリメイクを描いたのかがわからなくなったのだった(汗)
20250404(mixi日記より)
20250407
貸本漫画復刻版
墓場鬼太郎4
水木しげる著
怪奇一番勝負
漫画家の村田は怪奇漫画が売れずに失業した。家賃も3ヶ月も溜めており、大家は2階に住む殺し屋の金田さんが助手を募集していると教えてくれた。
最近アメリカから帰ってきた金田は、5年前に日本を発つときに大家にあずけていた家に幽霊が住み着いていると聞き、村田に同行を頼む。
夜中にその家の中で待っていると、果たしてどこからか下駄の音が・・・。
少年マガジン版17巻の「鬼太郎夜話3」の元ネタ。リメイクの方を読んでいたときにねずみ男が被害者側にいるのが違和感を感じたが、そういうことだったのか。
あの部分のみ元のゆうれい電車からこの話のリメイクにした著者の意図はよくわからない。
ちうか上記のねずみ男の件を考えるとリメイクのほうが失敗している(汗)
またリメイクの方では冷蔵庫のドアに挟まって逃げ出したのは鬼太郎の髪の毛だったが、こちらでは「手」で、例の「手」の元ネタでもある。
そして金田の奥さん(アメリカ人で若くて美人)が滅茶苦茶かわいそうだったということを記しておく(笑)
霧の中のジョニー
10円を拾ったねずみ男があんパンを買おうとするが5円足らず、貸本で漫画を借りようとしても5円足らず、イライラしているところに空腹でフラフラしている鬼太郎と出会い、八つ当たりで殴り倒す。
その後鬼太郎は池田首相に呼ばれ、吸血鬼退治を依頼される。
スポーツカーに乗ったすっかり羽振りの良くなった鬼太郎(笑)を見て悔しがるねずみ男は、新聞に妖怪語で出ていた秘書の募集に申し込む。
秘書を募集していたのは吸血鬼ジョニーで、ねずみ男から鬼太郎のことを聞いて始末することにする。
鬼太郎はエリートのギターに操られてあっさり捕まり、ねずみ男の説得にも応じなかったのでエリートの注射で溶かされてしまう・・・。
ちうわけで「吸血鬼エリート」の元ネタである。
道理であっちは展開に他と違う広がりがあって違和感があったが、そういうことだったのか。
しかし本作はとても面白く、リメイクの方も大して変わってないのでやはり面白い。
リメイクと違うのは吸血鬼の名前以外にも目玉のおやじの苦労が多いところで、ジョニーの屋敷にたどりついいた時点で吸血コウモリにつつきまわされて血だらけになっているし、トイレに落とされてからもリメイクの方ではすぐにコガネムシを見つけて連れ出してもらっているが、こちらではまずうじ虫と友だちになってそれが蝿になってから運び出してもらっている。
またリメイクでは鬼太郎の材料(笑)を恐山に持っていったら鬼太郎なら2〜3日で復活できると言われるが、こちらでは恐山の霊水に3年はつかっていないと治らないと言われている。
あとリメイクの方では死んだ吸血鬼が巨大なコウモリの姿を現していたが、こちらには無かった。
重要な点として、ねずみ男がリメイクではそんなことはなかったが、こちらでは後半は首相を襲ったときに服を捕られ、戦いの間ず〜〜〜っと全裸だったことも記しておく(笑)
本巻より墓場鬼太郎は連続した物語ではなく、そこそこの長さの単発物語となったが、読みやすさと面白さでははるかにレベルアップした。
先生はこのくらいの方が合っていると思う(笑)
20250406(mixi日記より)
20250408
貸本漫画復刻版
墓場鬼太郎5
水木しげる著
おかしな奴
まず墓場鬼太郎誕生秘話をかいつまんで展開。かいつまんでいても38ページもあるが(汗)
しかも色々と細かい設定が変わっている。
中でも驚いたのはこれまでは鬼太郎は生まれた瞬間から片目だったのだが、ここでは生まれた直後に水木に墓石に投げつけられ、片目が墓石の角に当たって片目になったことになっている。
ちなみに大本の墓場鬼太郎でも、左目が見えないはずなのに目玉のおやじを右目に入れてしまうという暴挙(笑)を成し遂げているので、要するに細かいことはどうでもいいのだと思うが(笑)
で、本編が始まるわけだが、これは少年マガジン版の12巻に収録されていた「陰摩羅鬼」と、1巻に収録されていた「猫仙人」の元ネタである。
冒頭からラスト近くまでは「陰摩羅鬼」とほぼ同内容で、陰摩羅鬼の代わりに超仙人みたいなのがその正体で、そのからくり部分が「猫仙人」に流用されているのだ。
そしてどっちもとても印象的で興味深いので本作はとても面白い。
ボクは新入生
水木先生は子どもをおんぶして桶で洗濯をしている妻にコーヒー代を出させ、バキュームカーが作業をしている横を通って喫茶ホームランへ。
そこでかかっていた音楽がアイデアを考えるのに邪魔だったので消してくれと頼むと、ヤクザ風の男たちに絡まれて殴られる。
そこに声をかけたのは鬼太郎とねずみ男だった。
まさか自分が空想して生み出したキャラクターが実在していたとはと驚いた先生は、2人を家に住まわせることになる。
ところが小笠原南方に現れた異常な気象現象を発端に、世界は様相を変えていく・・・。
ちうわけで少年マガジン版7巻に収録されている「朧車」の元ネタである。
こちらには朧車は登場しないが、逆に見返してみるとリメイク版の方にも朧車はほとんど登場していないし、からくり部分も納得がいかない展開で、他にも唐突なところが散見されるが、こちらのオリジナル版は余計な要素を入れていないので変なところは(それほど)無いしまとまっており、よくできている。
最後があまりにもあっけないのは同じだが(笑)
どちらも意外な作品の元ネタで少々面食らったが、思い起こせばリメイクの方のどちらもいつもとは雰囲気の違う作品として目立っていたと思う。
そして本巻の2話のサブタイトルがどちらも内容とかけ離れており(ほんの一部は適合する内容もあるのだが)、変に60〜70年代の青春ドラマみたいなところに違和感がある。
なんかそのほうが売れるという時代だったんだろうな・・・。
20250408(mixi日記より)
20250409
エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 憑かれた鏡
を昨日読んだ。
化夢宇留仁が前にホラー小説を読んだ感想で、小説で恐怖を感じたことがないと言ったところ、有識者Aさんから「八月の炎暑」を読むといいと教えてもらい、その短編が収録されている本はいくつかの選択肢があったのだが、今度は有識者Bさんが河出文庫版は作品ごとにエドワード・ゴーリーの素敵な挿絵がつくと教えてもらい、本書を購入することになった。
手取り足取り非常にありがたかった(笑)
さてはて化夢宇留仁初の恐怖を感じる小説に巡り会えるだろうか。
空家
A・ブラックウッド著/小山太一訳
昔馬丁が女中を階段から投げ落として殺したという過去があり、今でも幽霊が出ると言われている屋敷を、叔母の頼みで2人で夜中に探索することになったショートハウス氏だったが・・・。
2人が我慢強すぎて笑ってしまった。
化夢宇留仁だったら最初の誰のものともしれない咳の時点で逃げ出しているかもしれない(笑)。
いわんやまともに女の幽霊を1秒目撃したのちも探索を続け、更には同じ屋敷内で休憩をするなど、どれだけ心臓毛むくじゃらやねんと(笑)
ここまで来ると最後に2人が逃げ出すことになった怪異はそれくらいで逃げ出すとは意外とさえ思ってしまった(笑)
しかし全体的に雰囲気と臨場感はとてもよく、楽しめた。
いろいろな意味で(笑)
八月の炎暑
W・F・ハーヴィー著/宮本朋子訳
8月20日。画家のジェイムズ・クレランス・ウォゼンクロフトは、自作のスケッチが思いのほかうまく描けたので、上機嫌で家を出た。
それは太った男が被告人席で判決を聞いて絶望している様子の絵だった。
暑さのせいか見知らぬ道に来てしまい、なんとなく立ち寄ったのは石碑職人の家だった。
庭で熱心に職人が仕事をしていたが、その職人の顔や姿はスケッチに描いた男そのものといってよかった・・・。
不吉すぎる合致と誰でも共感できる暑さによる非現実感みたいなのが融合し、非常に雰囲気のいい怪談に仕上がっている。
オチの効き方も素晴らしく、ショートショートとしても一級品だと思う。
しかし残念ながら恐怖は全然感じなかった(笑)
信号手
C・ディケンズ著/柴田元幸訳
私に「おーい!そこの人!」と呼びかけられた信号手は、なぜかこっちではなくトンネルの方を向いた。
信号手と親しくなって話を聞くと、彼は亡霊のようななにかから全く同じセリフで呼びかけられているような気がしており、これまでにその存在が目に入った直後に2回も大きな事故が発生していた。
気になった私は状況を改善できないかと頭を悩ますが・・・。
孤独な信号手のもどかしく切ない立場とその怪異の異様さは興味深くて面白いのだが、語り手である「私」に違和感を感じすぎて化夢宇留仁はあまりノレなかった。
なにしろ「私」が何者なのか一切語られず、しかし理由もなく地下の鉄道信号手に興味を持って何度も訪れるって、幽霊以上にミステリアスすぎないだろうか(汗)?
「私」の立場など、ディテールがちゃんと語られていればこんな変なことにはならなかったのに。
豪州からの客
L・P・ハートリー著/小山太一訳
乗合馬車の2階に乗っていた客は、降ってきた雨も気にせず、中途半端に上げた手を一切動かさない奇妙な男だった。
キャリック・ストリートのホテルに久しぶりにやってきたランボールド氏は部屋でくつろいでいたが、奇妙な音が聞こえてきて・・・。
なんだかよくわからん(汗)
あの歌やゲームの件はストーリーとどうつながるんだ(汗)?
十三本目の木
R・H・モールデン著/宮本朋子訳
友人に招待され、16世紀に建てられた雰囲気のいい屋敷に滞在することになった「私」は、夜中に中庭にありえない風景と事件を目撃する。
話を聞いた今の屋敷の持ち主である友人は、その話を疑わず、2人で調査を開始することに。
これもよくわからないけど魔女狩りという要素に展開、描写など、どれもラヴクラフトっぽい雰囲気があって面白かった。
しかしやっぱりよくわからなかった(汗)
死体泥棒
R・L・スティーヴンスン著/柴田元幸訳
デベンナムの「ザ・ジョージ」に毎夜集まっている気のいい友人たちだったが、そのうちの1人の元医者の飲んだくれが、「ザ・ジョージ」に呼ばれた名医の名前を聞いて態度を豹変させる。
それは彼が解剖学教室の助手として働いていた頃の忌まわしい記憶によるものだった・・・。
医学の進歩に伴って墓荒らしや殺人が横行するという当時ならではの風潮が興味深いが、作品としてはオチが全然ツボを突いていない感じでそれまでの雰囲気がよかった分肩透かしに感じた。
バラバラの上に全部処置済の姿だったらまだよかったかも(汗)?
大理石の?(からだ)
E・ネズビット著/宮本朋子訳
画家の「私」と物書きの妻「ローラ」は田舎のコテージを借り、幸せな時間を送っていた。
しかしある日身の回りの世話をしてもらうために雇っていた老婦人が突然辞めるといい出し、話を聞くと諸聖徒日をすぎれば戻ってきてもいいということだった。
というのも彼女は毎年諸聖徒日には教会の祭壇の脇に飾られている2体の甲冑姿の彫像、彼女が言うには「大理石の?」が動き出すと信じていたのだ・・・。
主人公の「私」の間抜けさが化夢宇留仁の我慢の限度を超えており、最後の悲劇も人災としか思えなかった(汗)
判事の家
B・ストーカー著/小山太一訳
卒業試験に備え、マルコム・マルコムソンは静かな環境で勉強するために小さな町の古い家を借りた。
そこはかつての「判事」の家で、地元では呪われた家として有名だったが彼は気にしなかった。
やたらにネズミが多いのも気にしないマルコムだったが、他とは桁違いに巨大なネズミが椅子の上からこちらをにらんでいるのに気づき・・・。
ネズミに取り憑いたなにか、というところがラブクラフトっぽいのと、後半はゴーストバスターズ2を思い出すテイスト。
しかしオチがなんだかしっくり来なかった。
そこまで来てそのオチ(汗)?
亡霊の影
T・フッド著/小山太一訳
妹のレティの表情には、いつも暗く沈みこんだ色が現れていた。
というのも北極圏で行方不明になった探検隊の捜索に志願した許嫁の安否を気遣っていたのだ。
そして「私」は彼女の許嫁が描かれた肖像画に注意を惹かれていた。
そして不安は現実となり・・・。
当時の北極探検の雰囲気や送り出した人々の考えなどにリアリティーがあって面白い。
オチはありきたりだが。
猿の手
W・W・ジェイコブズ著/柴田元幸訳
レークスナム荘の小さな居間でチェスを楽しむホワイト家の父と息子だったが、息子にチェックメイトされてしまう。
そこに父の元部下であり友人でもあるモリス特務曹長がやっってきて、戦地の話などをするが、ホワイト氏はそれだけではなく奇妙な猿の手にまつわる話をするように言う。
モリスはポケットから猿の手を出し、それが3つの願いをな叶えるが災厄ももたらすというのだが、ホワイト氏は好奇心を抑えきれず・・・。
ちょっと魔法のランプかジュマンジみたいな(笑)
そして後半はペットセメタリー(笑)?
夢の女
W・コリンズ著/柴田元幸訳
ロンドンに戻るための乗合馬車がいっぱいだったので、ぱっとしない宿屋で安い一頭立てを探したところ、ちょうどいいのが見つかった。
しかし馬丁は昼だというのに寝ており、それが当たり前のようなのを不審に思って話を聞いてみると、その馬丁は過去に体験した出来事から夜は眠れないのだった・・・。
一番やばいのは馬丁のお母さんかも(汗)
そしてオチがその通りなんだけど無責任すぎる(笑)
古代文字の秘法
M・R・ジェイムズ著/宮本朋子訳
◯◯学会事務局長は論文「錬金術の真実」を返却したが、著者のカーズウェルがしつこく食い下がるのに辟易していた。
しかし前にカーズウェルが出した本に大して糞味噌な書評を書いた人物が変死していることに気づき・・・。
展開がミステリアスで面白い。
しかしホラーと言うよりサスペンスかも???
ちうわけで粒選りの作品が収録された好著だった。
ゴーリーはアメリカ人なのにイギリスが舞台の小説ばかりなのは不思議だったが、そのヴィクトリア王朝時代の雰囲気はどの作品もしっかり味わえた。
期待通りゴーリーのイラストもどれも素晴らしい。
サブタイトルの「憑かれた鏡」というのは本全体につけられたものだというのは意外だった。
問題の小説での恐怖体験だが、やはり小説はどうしても人ごとの範疇から抜け出せないのでなかなか難しいと思う。
登場人物視点の描写に凝ったものならあるいは????
20250410(mixi日記より)
20250411
貸本漫画復刻版
墓場鬼太郎6
水木しげる著
-怪奇オリンピック- アホな男
死にかけていたやくざの大親分が、輸血によって奇跡的な生還を果たし、それどころか若返ってしまう。その血の供血者はねずみ男だった。
やくざと病院は、その血を手に入れるためにねずみ男を探し始める。
一方ねずみ男は大儲けを夢見て毛生え薬を開発していたが、そこに鬼太郎がやってきてあの世保険を勧誘する。
ねずみ男に断られた鬼太郎は、今月中に申し込めば「怪奇オリンピック」の招待状がついてくると言って漫画家に売りつけ・・・。
最初の輸血の話と怪奇オリンピックの話がつながっているようで実は全然関係ないのがすごい(汗)
そしてねずみ男が真面目に働き、鬼太郎は親父の言うことも聞かずに詐欺のような商売をやっているというのが他と違いすぎる。
ちうか鬼太郎のキャラクターの振れ幅が大きすぎ(汗)
ないしょの話
ねずみ男がボロ市で古い人だまの干物を10円で購入し、それを焼いて食べようとしていたところを鬼太郎に横取りされてしまう。
ところがヒトダマを食べた鬼太郎は溶けて骨と液体になってしまい、目玉のおやじとねずみ男は鬼太郎を治すために恐山へ向かう。
ねずみ男は恐山の地下の「血の温泉」に鬼太郎を預けたはいいが、目玉のおやじをどこかに落としてきたらしく、吹雪の中で親父を探す羽目に。
ところで鯨神研究発表会では、2人の天才科学者山田と村岡の意見が割れ、鯨神が古代から生き続けているかどうかを検証するためにニューギニアに向かうことに。
山田は青森市外の旧家の息子で、その家では凍傷の目玉のおやじを保護していた。
父親に反対されるも黙ってニューギニアに向かった山田だったが、貴重な鯨神の血を村岡に奪われる。
山田が行方不明だと知った父親は、目玉が3つの願いを叶えると聞いて息子が返ってくるように祈るが・・・。
またまた前半と後半で全然違う話になっている(汗)
後半は少年マガジン版第1巻収録の「大海獣」の元ネタだが、これまでのリメイクと違って内容が大幅に変更されていた。
まず山田と村岡は1人の山田に統合され、元の山田の代わりは鬼太郎が務めており、ニューギニアで大海獣から採血したのはこちらはねずみ男である(笑)
更に興味深いのは前半と後半の青森での展開で、相変わらずねずみ男が真面目なやつで鬼太郎が悪いやつなのと、なにより驚いたのが化夢宇留仁がこの本の前に読んだ「エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談」収録の「猿の手」を丸パクリしているのだ。
間に他の本を1冊も挟まずに、直前に読んだ本の丸パクリの内容に行き当たる確率って、宝くじに当たるよりも低いのでは(汗)?
え?じゃあこれで宝くじに当たる運を使い果たしたってことか(汗)!?
ちうわけで貸本版墓場鬼太郎を一応全部読んだ。
と言っても出版社が違ったり、連続した内容というわけでも無さそうだったが。
最初の方はこれまでに散々読んだ内容の繰り返しっぽかったが、4の途中からは単発の中編になり、こちらはどれも面白かった。
振り返れば鬼太郎のキャラがあまりにも定まってなさすぎるのが一番印象的だったかも(笑)
20250412(mixi日記より)
20250412
無敵鋼人ダイターン3
富野善之監督
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第26話 僕は僕、君はミレーヌ |
いきなり佳境から始まるのがいい感じなのと、ミレーヌが超美人でこれまたいい感じ。
内容的にも敵の通信に突然割り込んでくるギャリソンとか、ダイターン3に全員乗って戦っているところを丸ごと操られてメガボーグ状態のミレーヌにワインをつがされるなど(笑)、見どころが多くて面白かった。
やたらと金田っぽい絵が多いが、作画スタッフには含まれていないようで、やはりあの絵が流行っていたのだろう。
第27話 遠き日のエース
都市の上空から手品の名手のコマンダー・エドウィンの空中要塞スカイ・ウォーターが大量の水を放出し、大洪水を起こして整地していく。
大ファイターが到着したときにはすでに姿を消していたが、海上で毎水を汲み上げているところを発見する。
ところがダイファイターごと汲み上げられてしまい、捕らえられた万丈は人間花火として大砲で打ち上げられそうになり・・・。
手品師という設定と、万丈の少年時代の思い出の件がなんだか空回りしていて邪魔だった(汗)
しかし前回もそうだが、本作もあまりにも適当で落書きみたいだった(汗)前と比べてメガボーグ状態のデザインが少しはマシになってきているのはよい。
20250413(mixi日記より)
20250413
ウルトラQ 第20話 海底怪人ラゴン
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海底火山の話とラゴンの話がつながっているような関係ないような微妙な感じになっていてもどかしいが、ラゴンの造形が素晴らしいので映っているだけで画が面白い。
横からのシルエットがまさにディープワンなのと、音楽に注意を惹かれる描写も興味深い。
化夢宇留仁的なポイントとしては、これまで由利子が使っていたカメラはミノルタがほとんどだったと思うのだが、今回ニコンFを使っていたところで、まさにニコンの一眼レフの初代にして超名機で当時報道用カメラとして多く使用されたということなのでさもありなんというところ。
20250413(mixi日記より)
20250414
水木しげるコレクション4 ゲゲゲの森の鬼太郎
水木しげる著
を一昨日読んだ。
主に昭和61年から62年あたりに描かれた作品が収録されている。
妖怪万年竹
ねずみ男が大金を持って歩いていたので、聞いてみると今度竹やぶのところに家が建つので、その手伝いのアルバイトをしていたらしい。
すると突然やぶ蚊の大群が現れ、ねずみ男だけを集中攻撃する。
その現象はねずみ男だけではなく、竹やぶでアルバイトをした人に次々と発生していた。
鬼太郎が竹やぶに行ってみると、蛇がSOSの文字を描いている。
竹やぶに家を建てようとしているのは金林という金持ちで、鬼太郎が話をするが叩き出される。
その後大きな家が建ち、ねずみ男が行ってみると女の悲鳴が聞こえ、それは金林の右腕がタケノコに変化しているのを見たメイドのものだった・・・。
万年竹に襲われて竹になってしまった鬼太郎とねずみ男が襲ってくるのがなかなか怖い。
またストーリーがなかなか凝っていて、かまいたちが協力したり、正体を隠した敵がいたりと退屈させない。
そして竹になったねずみ男が襲った人間から生気を吸い取るだけでなく、ちゃっかり財布も取っていくのが楽しい(笑)
妖怪危機一髪
妖怪ホットドッグが評判になっているのを聞きつけたねずみ男が行ってみると、その店ではどうやらほんとうに妖怪を材料にしたホットドッグを売っているらしかった。
主人と話をし、その一家が「ヒ一族」だと知って震え上がるネズミ男。
ヒ一族は妖怪の力が全く通用しないまさに妖怪の天敵と言える存在だったのだ。
妖怪が次々に行方不明になっていることに対する対策会議をしていた鬼太郎を始めとする妖怪たちは、妖力を結集して水晶玉に真相を映し出そうとするが、襲われてソーセージにされていく妖怪は映し出されるが肝心の犯人がどうしても映らない。
目玉のおやじはその原因は相手が妖怪の力が一切通用しないヒ一族だからに違いないと推測する。
鬼太郎が仲間を助け出そうとするが、目玉のおやじは勝ち目がないと言って止めるが、我慢できなくなった鬼太郎は1人でヒ一族の店に向かい・・・。
ヒ一族がまさに妖怪の天敵という圧倒的な強さで恐ろしく、そして彼らの出生の秘密がなるほどそれは妖怪でも歯が立たないわという説得力があって完成度が高い物語になっている。
木の子
森で迷ってしまったモモコは森の精霊である木の子たちと出会い、そこで暮らすことに。
5年後木ノ子たちを発見した人が精霊たちの中に裸の少女が混じっているのに気づく。
モモコの親は捜索隊を編成するが人間には到達することが出来ず、ねずみ男が1億円もらって鬼太郎を紹介する。
鬼太郎は木の子の集落を見つけてモモコを人間社会に戻そうとするが、木ノ子たちはモモコと別れるのが嫌で山天狗を呼び・・・。
なんか「ターザンの逆襲」を思い出した(笑)
山天狗がいかにもな悪役で楽しい。
また木ノ子たちがモモコと別れるときに木の子たちと同じ服をプレゼントするのだが、それならそれまでもモモコに服を着せてやれたのに裸のままだったのはどういうことかと思ったが、とりあえず少女がヌードのままというのは喜ばしいことに思えたので気にならなかった(笑)
小豆連合軍
今度の将棋大会の打ち合わせのために鬼太郎の家にやってきた油すましだったが、妖怪ポストに妖怪の仕業らしい工場の閉鎖事件が書かれた手紙が入っており、鬼太郎たちが出かけるので油すましは留守番をすることに。
工場の前ではねずみ男が小豆飯をただで配っていた。
ところが小豆飯を食べた人は夜に顔から小豆が。
後日ねずみ男が小豆飯と小豆もちを売っている店を見つけ、中を見てみると小豆とぎ、小豆はかり、小豆婆の3人が商品を製造しており・・・。
小豆妖怪勢揃いというのが見どころなのだが、この話で一番注目すべきは油すましで、とにかく将棋大会がしたくてしかたがないので事件の最中でも「将棋大会はいつにする?」と言い出し、あげく最後はねずみ男を助ける代わりに将棋大会開催実現を頼むのが面白すぎる(笑)
妖怪王将戦
太郎の村には大昔から棋林と呼ばれる将棋の駒で出来た林があった。
かつてそこには「玉」または「王将」と呼ばれる将棋の精がおり、散々悪事を働いていたが、大仙人によって人面岩に封じ込められたとおじいさんから説明を聞いていたそばから地震が発生し、人面岩が崩壊する。
地震によって岩の割れ目から出てきたツボの蓋を開けたのは、例によってシーサーの忠告も聞かなかったねずみ男だった。
復活した玉は将棋の駒を操り、人間を捕らえて奴隷にしはじめた。
なんとか逃げ延びた太郎が夜の森をさまよい、明かりを見つけて行ってみると、そこでは妖怪たちがバーベキューの最中だった(笑)
この時期の鬼太郎で顕著なのが妖怪たちが楽しそうに過ごしている描写で、上記の将棋大会もそうだが、このバーベキューも(画像)さり気なく楽しいイベントを連発している様子がうかがえてなんだかこっちも楽しくなる。
セリフも気が利いていて、画像の次のコマでは牛鬼が「そうよ。とって食おうなんてこと思いつきもしないぜ」と、とって食うと言われたわけでもないのに言っていたりする(笑)
そしてやっぱり将棋となったら自信満々で登場する油すましだが、さくっと負けてしまうのだ(笑)
豆腐小僧
森の中で木の伐採をしているところに、冷奴とよく冷えたビールを持った子どもが。
話を聞いたねずみ男も現場に行き、やはり冷奴とビールをごちそうになる。
ところが翌日ねずみ男の身体がカビだらけに。
カビはとってもとっても生えてきて、このままだと全身がカビと化して死んでしまう。
妖怪天井なめならカビを食べてもらえるが、あいにく天井なめは京都の「お化け茶屋」で油すましと将棋の優勝決定戦中だった。
一反木綿が急いで天井なめを呼びに行くが、ねずみ男と接触した者には次々とカビが感染し・・・。
冷奴と瓶ビールの絵面がうまそうすぎる(笑)
そして油すましは相変わらず将棋のことしか考えていない(笑)
化けぞうり
ある少年が買ったばかりの運動靴がかっこ悪いからと新しい運動靴を買ってもらうことにして捨ててしまう。
夜にその運動靴が動き出し、寂しい墓場のようなところへ。
そこには古い靴たちが集まっていた。
翌日道を歩いていた少年はねずみ男にぶつかり、そこに靴が集団で襲ってくる。
話を聞いた鬼太郎たちは靴を追いかけるが、靴はすごい速さで逃げ出し・・・。
ありがちすぎるオチだが、鬼太郎の下駄も手伝うというのがなんかいい感じ。
竹切り狸
少年たちがサッカーをしているところに仲間に入れてくれと声をかけてきたのは竹馬に乗った妖怪やまこだった。
やまこは1人で圧倒的な強さを示し、戦利品だと言ってサッカーボールを奪う。
その竹馬は竹切り狸が渡したものだった。
鬼太郎は家のそばに竹馬が落ちているのに気づき、乗ってみると手足が離れなくなってしまい、そのまま歩き続けて竹やぶにやってくるとあまこが待ち構えていた。
なんとかあまこを倒すが、そこに竹切り狸が現れる。あまこは鬼太郎の妖力を探るためだったのだ・・・。
あまこがウルトラセブンのアロンみたいな扱い(笑)
竹切り狸は万年竹の親戚でその敵を取ろうとしていたということで、連載ならではの連続性が楽しい。
めんこ天狗
めんこ天狗は今時の子供がファミコンばかりやってめんこで遊ばなくなったのが不満だった。
鬼太郎は子どもの蒸発が多いと聞いて猫娘に町を調査させており、帰ってきた猫娘は犯人はめんこ天狗だと告げる。
手分けしてめんこ探すことにすると、鬼太郎の前にめんこ天狗が現れ・・・。
めんこ天狗が子どもや鬼太郎をめんこにしてしまうのがジョジョのポーカーチップっぽい。元ネタだろうか?
土転び
森の中で作業員たちが枝の剪定をしているところに、巨大な毛の塊のようなものが転がってきてなぎ倒した。
それはそのまま村に突入し、潰したものを次々に吸収して巨大化していった。
最後が引き分けという形で終わるのが鬼太郎っぽくてよい。
井守
底なしの井戸と呼ばれる井戸に入ってみたねずみ男とシーサーは、なんと邪馬台国の時代に到着する。
そこで捕まっていた美しい女性を連れ出して元の時代に戻ってきて鬼太郎に相談するが、そこに邪馬台国の守り神である井守が襲撃する。
ちょっと諸星大二郎風味があって面白い。
妖怪ラーメン
玉子が帽子をかぶったような、奇妙な男が格安でゲゲゲ印のカップラーメンを売り歩いていた。
ところがそれを食べた者は翌朝巨大なカップラーメンになってしまう。
ねずみ男に誘われてたぬきそばを食べた鬼太郎もカップラーメンになってしまい・・・。
黒幕はたぬきたちかと思いきや、意外な人物(笑)が。
それにしても変装までするとは、だんだん巧妙になるな(笑)
二人狸
キャバレーで飲んでいたねずみ男はニュースキャスターの勝部を見つけて話しかける。
勝部はどうもやけ飲みをしているようで、聞いてみると化け狸が偽の指示を見せてニュースを読む順番を間違えさせるのだという。
酔った勢いで化け狸退治を引き受けたねずみ男が化け狸の隠れ家らしい雑木林に行ってみると、なんとそこにいたのはもう1人のねずみ男だった・・・。
ここからの3作は昭和52年に描かれて週刊実話に掲載されたもので、大人向けのちょっとしたファンタジーという感じになっている。
このあとニセねずみ男は、ニセねずみ男につけられているので退治してくれと鬼太郎に電話してから鬼太郎のところに行くなどなかなか狡猾で面白いのだが、ちょっと待てと。
そもそも鬼太郎の家に電話が(笑)?
そして鬼太郎の反応が偽者だと思った方に腹を切れと迫る(汗)など、過激すぎて怖い。
かくれ蓑
飲み屋で高尾山にいる天狗がかくれ箕を持っているという話を聞きながら飲んでいたねずみ男は、やがて酔っ払って寝てしまう。
そこに話しかけてきたのは天狗の子ども2人で、なんと彼らはねずみ男が昔夢で交わった天狗の女性との子どもだったのだ。
家族水入らずでごちそうを食べ、おみやげにかくれ箕をもらったねずみ男はさっそく悪さを繰り返すが・・・。
詳細に描かれたねずみ男のちんことキンタマがおがめるありがたいお話である(汗)
タイムマシン
ねずみ男が高尾山の天狗にさらわれたと聞いた鬼太郎が高尾山に行ってみると、天狗たちはねずみ男をタイムマシンの実験に使って3000年後の未来に送り込んだと言う。
鬼太郎も3000年後の未来に行ってみると、そこはロボットが人間を支配する世界で・・・。
あまりのオチにひっくり返った(汗)
あっさりしすぎ(笑)
最後の3作は別として、その他の作品は先生の漫画力がまさに円熟の域に達しており、テンポもいいし妖怪たちも生き生きしていてとても面白い。
初期の恐るべき画力で妖怪の強さを表現した「吸血木」や「猫仙人」などがやはり白眉ではあるが、このあたりの作品もどれも完成度が高くてとにかく楽しくていいい感じ♪
20250412(mixi日記より)
20250412